四大怪獣大激突映画『ランペイジ 巨獣大乱闘』の感想(激しくネタバレ)

《推定睡眠時間:0分》

種の違いを超えて完璧に意思疎通してしまっていたが宇宙から飛来したどうぶつ巨大化凶暴化キメラ化エキスのせいで一度は仲違いしたドウェイン・ジョンソンと神秘的な白毛を纏った不死身の巨大ゴリラ神が再タッグを組んでシカゴの街で破壊の限りを尽くすこちらもどうぶつ巨大化凶暴化キメラ化エキスの餌食となったというか自分から摂取してしまった巨大ハリネズミモモンガオオカミと巨大トゲトゲ無敵装甲エリマキアリゲーターに立ち向かうのだが超いいよこれ超いい、にっくき悪の怪獣に対峙する巨大ゴリラ神とドウェイン・ジョンソンのツーショット、明らかな体長差も種族の壁もガン無視して自然にフレームに収まりすぎてて超いいんだよ!

巨大不死身ゴリラ! 巨大ハリネズミモモンガオオカミ! 巨大トゲトゲ無敵装甲エリマキアリゲーター! 確かにおもしろいがもう1匹くらい怪獣が欲しい気がしたので出ないかなぁ出ないかなぁと待ちわびてあぁもう出てこないな、と諦めかけたところに最後の怪獣としてドウェイン・ジョンソンが怪獣バトルロイヤルに参戦するんだぞ!
いいよやっぱこれ超いいよ。ユニバースでもなんでもいいから早く続編作って欲しいし続編ではドウェイン・ジョンソンが巨大化凶暴化キメラ化エキスを浴びて巨大化してほしいよ。

エナジーン社の崩壊により世界中に拡散してしまった巨大化凶暴化キメラ化エキスにより世界怪獣大戦勃発! とかやってほしいよ。
今度は大都市(ニューヨークにしよう!)に結集した本当はナオミ・ハリス博士の開発した良心取り戻し薬の効果によって善の怪獣になっているがホワイトハウスの人たちの目には危険な化け物としか見えない怪獣たちを殲滅せんと飛んできた核ミサイルを巨大ドウェイン・ジョンソンが両手で受け止めて宇宙に向けて投げ返すとかやってほしいよ! それからマンハッタン島は怪獣特別保護区となったのだ!

馬鹿になる。これは観ると馬鹿になる。でもいいじゃないですか怪獣映画ぐらい馬鹿になって観たいじゃないですか…! 怪獣プロレスぐらい無邪気に楽しませてよ争いの絶えない世の中。
そうだよ怪獣プロレスだよ。怪獣プロレスが比喩じゃないんだよ文字通り怪獣プロレスなんだよ。巨大トゲトゲ無敵装甲エリマキアリゲーターに攻撃を仕掛けるも当然の猛反撃に遭い(なんで生身で戦えると思ったんだろう!)生命のリング際に追いやられたドウェイン・ジョンソンを救うべく巨大トゲトゲ無敵装甲エリマキアリゲーターに背後から凶器攻撃を仕掛けるんだよゴリラ神! これでどうしてWWEが製作に噛んでないのか不思議。

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あとすごいのはこの映画元々は古いアーケードゲームだそうですがそれは知らないのですが現代風にどうぶつ怪獣化現象を流行りのゲノム編集技術の賜物として脚色、理由付けしているのですがそのなんとなくそれっぽい名称だけ借りた感に躊躇いがまったく見えないところですよ。
都合のよいことに先々月号のニュートンがゲノム編集技術の特集を組んでいたので今手元に置いて読み返しながら書いてますが3行ぐらい目で追って読み返してどうするんだろうって思ったので今そっとページを閉じました。
ナオミ・ハリス博士は言う。わたしは全ての遺伝子を書き換える技術を開発したんです! そうだとしたらすごいが特定遺伝子だけを書き換えられるからゲノム編集すげぇっていう話なので全部書き換えたらそれゲノム編集の意味ないのではっていうか巨大化関係なくない? 躊躇いがない。

