いや本当に書くこととかないから映画『天使/L’ANGE』感想文

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《推定睡眠時間:?分》

映画を観たら基本的にはちゃんと感想に残そうと思っているんです。なんか観ている間はぼんやりとしか考えていなかったことも文章に起してみると思いがけず明瞭な形を取って自分で自分が何を考えていたことがわかったりするので脳内健康にいい。書いてるうちに急に映画のわからなかったところがわかったりしますしね。イメージ的にはロマサガ3で技閃く時のあれ。

だから映画を観たら感想は残したいんですが『天使/L’ANGE』ね、これ感想とかないね。いやー、ないね。本当に。強いて言えば「観たなー」みたいな。「観たなー」とは思いましたよ映画終わって。観たからね実際。観たら「観たなー」って思うじゃないですか。お腹へったら「お腹へったなー」って思うのと同じで。すごいよね。その意味では生理欲求と肩を並べているわけですから『天使/L’ANGE』。食うとか寝るとかウンコするとかの横に天使するがあるわけですよ。

まぁウンコした瞬間は気持ちいいですしご飯を食べた瞬間も気持ちいいですし眠る時も気持ちいいですが気持ちよくなるためにやってるわけじゃないじゃないですかこういうことは。気持ちよくなりたくてもなんとなくやってるだけですよね基本的に。天使するもそんな感じでしたよ。気持ちよい瞬間は確かにあったかもしれない。でも、駆け抜けていったね。あとはもう、なんとなくですよ。なんとなく「観たなー」と。

生理欲求ですから。生理欲求に感想とか基本ないですから。今日のウンコの特異性について長々と書かないですから常人は。それはまぁ、世の中には今日のウンコの感想だけで5万字くらい書かずにはいられないというような狂人が存在することも存じておりますけれども俺は常人枠だからね。常人はそもそもほぼほぼ毎日映画の感想とか書かないんじゃない? それも確かにそうだがこれは一応若気の至りでブログで稼いでやるぜというのを5年くらい前に思い立ってもちろんそんな夢のようなことにはならないわけだが1年目ぐらいで早くもそのことに気付いてしまった頃には一日一本の映画感想文が生活にガッチリ組み込まれてしまっていたので引くに引けず今日に至るという狂人なりの悲しい理屈と過去というのがあってですね…俺もね、もう映画の感想とかなくてもこれぐらいは映画と全然関係ない妄言駄言で文章を水増しできるようになりましたから。

広告料なんか月3000円ぐらいで全然稼ぎにはならないとしても感想を量産することでそれなりの成果というのもあったわけですよ。じゃあその成果を何に使うかというとまぁ、他に使い道もないわけだが…。

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全然映画に触れてないけどいいだろ別に映画だってアバンギャルドなんだから。アバンギャルドはアバンギャルドとして観客と絶対に詰められない距離を保っている間だけ生命を得るんです。そりゃアバンギャルド作家の懇切丁寧な作家&作品解説(音声解説500円)付き回顧展とかだって教養を高めるとかとりあえず実物を見るっていう点では非常にありがたいですけれどもそこに作品の生命があるかといったらないでしょ。

そういうの去年だったか去去年だったか上野でやったデュシャン展行った時に思ったね。主要作品を作家の歩みに合わせて展示してて非常にとてもお勉強になったし、実際に観る大ガラスはさすがにでかいから迫力はあるし見る角度によって色んな顔を見せるので思ったより全然美術品として面白いし美しい…とかそれはいいんですけれども大ガラスにしてもレディメイドにしてもそれを初めて観る人の視線では絶対に観れないわけだし、その時に作品が帯びていたはずの突破力は残酷なまでに削ぎ落とされていて…というか作品は別に変わらないわけだからこっち、観る側の方、俺の方がそのような形ではもうデュシャンに触れられないっていう現実を突きつけられるわけですよ。

これはちょっと皮肉なことですよね。この逆説に従えばデュシャンのような作品はそこに現物が存在しないことで生命を保つことになるわけで、別にやりゃしないですけど監視員の目を盗めば触ることだってできる距離に作品が置いてあるっていう状況はなにやら死体解剖じみていて、医者の手つきで作品のはらわたを引き出せば生きている間は絶対にわからなかった作品の生体構造が手に取るようにわかる。でもそのことで解剖者が得るのはその作品が既に死んだっていう事実でしかないわけですよ。なんともグロテスクな光景ではないですか、これは。

無意味にして無定型な駄文も書いていれば次第に形を成してくるものだ。たぶんね、俺にとっての『天使/L’ANGE』、そういう体験だったんですよ。ノンリニア編集時代に観れば反復と切断と多重露光のオブセッションに覆われた映像世界もうわこれフィルム編集とか地獄じゃねぇかとか思ってしまう。どのような天使だか知らないがそんなところに天使はたぶんおらんでしょう。今の時代の我々はもう天使に触れることはできなくて、光溢れる最後のシーンに微かに見えたような気がする何かが、過ぎ去った奇跡を思わせるというのは、2020年のデジタル化された映画館ではじめて『天使/L’ANGE』を観る俺のような人の特権かもしれないけどさ。

※あと、色々明滅するので画面よく見えない。

【ママー!これ買ってー!】


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クエイ兄弟とかヤン・シュヴァンクマイエルの世界が好きな人には面白い映画なんじゃないすかって気はした。

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