老害は大変映画『バッドボーイズ フォー・ライフ』感想文

投稿日: カテゴリー 居眠り映画館タグ , , , , , , , , ,

《推定睡眠時間:0分》

いやぁ、よく考えますよねぇダジャレタイトル。シリーズ二作目の『バッドボーイズ 2バッド』はtoo badってことでしょ、そしたら今回の『バッドボーイズ フォー・ライフ』はfor lifeと書いて4ライフと読めってことだよね。『ぷよぷよ通』とか『ぷよぷよSUN』みたいな感じで。
ということは次もハリウッドが知恵を絞ってなにかしらダジャレを作ってくるに違いない。5作目か。five…fiver…fifth…これは難しいな、語学に堪能な人ならこれらとダジャレた英語の成句を引き出せるのかもしれないが、俺にはそれっぽいものが浮かばない。こうなると、なんとか自分で考えてみたくなる。

こういうのはどうだろうか。『バッドボーイズ フィーバー○○』。○○の部分はまだ考え中だが(安パイ路線としてはフィーバータイムだが、もう一捻り欲しいところだ)フィーバーならバッドボーイズの世界観によく合った語句だし、タイトルだけで楽しそうな映画だなって気がしていいんじゃないだろうか。ただ問題はfeverとfiverはスペルでいったら一文字違いでも発音のダジャレ完成度はあまり高いとは言えない。

そこでもう一案考えてみた。『バッドボーイズ ファイバー・ダウン』。これは光ファイバーのfiberで、光ファイバーのダウンというのは多少強引だが大規模サイバー攻撃の比喩。『ダイ・ハード』だってそういえば4作目はサイバーテロものだったし、捜査中にパスワードの壁にぶち当たったらキーボードに触れる前にディスプレイを撃ち破りそうな肉弾男子のバッドボーイズがサイバーテロに挑むというのは内容的にも変化があっておもしろいんじゃないだろうか。おあつらえむきに今回、AMMO(弾薬)という看板こそ物騒だがその実体は先端テクノロジーを駆使したデジタル捜査班がバッドボーイズの仲間に加わった。これだ、これで行ける!

ところで、俺は観ていないのだが三作目はどんな風にダジャレたんだろうか。三作目だからたぶんthreeとかthirdでダジャレているに違いない…これも結構難易度が高いな、検索してしまおう…とその結果、『バッドボーイズ』の三作目こそこの『バッドボーイズ フォー・ライフ』であることが判明しました。
ええっ! なんて紛らわしい! そんなもんforはfourのダジャレ形だと思うだろ! too badの前例があるんだから! じゃあなに! for lifeがダジャレタイトルじゃないってことはあるかもしれない続編もダジャレタイトルじゃないってこと?

うわ考えて損したわー。貴重な時間無駄にしたわー。すげーバカみたいになってるわー。でもねー。そういう風にバカみたいに時間を浪費させてくれるのが『バッドボーイズ』の醍醐味ですよねー。今回もおもしろかったですよ『バッドボーイズ』。うん、確かに時間は無駄にした。だが! どうせ誰もが最後は必ず死ぬ運命、いずれ無に帰してしまう生にどんな意味がありえるというのか。ない。そんなものはないのだ。だが、意味のない人生はつまらない人生だろうか? そんなことはない!

たとえ意味がなくても明日は来る、死に向かっていながらなお、楽しいものはただ楽しいのだ! これは哲学じゃないですか! 『バッドボーイズ』哲学ですよ! 東洋哲学! 荘子! う~ん、なんて時間の無駄にしかならない実のない感想なんだ! まぁ、『バッドボーイズ』も実がないから別にいいよね!

