ボンクラドリーム巨編『ザ・プレデター』感想文

《推定睡眠時間:0分》

今すげぇどうでもいいことで豆電球ついたんですけどPS版『パラサイト・イヴ2』の序盤~中盤戦闘BGMのドゥルル…ドゥルル…ドゥルル…っていう薄気味悪いイントロ、『プレデター』でプレデターがプレデター視点でシュワ隊を見てる時の音楽のパクリ的オマージュだろあれ。

なんせ『パラサイト・イヴ2』ステルス系の敵クリーチャー2種類も出てきますからね。1種類なら敵バリエーションとして想定の範囲内だから影響の有無は判断できませんけど2種類もステルスするからね『パラサイト・イヴ2』は。

しかもだよ、しかもそのうちの1種類は光学迷彩装備した忍者みたいな人造人間キャラなんですよ!
もう明らかに制作者『プレデター』好きじゃん。ドゥルル…ドゥルル…ドゥルル…じゃん…。その三点リーダはなんだよ。

というわけですごいですよ『プレデター』の影響力は。『ザ・プレデター』だってなんかネットで感想見ると賛否両論まっしぐらだもんこんな他愛のない内容で。
どこにそんな喧嘩する要素があるんだよと思うがみんな心の中に自分だけのプレデターを棲まわせているから一家言あるんだな。

俺の中にもいましたよプレデターが。マイファーストプレデターは木曜洋画劇場でやっていた『プレデター2』。
スーパー勤務の父親が職場の釣り仲間を呼んで家で貧乏酒宴を開いているその傍らで、プレデターさながらにテーブルの下に身を潜めて椅子の隙間からダニー・グローヴァーとLAプレデターの死闘を眺めていたものだ…とこう書くとなにかかなしい境遇が連想されてしまうが別にそういうわけではなくその頃の俺は知らない人が家に来るとよくテーブルの下に隠れてもう一人の自分と話したりもう一人の自分と小芝居をしたりして遊ぶ子どもだったのだと誤解を解こうとしたらそれはそれで若干のかなしみがあった。

ちなみにそのマイファーストプレデターが強烈に記憶に刻まれているのは酔って上機嫌の父親の同僚が俺に一万円をくれたからで、俺の中ではプレデターと福澤諭吉は分かちがたく結びついている。
なんとなくプレデターに親近感を覚えるのはそのせいかもしれない。プレデターを見れば万札もらえる! もらった一万円はすぐに母親に没収されて父親は後で母親に怒られていた。

一万円をくれた酔った上機嫌の人は母親の剣幕にだいぶ凹んでいたのでプレデターテクノロジーが手元にあったら透明になっていただろう…と強引にプレデターに話をブリッジするがブリッジできているのだろうかそれは。

いや! でもこれはそういう話だと思ったね『ザ・プレデター』は! あの主人公だかどうなんだか微妙なポジションの一人遊びの好きな少年ね! あれテーブルの下で『プレデター2』を見ていた俺ですよ! 今回危機感ゼロの不良(ワルという意味ではなく使えないやつ扱いという意味で)軍人たちがプレデターとバトるわけですけどあれ父親のスーパーの釣り仲間ですよ!

というわけで俺の中のプレデターは『ザ・プレデター』、ジャストフィットだったのだ。超ふつうにおもしろかったよ。こんなに長々と思い出話を語っておいてそこはふつうなんですけど。

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いやぁでもおもしろいよねもしかしたら前の『プレデターズ』で既に出てきてたのかもしれないし『エイリアンVSプレデター』とかでもそうだったのかもしれないですけど俺ずっとプレデターが透明になるの、光学迷彩スーツ着てるからだと思ってたんですけどなんか中国の偉い悪い人が回しがちなイメージの謎の銀球みたいなやつがあってですね、どういう仕組みかはまったかくわからないがそれ持って念じると透明になるらしい。

これは俺的には衝撃の新事実でしたね。なんで銀球なんだろう。光学迷彩スーツの方が絶対かっこいいのに…でも運用のしやすさを考えたらポケットサイズの銀球の方がいいよなスーツ重いし、臭くなるし。
耐久性も抜群で主人公の軍人オッサンが酒の入ったグラスの中に入れるんですけど銀球びくともしなかったね。すげぇ。

いやこれは若干説明な必要な気がするがこの特殊部隊の軍人オッサンはジャングルでの任務の最中、宇宙船墜落させちゃって狼狽するプレデターと遭遇して本能的に装備一式を奪って誤ってプレデター手裏剣でプレデターの腕を切り同僚の逆さ吊り死体を真っ二つにしてしまったりしたので(ひどい)とりあえず大きめのプレデター装備は遙かなるアメリカの私書箱に送って自分はステルス銀球だけ持って逃亡していたのだ。

詳しいことは知らないが怪しい背広組があの透明宇宙人を追っているらしい。詳しいことは知らないが俺も逃げた方がいいだろう。
知らない大人が来たらとりあえず逃げる、が『ザ・プレデター』における軍人チーム及びプレデターズの行動原理だったが、アンダー・ザ・テーブル人種としては共感のガッテンボタンを壊れるまで連打である。

