中沢新一もびっくりなマーベル映画『ドクター・ストレンジ』感想です(ネタバレなし)

《推定睡眠時間:15分》

予告編からすると風景を万華鏡のように変容させる能力らしいのでたぶんストレンジさんは物理学とかの博士、ではなく外科医だった。ドクターってそっちなの。趣味は壁に数式を書くことです的な理系スーパーヒーローものかと思ったら開始早々に魔法僧兵バトル勃発。そっちなの。

っていう感じに。ドクター・ストレンジことベネディクト・カンバーバッチはマインド・ティーチャーであるティルダ・スウィントンに先入観に囚われてはいけないと諭されていましたがそうだなよなぁ先入観は物事をつまらなくするなぁと開始五分で納得させられたブレインウォッシュムービーおもしろかったです感想。
原作知識のある人にはこう見えないと思うので逆に学びは大事だと思いましたね、逆に。

いや、だから知ってる人には何が面白いのかわからないと思うんですがストレンジ博士が覚醒してからのマジカルバトルというより…博士が人生のアナザディメンションに突入してしまうまでの超展開がおもしろかったこれは。
事故に遭うわけですよストレンジ博士が。その後遺症で神の手と外科医としての将来を失って失意のどん底。巨大な不条理の一撃は理路整然としていたはずの風景をミラーディメンション(陰)のカオスに変えてしまうというわけで、この人は科学的根拠のないことは一切シャットアウトだったんですが事故後はもう藁にも縋る思いで怪しい治療法も厭わない。

全身麻痺から奇跡の復活を遂げたラッキーマンに救いを求めに行く博士。「どうして治ったの!」「科学の無力を悟った私は巡礼の旅に出た。そしてネパールで出会った師が…」。
なんか既に首が若干傾くのですがこれを聞いて博士ネパールに直行。教わった住所を訪れるとラッキーマンが師と仰いでいたティルダ・スウィントンがいて、とりあえず博士に茶を飲ませて曰く「心の力で治ります」。
嘘つけテメェと激怒する博士だったのですがそのとき異変が! なんとなんかこう色とりどりのワームホールみたいなところにいてあのなんか周囲の空間が色々崩れて結合しててコラージュでほら超ひも理論では11次元がどうとか言いますけどあんな感じで手から手が出てきて手から手が出てきて手から手が出てきてワープして宇宙の始原から終焉までが時間の外で曼荼羅状に配置されこれは「クロス・ホェン」…なんかよくわからないけどすごいぞ!

オウム真理教でも新規信者にはまず幻覚剤を飲ませてオウムすげぇ的な気分にさせていたそうですがストレンジ博士もそこは理系なので茶になんか混ぜやがったなとスウィントン師に理性的に抗議をするはするのですが自分が今見たばかりの超越的な光景の素晴らしさには逆らえなかったので師の下で修業を受けることにする。
こうしてディメンション・ドアを超えてオールドエイジからニューエイジ/非Aの世界に入り込んだチベットのモーツァルトならぬネパールのヒポクラテス、ドクター否マスター・ストレンジであったというわけでその後かつてに同僚に経緯を話したらお前カルトに騙されてるぞと言われてちょっとだけ変な空気になってました。

sugoiomoshiroitoomou.

それにしても背景すごかったな背景。予告編でも流れてる高層ビルが万華鏡みたいになる…っていうか構造変化を起こして時計のメカニズムみたいに動き出すんですよね。その上を魔法僧兵集団が縦横無尽に駆け巡りながら戦うんですけど何が起こってるのかとても目で追いきれないですねこれ。
すごかったなぁ画面いっぱい全部使って全部動き続けるアクション。いやなんかバトル自体は結構スケールの小さい単純な…でもステージの勝利ですよねストⅡから背景抜いたらなんも面白くなくなるじゃないすかたぶん。
目を回しながらですね絶対そこ足挟むじゃん、絶対そこ足挟むじゃんて尋常じゃないハラハラ感で見てたなここは。あれ絶対足挟むんですよ。

一応バトルステージは色々あるのでその後は図書館ステージで普通に闘ったりもするらしく、そしてここでおそらくエンドロールで出演を知ったヴァンダムの愛弟子スコット・アドキンスが超絶CGに劣らぬ肉体アクションを披露してるはずなんですが、疲れて少し眠ってしまった…。
そんなわけで東大医学部の人がなぜオウムに的な怒涛の前半と基本的に何が起こっているのかわからない超絶CGショーケースが脳内融合を果たしてブレインウォッシュ。覗き込んでしまった感覚に陥る。
まぁスピリチュアル畑の人はいつも(メンタルのダークサイドを外界に拡大投影した…)巨大な何かと闘っていないといけないから大変だという話じゃないですかねたぶん。

こういう感想を支離滅裂と受け取る程度の電波感受性しか持ち合わせていないやつはどうせドクター・ストレンジのラブを受け止めきれないから見ても無駄である。俺はな! 俺はドクターのラブを受け止めたからこんなおかしくなってんですよ電波!

追記:もちろん普通におもしろい普通のハリウッドアクションでした。しかしとにかく映像の躍動感と立体感がすごいので3Dで見たら八割方酔うと思われ。その点は覚悟のうえ。あとマッツ・ミケルセンの悪役が影薄い、なんとなく尻すぼみ、など。

【ママー!これ買ってー!】


危ない1号 (Vol.1)

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