『ボヘミアン・ラプソディ』俺には難しかった感想

《推定睡眠時間:0分》

クライマックスのライブ・エイドのシーン超最高だったんでホクホクしながら帰りの地下鉄に乗ろうと構内に降りていったら壁面にTOTOの来日公演ポスターが貼ってあってうわ超行きてぇ!
すげぇテンション上がったんですけどそれで思ったんですがライブとかフェスで聴くと別にクイーンに限らず大体どんなバンドも超かっこいい。超盛り上がる。なんか身も蓋もない感じになってしまった…。

クイーン好きな人はあれまた特別な感慨があったりするんでしょうが俺全然知らないからなぁ。
史実と違うとか違わないとかで映画マニアとか音楽マニアの間でブツブツ議を醸しているというがそのへん知らないので特に思うこともなく、伝記映画というか普通のフィクション映画と同じ感じで見れたので良かったのか良くなかったのか…ともかくそこで躓くことはなかったわけですが、逆を言えばそれがフックになることもまた無いのだった。

伝記映画として見ようとするとクイーン童貞ちょっと困った。シナリオの視線が結構定まらないっていうか…クイーンをどういう存在として捉えたらいいのか正直よくわからない。
クイーンぐらいお前ら知ってるだろ的な割り切ったシナリオにも見えるし、俺みたいに知らないやつにもクイーンがどんだけ凄いか教えてくれようとしているようにも見える。結果、凄い感は伝わってきたが(ツアーでいっぱい客入ってるので)やっぱなんだかよくわからない。

タイトルの「ボヘミアン・ラプソディ」を巡るエピソードなんてその最たるもので、6分とか長すぎる! ラジオでかけられない! ってアルバム発注したEMIの偉い人が文句付けてきてフレディ怒るんですが、これファン向けのあるあるエピソードとしてならまぁ分かるんですけど知らない人向けのクイーンすげぇだろエピソードだとしたら超弱くない?
だって曲の長さとか組曲構成とかで言ったらこの頃もうプログレ経過してるんだから曲の善し悪しとは別に明らかな革新性とかはないわけじゃないですか…。

それでまたどうしてその楽曲が出来たのかっていう経緯とかもバンバン端折っちゃって…ドンドンパの曲はこうして出来ました! っていうシーンの唐突さとかなんなんだって感じで。
オーディエンス側の描写とか時代背景の演出も必要最低限だから、結局リアルでクイーン体験してないと映画の中のクイーンが曲が良いぐらいしかわかんないんですけど、じゃあマニア向けかっていうとそのわりに分かりやすくクイーン史を再構成して議論になってたりするわけじゃないすか…

だからよくわかんなかったな。クイーンもわかんないし映画としてもわかんなくて、結局、ライブ・エイドのシーンとか超エキサイティンなんですけど俺あれが他のバンドでも同じように超エキサイティンしたなって冷めた感じになる。
アダム・アントでもいいよアダム・アントでも。アダム・アントもクイーンと同じ会場でライブ・エイド出たんでしょ今ウィキ見ましたが。でもっていうか俺はむしろそっちが見たいよ…。

アダム・アントはどうでもいいが、そうなんだよ無いのはオーディエンスとか時代背景だけじゃないんだよ、他のアーティストとの関係とか音楽的な相互影響とか、クイーンの業界内ポジションを俯瞰する視点が全然ないんだよ。
これは厳しかったなぁ俺。クイーンていうよりもフレディの軌跡って感じのストーリーですけど、フレディ主体だろうがクイーン世代を対象にしてようがなんだろうが、それは最低限入れておかないと音楽映画として単にシナリオ上の欠陥にならねぇかなって思うんすけどねぇ。

だってそうしないとフレディとクイーンの独創性とか栄光とか彼らに固有の苦悩みたいなものも比較対象がないからボヤけちゃうわけじゃないすか。
それどころかバンドメンバーさえ135分の長尺でもわりと添え物扱いだから…メンバーが監修で入ってるらしいのでなんか別にいいんでしょうけど、いやでも本当になんていうか、目立たそうとしてスポットライト当てすぎたら何も見えなくなっちゃったみたいな。

でも曲とステージは良いんですよ。曲とステージはかっけぇかったんです。スローモーションでライブ・エイドのステージに向かうフレディ、みたいなオープニングも良かった。ニコラス・ケイジの『スネークアイズ』みたいで(それでいいのか)。
俺の印象としてはだから、あくまでもステージがメインでその間を適当なドラマで繋いでいくオールドスクールなハリウッド・ミュージカル映画って感じでしたね。

そこだけ良ければ後はわりとどうでもいいっていうか、どうでも良くはないんでしょうけどドラマ部分なんかはステージを飾り立てる効果しか狙ってない映画なんだと思った、良くも悪くも。
フレディ役、ラミ・マレック。たぶん実物よりクネクネしてて色っぽい、キュート。そのキュートなフレディがドラッグまみれのパーティを夜な夜な…というのは台詞で仄めかされるだけでクスリをやる描写はおろか場面さえ出てこないが、それちゃんと見てみたかった。むろんベッドシーンも、です。

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高すぎるんで再発してくれないと話にならないが権利処理とか難しかったりするんだろうか。

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さるこ
さるこ
2018年12月1日 6:14 PM

こんばんは。
知り合いのコは、お父上と見に行って、往年のファンの彼は感涙にむせんでおられたそうです。…そんな映画なのかもしれませんね。
ナルシスティックな(と私には感じられてきた)フレディ・マーキュリーを、受け入れてしまっている自分がいた!いやあ、だって、コーラスがスバラシいんですもん

さるこ
さるこ
Reply to  さわだ
2018年12月2日 8:23 AM

出っ歯のフレディ(ラミ・マレック)が可愛くてなぁ…〝葉っぱ〟ぢゃないよ!

よーく
よーく
2018年12月14日 3:34 AM

俺もクイーン直撃世代ではないですが、割と人生の節目節目でいい感じに励まされたり特定のアルバムを聞き込むくらいには好きだったのでそういうそこそこのファンにとってはちょうどいい感じの映画だったかなという感じがしましたね、これ。
予告編とかまったく見ずに劇場に行ったからもっとドキュメンタルな作りかと勝手に思ってたけどもう完全に劇映画のノリでしたね。でもそれも個人的には良かったかなと思います。俺のようなにわかファンが最も楽しめるような作りなのかなとは思いました。ちょっとフレディを美化しすぎだろというのはコアなファンの方からよく聞くし俺も実際のフレディはもっとシャレにならない嫌な奴な面もあっただろうな(でも憎めない人だったんだろう)、とは思うけどそこは劇映画として作るから主人公はガンガン上げていこうっていうことだったのかもしれません。
まぁ監督の意図は知りませんが、でもそういう風にフレディの人生を描いてくれたおかげでラストのライブ・エイドはただひたすらノレるんだよなぁという気もします。世間的には完全におっさんと呼ばれる年代の俺でもクイーンは小学校に入る前くらいが全盛期なんだけど、劇場で俺の前の座っていたどう見ても20代前半くらいの女性が「We Are the Champions」が流れたときに両こぶしを突き上げててクイーンて凄いバンドなんだなと改めて思った次第でした。
でもクイーン知らない人が見たらさすがにダイジェストすぎるんじゃねぇかな…というのはありますね。まぁライブ・エイドのシーンは圧倒的なんで終わりよければそういう細かいところは忘れて劇場を後にするだろう、ということなのかもしれませんが。