だいたいこの映画のドウェイン・ジョンソンはゴリラと会話のできる男。いや違う逆だゴリラが人間と手話で会話してジョークをかます余裕を見せるゴリラなんだ。説明すらなく普通にゴリラとドウェイン・ジョンソンがコミュニケートできる世界であるからこれはもう、躊躇いを完全に断って人類を出家した。
そんな、『猿の惑星』じゃあるまいし…でも会話できるんだよ! ハートでよ! 俺たちのハートとボディでよ! 言葉なんていらねぇんだよ! 種族だって関係ねぇんだ!
ドウェイン・ジョンソンの筋肉説法に馬鹿を超えた感動が宿る。これこそヒューマニティというものではないだろうか…。

そのわりには悪の製薬会社のCEO姉弟の始末っぷりに容赦がないがいいんですヒューマニティの極致とは人間の放棄、どうぶつになるということが最も人間的であるとの逆説。
所詮この世は弱肉強食。だが食われるものは食うものの血肉となって、食うものもやがて食われるものの血肉となる。どうぶつ世界のエコノミーには余剰も格差もないのだ。それをヒューマニズムと呼ばずしてなんと呼ぶか。

まさにそれを体現する姉の豪快死、本年度いちばん役に立った悪役の死に様大賞候補。こんなぞんざいな悪役造形が今時あっていいのかと思うしこんなひどい悪役殺しがあっていいのかと思うので俺はまだ人間を捨てきれていないがクソ笑いました最高。
それに対して姉に輪をかけてキャラの雑な弟の巻き添え死は無駄死に感がひどすぎるが(そしてやはり噴飯不可避だが)これも現実の自然な姿ではないだろうか。

この姉弟は怪獣パルスで自分たちの居城たるシカゴの金持ちビルに怪獣を呼び寄せる超自滅行動が謎すぎたが、どうぶつの行動原理はいつだって人間には謎めいて映るものだ。
ジャングルの雄大にして精緻な秩序を人間の矮小な尺度で測るべきではないだろう。怪獣大進撃によって今やシカゴはジャングルと化した。ウェルカム・トゥ・ジャングルである。

巨大トゲトゲ無敵装甲エリマキアリゲーターが上陸するところ、『シン・ゴジラ』の蒲田くんみたいで感激したよ。巨大ハリネズミモモンガ噛ませオオカミが空を飛ぶところ、クラッカーあったら鳴らしてました。
めちゃくちゃ強そうな風貌なのにびっくりするぐらい使えない米軍指揮官も最高なら本来は食わせ者的ポジションと思われるが若本吹き替えによって面白い若本になってしまった政府非公認の怪獣ひみつ捕獲隊リーダーも最高だ。
気絶状態のままパラシュート降下させられて途中で覚醒、「ぬぁ、ぬぁんじゃこりゃ…あぁぁぁぁ…」大空に消えていく若本ボイスは必聴なので字幕版で見た気になった人は黙って吹き替えも見て下さい。

こんだけ暴れて壊してラストに待ち受けるのがプギャー的なゴリラの死んだふりジョークとか、もう満点中の満点、何も言うことなし。言うことがあるとすれば一点だけだ。巨大ハリネズミモモンガ噛ませオオカミのせっかくの必殺技・ハリトバシはもっと使ってあげてほしかったというのと、怪獣に名前を付けてあげてほしかったというのと、あと毎年作ってくださいおねがいします。三点ありました!

【ママー!これ買ってー!】


パラサイト・イヴI&II Original Soundtrack LIMITED BOX

みんな大きくなるだけでは飽き足らず必殺技所有のクリーチャー化してしまうので気分はもうゲーム版『パラサイトイヴ』です。疑似遺伝子工学的な装いも共通するし。
1作目のサントラは下村陽子のエレガントな名盤(2作目もかっこいいよ)。

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