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それにしてもマーティン・ローレンスの加齢加重っぷりがすごい。彦摩呂かハンプティ・ダンプティじゃないですかあれじゃあ。相方のウィル・スミスがハリウッド式アンチ・エイジングで少しも前作からの進歩老化を感じさせないものだから余計に目立つ。一作目の画像なんかと比べるともう、誰? タカアンドトシのタカも売れる前と後でこれぐらい変わったよな。全然関係ないけれど。

で、今回そこらへんを開き直って、ボーイズじゃねぇじゃんマーティン・ローレンスおじいちゃんじゃんっていうネタをひたすら引っ張る。あそこ大笑いでしたな。まだまだボーイズ感覚から抜け出せないウィル・スミスが引退宣言したローレンスを置いてひとり連続射殺事件の独自捜査に乗り出す。一方、ローレンスは自宅でリラックスタイムだ。車種とかわからないが絶倫感をボディ全体から醸し出すいかにもなヤングカーに滑り込んでサングラスをスチャっと装着するスミス。そしてテレビの前のリクライニングソファーに深々腰を下ろすとおもむろに老眼鏡を装着するローレンス。スミスがアクセルを踏み込むとローレンスはソファーの背もたれをグッと倒す! なんてのどかなギャグなんだろう。

このローレンスの加齢いじりがしかし、物語の推進力にもなっているのだからバカ映画と見せかけて案外周到である。加齢を受け入れたローレンスをスミスはどうしても受け入れられない。まだまだボーイズ気分のスミスにとって相棒ローレンスの引退は自らのアイデンティティを揺るがす大事件であった。撃ってヤって爆破し続けて四半世紀、ローレンスの方はその間仕事の外にも自分の居場所を築いてきたが、スミスは今でも作れぬままだ。いずれ自分も引退は避けられない。定年後、いったい何をして退屈な余生を過ごせばいいというのか。

いつしかスミスは職場の老害となっていた。暴力捜査をさせろさせろとうるさいがぶっちゃけ邪魔なだけなので新たに立ち上げられたデジタル捜査チームのアドバイザー的なポジションに回されるが、チームのやり方を完全無視した独自の現場主義と暴力至上主義によりあわやチーム壊滅の危機、若気の至りで人を殺めて以来暴力御法度の平和主義者となったハッカータイプの捜査官をそのままにしておけばいいのに暴力刑事の道へと引きずり込む、しかも加齢臭を隠すために派手な香水をつけたりして臭いしウザい。最後のは想像だが俺の経験則から言って十中八九そうである。

スミスがイタい映画だったな今回は。それでそのイタさのせいでなんかまたマイアミ大変なことになるんです。めちゃくちゃとばっちりだと思ったね。スミスがいなければマイアミ間違いなく平和だったよ。早く引退すればいいのに、俳優。ごめんそれは言い過ぎでした。
イタいスミスのおかげで今日もマイアミは無事戦場。非暴力主義もデジタル捜査も穏やかなリタイア後の生活も全部グレネードランチャーで吹っ飛ばして敵の本拠地メキシコシティに殴り込みだ! ラストバトルの顛末はスミスのけじめ的にあれでいいのかと俺の中で疑問符が爆発しているがいいんだ、スミスは生涯バッドボーイズ、ローレンスも生涯バッドボーイズ、股間のボーイズだってバッドだぜ! そういうことを言ってるからスミスは職場の老害なんだ。言ってないけど…。

監督がマイケル・ベイから新しい人(アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーのコンビ監督)に変わったらパープルとかグリーンとかの主張の強いネオン照明でマイアミの夜を艶やかに照らす、レンズフレアだってガンガン入れちゃって画面ギラギラ、別にお話的にはそういう感じでもないのだがネオ・ノワール感とかナイトライフ感があってなかなかおもしろい。最後らへんのケレン味に溢れた映像表現は石井隆とかリドリー・スコットの系統。『GONIN』とか『ブラック・レイン』とか。これマイケル・ベイっていうかマイケル・マン寄りの画作りですね。同じマイアミ刑事ものでも『マイアミ・バイス』の方が感覚的には近かった。

いいですね。火薬量はまったくまったく物足りないが映像はかっこいいし安易な人死にには笑わされる、ローレンスには和まされてスミスの若作りには泣かされる、たのしいえいがでした。

【ママー!これ買ってー!】


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全然違うじゃないかと思われるでしょうが最後まで観るとなんとなく世界が繋がるから、ちょっとだけ繋がるから。

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