スマホテロ映画『ロボット 2.0』感想文

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《推定睡眠時間:20分》

ツイッターで『パトレイバー THE MOVIE』の敵役(という表現が適切なのか微妙ですが)だった帆場暎一が巨大化して襲ってくる映画が『ロボット 2.0』だという感想を目にして嘘つけなんでもかんでもパトレイバーに結びつけやがってパトレイバーを引き合いに出さなきゃ世界を語れないのかこのネット民どもがと心の中でツバを吐いておりましたがすいません帆場暎一が巨大化して襲ってくる映画が『ロボット 2.0』でした。

映画が始まるとそこは僻地に立てられた真新しい巨大な鉄塔。無数のカラスかなんかの鳥たちが鉄塔の周りを狂ったように飛んでます。夕陽の橙が禍々しい。
さてその鉄塔に一人の男が登っていく。この男が誰かはわからない。夕陽を背にして顔もよく見えない。だが目的は薄々わかる。「神よ、罪深い私をお許しください」男はそう言い残して首を吊るのであった。ますます激しくなる鳥の鳴き声が、男の声にならない断末魔の叫びを何倍にも増幅する…帆場じゃねぇか『パトレイバー THE MOVIE』見ただろ『ロボット2.0』のシャンカール監督おい。これ『パトレイバー THE MOVIE』のオープニングだろ。

その後どういうわけかインド全土でスマホが天に召される(比喩ではない)怪現象が勃発、なぜか召される前にそのディスプレイには鳥の動画が映っており、更には鳥変化を遂げたスマホ群団がスマホ業界の偉い人を殺したりスマホの電波塔を破壊したりするテロ行為を実行していくのであるがってレイバーの暴走! 『パトレイバー THE MOVIE』のレイバーの暴走をスマホの暴走に置き換えたとしか思えない! 鳥がキーになっているところも明らかに『パトレイバー THE MOVIE』である。

インド映画は様々な点で独特の発展を遂げているのでわからないことがあって当たり前だとは思うがしかしこれは、しかしこれはちょっとなんでだろうが押えられないところだ。まずなんで今になって 『パトレイバー THE MOVIE』なのか。自死オープニング、機械の暴走、鳥、犯人の動機とどれを取っても『パトレイバー THE MOVIE』なので偶然似たとはさすがに思えないが、なぜ今なのか。そしてレイバーは歩行機能があるから暴走するのもわかるがスマホが暴走して鳥のように飛び回るのはどういう物理的なあれなのか。その答えは劇中でオーラの力ですと説明されていたが説明されたら余計わからない。

辛うじてわかるのはその引用もしくはオマージュの仕方からして尋常ではないということであった。さすがインドエンタメだ。

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こういうのはしかし現地でどういう風に観られてるんすかね。150分ぐらいしかないのでたぶん短縮されたインターナショナル版とかなんだと思うんですがそれでもインドなシーンの連続。CGを隠す気が一切ない圧倒的なCG的CGもインドだしスーパースタァ・ラジニカーントのクレジットが(クレジットが!)圧倒的存在感で迫ってくるのもインドだし前作は英語題と原題副題が『ROBOT』とかだったのにこの続編は原題がロボットなしの『2.0』なので「SUPERSTAR RAJINI」のクレジットに続いてタイトルが出ると「SUPERSTAR RAJINI 2.0」と読めてしまうところもインドすぎた。日本文化圏から眺めると理解に限界がある。

あととにかくクドいのもインドでしたね。いつまでも終わらないバトルシーンとかもそうですがインド中のスマホが携挙されるシーンが様々なシチュエーションで10回くらい繰り返されたりすると3回やればいいだろと思わずにはいられない。10回もやるなよ。10回はもう…ちょっと天丼の力で面白くなっちゃうな。案外、そのへんは狙ったヘタウマギャグの観があるのだった(ラジニのコメディアンっぷりも実に洗練されていたので)

もっともこの携挙10回というのはインド広いし文化も経済も重層的なので色んな人に観てもらうための方策っぽいところもあり、ストーリーの軸になっている規制の緩さに根を持つスマホ会社の競合に伴う地方の環境破壊、というのも含めて我々は都市部の犠牲になる地方を忘れてないですよみたいな社会的メッセージを感じたりもする。

後半に用意されたサッカースタジアム大決戦もそういう意味では社会派な面があるのかもしれない。スマホが集まって巨大化した帆場ロボットをぶっ殺すために大量生産されたラジニロボ2.0(バージョンアップすると赤モヒカンになって口が悪くなります)が球型に合体、スタジアムをゴロゴロ転がりながらライフルを500丁ぐらい乱射しまくり(球型になった意味はあるのだろうか)ラジニ二役の博士が言っていた「ラジニロボはアシモフのロボット三原則を守ります」の切なる言葉を完全無視してむしろ帆場ロボットよりも多数の観客を巻き添えにしていくのであるが、都会でサッカー観戦なんかしてるやつはそこそこの金持ちに違いないので低カースト地方民は溜飲を下げたりするんだろう。

豪快にしてインドなバカシーンの絨毯爆撃も見方を変えればそれなりに作り手の理屈というのも見えてくるのだからやはりわれわれはまだインド映画の奥深さを知らない。序盤『パトレイバー THE MOVIE』、中盤『デビルマン』、最後は『ドラえもん』になる『ロボット2.0』、深い、あまりに深い映画でしたね…。

【ママー!これ買ってー!】


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押井色とパトレイバー色が絶妙なバランスでミックス。完成度でいえば名高い劇場版2作目を超えているんじゃなかろうか。

500
りゅぬぁってゃ

当初、敵役としてシュワちゃんをオファーしてたそうな。もし引き受けてくれたら更に話題になったのになあ…。
あと、制作の親会社が「ケータイ通信」の会社なのに、完成が遅れてるのをいいことに試写会なしで上映したんだとか♨️
その辺のルーズさで生まれた映画ですね。