シュワなしでもやるんだよ映画『大脱出2』感想文

投稿日: カテゴリー 居眠り映画館タグ , , , , , , , , ,

《推定睡眠時間:20分》

シュワ×スタローンの顔合わせが『大脱出』という映画の最大にして唯一の売りだったのでどんな内容か思い出そうとしても拷問室で苦しみ悶えるスタローンと笑いながら機関銃をぶっ放して武装警備員をみな殺しにしていくシュワの姿ぐらいしか思い出せないのだが、おもしろかった、たとえどんな内容であったとしてもシュワ×スタローンが出ればおもしろいという身も蓋もないが映画の真理に触れた映画が『大脱出』であった。

その正式な続編はシュワが不参加。その時点で企画として完全に終わったと思うが、勝ち目なしの戦いに挑み続けてきたのがロッキー/スタローンである。スタローンは逃げないし挑戦をやめない。

スタローンの心の声を受信した。お前らはどうだ。戦っているのか。シュワが不参加? そりゃダメだよ…そんなものは言い訳だ。シュワが不参加でも俺は戦った。お前らがどうするかはお前らが決めるんだ。逃げるのか。戦うのか。映画は娯楽じゃない。映画はリングで、戦場だ。

果たして出来上がった映画はリングで戦場であった。たぶん舞台裏もリングで戦場だっただろう。製作と製作総指揮に20人ぐらい入っているのでクレジットを見るだけでなんとなく身の竦む思いである。

ストーリー。表向きは警備会社の経営者だが本業は『夜逃げ屋本舗』みたいな脱獄・救出請負屋のスタローン。その部下の一人が作戦に際してチームワークを乱し、救出ターゲットの一人を死なせてしまう。スタローンは彼を即解雇。『エクスペンダブルズ』におけるドルフ・ラングレンを想起せずにはいられない設定と展開に早くも闘志がダメージを受ける。

一方でスタローンが目に掛けているのは囲碁とカンフーが強い新人のホァン・シャオミン。囲碁が強いやつは陣地全体を俯瞰しているから人を率いるのに向いているとのスタローン評定により古株カーティス・ジャクソンもそっちのけで昇進まもなくか、と思われた矢先、シャオミンは『リアル鬼ごっこ』みたいなヤツに拉致されてしまう。

目を覚ますとそこはハイテク私設刑務所その名もハデス。その必要があるのかどうかはまったくわからないが自動ドアの代わりに蜂の巣状のバリアーが張ってあったり医者がレーザー縫合でなんでも治してしまうロボットだったりするが囚人飯を作るのはなぜか人力という超すごいところである(そっちの方がロボ任せ簡単だろ)

偉い悪い人たちの慰みか、囚人たちは日替わりでファイトをさせられる。果たしてホァン・シャオミンはそんなヘル環境を生き延びることができるのだろうか。まあカンフーの達人だから負けることとかは基本ないわけだが、勝ったところで壁面ディスプレイに環境BGV的な風景映像が流れていて置いてある色鉛筆で自由にお絵かきしてもいいだけの部屋“サンクチュアリ”に2時間入れるとかいう糞みたいなご褒美しか貰えないからシャオミン的にも見ている俺的にもモチベーションはもうゼロである。

刑務所は人の肉体は殺さないが精神は殺す。早く助けにきてくれスタローン。悠長に事務所で電話なんかしてる場合か。お前電話ばっかしてるじゃねぇか。その間にもなんか脱出計画が勝手に進行してるぞハデス内で。あの糞みたいなサンクチュアリに万能ハッカーだがバトルはからきしの囚人をなんとか送り込んで懐柔したり(嬉しかったの!?)、こんなハイテクなんだから盗聴装置ぐらい全員付けてるだろうとは誰一人考えず堂々と脱出計画を語りながら!

まぁ結局最後はスタローンが乗り込んでドーンですけどね! そして衝撃の「次回に続く」エエッ! スタローンは、挑戦を、やめない! 俺はもうやめてもいいと思うよ色々頑張ったもんスタローン。

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それにしてもこの作劇はどこかで観たことがある。スタァ俳優はチームの司令塔的ポジションで現場に踏み込むのは最後の最後、代わりに戦うのはむしろお前が主役じゃん的な中国か香港から引っ張ってきた若手アクション俳優、とくに物語上の意味はない多国籍ロケ(空撮)でグローバル感を演出し、むしろお前が主役じゃん役はいつのまにか引っ込んでスタァ俳優が大して強くない敵のボスだけ瞬殺、手柄をすべて独り占めしてしまう。

…セガール映画である。そうだこれは間違いなくセガール・メソッド。ちょっと殴るとかちょっと蹴るとかちょっと右から左へ移動する程度のアクションすら億劫になってしまったが、とりあえずアクションスタァの体面だけは繕いたいセガールが積極的に採用している作劇ではないか。

直近のセガール映画『沈黙の終焉』もだいたいこんな作りであった。特にそうである必要はないし脚本的には居ても居なくてもいいようなキャラクターだがエロくて綺麗な女が近くに居た方が良いというだけの理由でスタァの側近が金髪美人というポリコレ完全非準拠な配役まで同じである。チーム・スタローンにもやはりそんな女がいた。

交わりそうで交わらなかったセガールとスタローンが老境に達してついに同じステージに立ったのか。これは感慨深い。
幾度も出演の打診があったにも関わらずスタローン・プレゼンツの筋肉オールスター感謝祭『エクスペンダブルズ』シリーズを俺が目立てないから(※想像)という理由で蹴ってきたセガールだ。

そんな馬鹿げた判断があってたまるかたとえ出演時間がトータルで10分に満たなかったとしても『エクスペンタブルズ』1本の方がお前が主役のくせにろくに動きもしないし台詞もまともに読まないクソVシネ10本より遙かに価値があるだろうがとファンのひとりとしてセガールを案じていたが、スタローンの方からセガールのステージに降りてきてくれるとは。まるでハデスに囚われた仲間を救うかのように…。

読めましたね。これはスタローン捨て身のセガール救出作戦です。出ますよセガール、『エクスペンダブルズ4』。間違いない。底辺だからこそわかり合えるものもある。ゴミ山の中で芽生える友情もある。スタローンはやはり真の漢だ。
そういえば『大脱出』にも『大脱出2』にも実はあいつの正体は的などんでん返し展開があったが、この隠れセガールこそが『大脱出2』最大のどんでん返しだろう。

セガール・トリックに気付かず星1つとかで映画を評価しているやつは反省してほしい。そんなものは『シックス・センス』をくたびれた精神科医と少年の交流の話として理解するようなものです。まぁそれも間違いではないが。
『大脱出』がシュワ×スタローンの夢の共演なら『大脱出2』はセガール×スタローンの影の共演だ。俺はこの共演、支持しますね。ただそんなに面白くはなかった。

【ママー!これ買ってー!】


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「セガール引退」のキャッチコピーに心躍ってしまったが引退しないっぽいのでガッカリしました。しないなら出ろよ『エクスペンダブルズ4』。

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