《推定睡眠時間：0分》
元になったアプリゲーはやったことないのでそういう人の感想ですけれど一言でいえば劇的に色の悪い甘すぎて舌が死ぬショッキング輸入お菓子で二言目を続ければ登場人物が全員躁状態のエディ・マーフィーで三言目ともなればそのうえありうべきと想定されるスピードの1.5倍速で進行するので再び一言で集約すれば、とにかく…とにかくもう疲れる。疲労感半端ない。
なんだろうなこれはぶさいく鳥大暴れにバカキッズは大喜び大はしゃぎに違いないですし脳内キッズの俺も大喜びだったんですけれども体がついていかない。やー、うん、ねぇ…おもしろいねおもしろいすねそれでとにかくね、ゆっくり温泉に浸かって寝たいっていうそういう気分です今。
…と書いたのが観た当日。それから一週間ぐらい経過して続きの感想を書いているわけですが、その間にアプリの方もついついダウンロードしちゃったのでメディアミックス効いてます。
でそのアプリなのですが…どうしてこれがあんなやかましい躁アニメになるのか謎。無料である程度遊べるのでやったことない人にはとりあえずやってみてもらいたいのですが（おもしろいよ）、ブロック崩しとビリヤードと『パズルボブル』をぐちゃったような思考型パズル。
俺の想像では『怒首領蜂』ばりの激ムズハイテンション弾幕シューティングですぐ死ぬからプレイヤーがイライラしてそれでアングリー、操作するのが鳥だから『アングリーバード』。だったんですがでもそんなんじゃ全くなかったすねどっちかっつーとシンキングバードすねこれ。
ゲームのことはいいか。それで映画の方なんですが、これ映画の前にテレビ（配信？）アニメかなんかになってるらしくて、お話つながってるぽい。舞台は飛べない鳥の暮らす小さな島なんですがあんま説明しないので世界観がよくわからない。このあたりアニメシリーズでやってたから端折ったんでしょうたぶん。
よくわからないまま主人公の赤い鳥登場。眉の形とか見た目なんとなくコリン・ファレルで、この人（鳥）やたらキレまくり自分を抑制できない。ブルズアイ（『デアデビル』）が思い出されるのでますますコリン感出るが。それはともかくタイトルが出てコリン・ファレルの屈折アングリー半生を振り返りながらのBGM、ブラックサバス『Paranoid』。
この問答無用のゴリ押し感、アホ。完全アホのまま全編走破するのですごい（つかれる）
んでそんなコリン鳥が自分をコントロールするためのグループセラピーに行く。そこにいたのは興奮すると爆発する巨鳥（ジョン・グッドマンみたいな感じか）、虚言癖があって常に躁状態のうぜぇ黄鳥（途中からスティーヴ・ブシェミにしか見えなくなってしまった）、あと触れちゃいけない過去のある無口な恐鳥と厚化粧の講師鳥。
このあたりゲーム中で使えるキャラクターみたいなんですが、グループセラピーのメンバーって。なんでその設定になったのゲーム中にそんな雰囲気全然なかったぞ。
こういう微妙な毒気がしかしまぁ面白いのですが。
話はそっから謎の文明豚襲来、そしてグループセラピーの問題鳥だち一念発起、島の守り神マイティ・イーグルの正体とは！？ みたいな感じに転がってくのですが、まぁ、もう、とにかく勢い任せなのでストーリーがどうとかそういう問題じゃない気がする。
とにかく動きまくる喋りまくる。エディ・マーフィ五人分ぐらいの落ち着きのなさでマシンガントーク＆全盛期のジャッキー映画ばりのスラップスティック。三半規管がヤラれて前後不覚の酩酊状態で幸せになってきます。だいたいコリン・ファレルとスティーブ・ブシェミとジョン・グッドマンが一箇所に集まってジョーク交えて口喧嘩してたらストーリーどころじゃないでしょ。そんなのそれだけで面白すぎるじゃないですか。
ダメ人間大集合の大ドタバタなしっちゃかめっちゃかクライマックスには大笑いしながらウルっときちゃったりする。はいこれねこれ、こういうの大好き。あれです『カエルのために鐘は鳴る』ってゲームあったでしょ、ゲームボーイの隠れた名作と言われる。あのラスボス戦こんな感じでしたよね。
勢い任せには違いないのですがそういうところはちゃんとしてんすよなんか。だから意外と、終わってみれば綺麗にまとまったなみたいな。上手いっすよね。
なんかまぁそんな感じの映画。これは続編待望もの。おもしろかったおもしろかった。
（文・さわだきんたま）
【ママー！これ買ってー！】
そうそうレア社ゲーム感があったんすよねこの映画。レア社の『スーパードンキーコング』とか『バンジョーとカズーイの大冒険』を映画化したらこんな風になるよなみたいな。外しのユーモアセンスとかキャラクターとか、全体的な世界観が似てるんですなんとなく。
あと『バンジョーとカズーイの大冒険2』ですが64屈指の名作アクションだと思います。バーチャルコンソールでできるのこれ？
