懐古3DCG映画『ルパン三世 THE FIRST』感想文

投稿日: カテゴリー 居眠り映画館タグ , , , , ,

《推定睡眠時間:0分》

訳あって最近ヒトラー生存説とかマヤ超古代文明説の本ばかり読んでいるので南米に逃れたナチの残党+超古代文明説ネタのシナリオになんかずっこけてしまった。なんでそこシンクロしてくるんだよ。脚本・監督の山崎貴は第三帝国の生き残りラスト・バタリオンのワードを日本に輸入した落合信彦とかノストラダムスの終末予言に関連して90年代初めぐらいからオカルト業界のちょっとしたブームになったマヤ超古代文明に慣れ親しんだ世代の人だろうから、そのへんの懐かしネタを引っ張ってきても別におかしなことではないのだが…。

懐古、というのはシナリオの狙いとしてあったのかもしれない。最近のルパンは全く観てないしそもそも昔のルパンもそんなに観てないのでこのシナリオ、この演出がルパン的に古いのか新しいのか判断しかねるところはあるのだが、ルパンをまともに観てない俺がルパンっぽいなぁと思ったルパンだったのでやっぱ皆さんお馴染みの的なちょっと古めのルパンなんじゃないだろうか。

映画館に入ろうとするともぎりで何かを渡される。入場者プレゼントのタイアップ・ポストカードだったが、裏を見るとフィアット成約キャンペーンの広告、期間中の成約でルパン三世マグネットセットとオリジナルポストカードがもらえると書いてある。
マグネットとポストカード欲しさに車を買う人がどの程度この世の中に存在するのかはわからないが、マグネットとポストカードが付くんなら今買っちゃうか、ぐらいの気軽さで車を買えるぐらい購買力のある観客を想定してのキャンペーンであることはわかるし、なら映画の方もそのへんがメインターゲットだろうということもわかる。

シリーズ初の3DCGと聞けば良い意味で(?)不安しか感じないがそういうわけで中身は穏当、むしろ二十年ちょっとぐらい時代を遡った安パイ路線。今の技術であの頃のルパンを蘇らせて老若男女ファン非ファンみんなにご覧になっていただこうという魂胆が透けて見え、これがこの夏3DCG映画版『ドラゴンクエスト YOUR STORY』で観客に向けてマダンテを放った山崎貴の本命新作と考えるとちょっとガッカリさせられるが、ともあれ王道はやはり強いので随分こぢんまりしてしまったがウェルメイドに面白いは面白い。

3DCGものとはいえ『ルパン三世』に『ドラゴンクエスト YOUR STORY』みたいな殺人魔球を期待するこっちが悪いと言われたらまぁ、否定はできない。客がフィアット買わなくなっちゃうからなそんなことしたら。してもしなくても買わないだろ。

広告

3DCGでみなさんお馴染みの的なルパンをやるということはカートゥーン的なスラップスティック・アクションも立体でやることになる。こういうのはなかなか、浮く。ガチャガチャして面白いと言えば面白いがなんだか男の子がアクションフィギュアに可動域を超えたポーズをさせて遊んでるような感じ。3DCGにも色々タイプがあると思うがポケモン然りドラクエ然りで(どこ需要か知らないが)最近流行っている本邦のアニメ・ゲーム3DCG映画のキャラクター造形はフィギュア寄せなのでそういうことになる。フィギュアなので可動域に収まるポーズを取っている時はキマっている。

キャラクターがフィギュアなら車とか飛行機とかはミニチュアで、このへんはなんだか山崎貴っぽいというか、モノに対する偏愛を感じる拘りっぷり。だいたいルパンが今回狙うお宝というのもからくり機構でロックされた日記なのであった。動いたり変形したりするオモチャが大好きな監督である(なのでガジェットの活躍っぷりに比してキャラクターとかドラマはかなりアッサリしている)

ああ、それならそれでもっと趣味全開で暴走してくれればよかったのに。とはやはり思ってしまうがそうもいかなかったのか、観る方も作る方も大人だから。モノ愛を感じる以外はとにかくみなさんお馴染みの的なルパンだ。大野雄二の音楽もいつもの通り。大野サウンドが乗ったらどんな場面でも大抵おもしろく見えてしまうんだからずるい。大野作曲のエンディングテーマ曲『GIFT』は角川映画を思わせる懐メロ調。夕陽をバックにルパンが去って大野雄二の郷愁たっぷりな切なメロディが…とか実に汚いなと思う。

汚いといえば宮崎アニメっぽいところがわりとあり、とくに終盤は『天空の城ラピュタ』のオマージュとおぼしき場面が頻発。角川映画調のエンディングといい宮崎アニメオマージュといいずいぶん露骨にオッサン連中にすり寄ってきてるなーって感じですが、作り手も結局オッサンなのでそこらへんは趣味なのかもしれない。懐古オッサンが作って懐古オッサンが観る。なにも問題はない。勢いでフィアットも買ってくれればなお良しである。

ほか良かったところ。悪役の一人の声をアテてるのが吉田鋼太郎なのですが、これがなかなか上手かった。役の年齢に対してちょっと声が若すぎると思うのですが適性の問題で、別の役だったらきっと吉田鋼太郎だと思わずにそのキャラの声として聞いてしまう。さいきんアニメ映画なんかで声の出演が増えてきてるらしいのでその路線もっと開拓してほしいと思う。味のある悪い声してるんですよ吉田鋼太郎。

あと五右衛門の表情がかわいい。キャラの魅力が全体的に乏しい中で五右衛門はチャーミングでよかったんじゃないすかね。アクション的なことはほとんどしませんけど。

【ママー!これ買ってー!】


トミカ ドリームトミカ ルパン三世

公式のコラボ商品らしいが画像だけ見るとあれこんなだっけってなりませんか。

500
りゅぬあってゃ

ルパン三世、TV版の新作(part5)だと「ルパンVS IT技術」ってストーリーがメインになってました。
「ルパンが仮想通貨を盗んだら、運営元にSNS上で懸賞をかけられ、全ネットユーザーに追われる話」や
「新興IT企業が食べログならぬ『ヒトログ』をリリースし、(つぶやいた情報の信憑性を機械判定する機能があるSNS)ルパンが翻弄される話」などやってました。

スケール的にも映画でやってほしかったかも?