で銀球は酒と一緒に飲んで腹に隠した(袋にも入れないで!?)から一安心、腹の中にあっても念じればステルスできるから自分の身も安全だ、プレデター装備一式は私書箱に送ったから(送れるのかそれは!?)これも安全…と思いきや私書箱の代金をずっと滞納していたので(甲斐性ねぇな…)家に送り返されてしまって息子の一人遊びキッズの手に渡ってしまった。

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チョンボのレベルが酷すぎると思うが子どもは予期せぬプレゼントに大喜びだから映画的には問題なかった。
今日はハロウィン。お母さんにはドラキュラとフランケンシュタインの怪物のマスクのどっちがいいかと問われたが、母さん、悪いが時代遅れだよ。今や時代は捕食者です。

プレデター装備セットに入っていたプレデターPC的なやつをいとも簡単に操作して各種プレデター情報を引き出した送信したりと絶対色んな人を巻き込むフラグを立てたのち、禁断のプレデターマスクを被って子どもはハロウィンに浮かれる町に繰り出すのであった。
あとこの子どもはフランケンシュタインの怪物を知らなかったので母親がどんな怪物か説明するのですが「女の子を湖に落として殺したんだよ」ってそんな説明ないだろ。

一方そのころ軍の極秘プレデター研究所に一人の女科学者が呼ばれていた。ダムみたいなところに殺風景な小部屋が一つ。科学者を連れてきたガムか頭痛薬を食い過ぎ背広軍人がエレベーター番の人に合い言葉を言うとみゅいーんと部屋全体が降下して地下の極秘プレデター研究所へ。

か、かっこいい! 傍目には何もない部屋で8時間ぐらいデスクに座ってるだけの無能な人にしか見えないエレベーター番の人もやはりかっこよくて誇らしいのか得意げだ。「おや? どうしたことだろう、一見ただの部屋な」「うるせぇ来るたびにそれ聞いてんだよ」。
渾身の決め台詞を遮る背広軍人だったそれぐらい言わせてやれよエレベーター番の人絶対すげぇ暇なんだから…。

更に一方そのころ銀球パワーもむなしく背広組に捕まった主人公の軍人オッサンはメンタルが壊れて中学生に退行してしまった軍人たち(ハローバイバイ関みたいなやつが混ざってる)と一緒に護送車で軍刑務所へ。
さて、俺たちの行動原理はなんだったか。知らない大人がやって来たら…逃げる!

というわけで映画の中の変な人を乗せた護送車は85%ぐらいの確率で横転したりしてその護送員はほぼ例外なく職務を全うできないので軍人オッサンと軍人たちは一致団結してあっけなく逃亡、時を同じくしてプレデター研究所に捕らわれていたプレデターもあっけなく逃亡、プレデター仮面でえらいことをしてしまった子どももあっけなく逃…いやそこはなんか色々あった気がするが既に展開を忘れている。

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さて逃亡者と逃亡者が激突するとき、果たして何が起きるのか…成り行きで軍人ズ(なんとなく仲間になった)と行動を共にすることになった女科学者がモーテルで目を覚ますとそこには女の人が目覚めた時にベストなモーニング紅茶の位置で揉める軍人ズが! そしてサイドテーブルではなく枕元の極めて危険な位置に紅茶が!
何が起きるってこういうことが起きます。起きる映画でした。

プレデターは食べるために殺してるんじゃないからその名前はおかしい論争、プレデターを指して「あのウーピー・ゴールドバーグみたいなやつ?」。これ書いてて楽しかっただろうな脚本のフレッド・デッカーとシェーン・ブラック。

ダイアローグのキレが素晴らしいよ。プレデター界の恐るべき企みを背広軍人が説明するときに「君も数年前のトゥインキー買い占め騒動を覚えているだろうが…」って事態の深刻さに比して話し出しに重みがなさすぎるしあと発想が小学生。

ワープで急に現れたプレデター船とアメリカ上空を飛行中の戦闘機が接近遭遇したりとか、プレデター犬は意外と人懐っこいとか、あとでかいやつは強いとか、特に深い意味はないが子ども感覚のあったらいいなシーンが多いのも子ども騙し感アリアリで最高だ。

こんなどうしようもなくドリームの詰まった愉快で人がザクザク死ぬ無邪気な映画をだな、今調べたら1959年生まれだからもう相当いい歳のフレッド・デッカーが書いてるんですよ友達で『アイアンマン3』のシェーン・ブラックと一緒に。

でこれも今知ったのですがホラー同好会の子どもたちが木の上に秘密基地作って時空を超えたモンスター大連合と戦うフレッド・デッカーの代表作『THE MONSTER SQUAD』こと『ドラキュリアン』もシェーン・ブラックと一緒に脚本書いてたんですよフレッド・デッカー!

これを愛さずにいられるか。ある意味『ロボコップ3』で映画版『アイアンマン』の雛形を作ったフレッド・デッカーがだな、それで監督キャリアがほぼ終わってしまった彼自身とは対照的にいつの間にかハリウッド有望監督となっていたシェーン・ブラックとだな、またあの想像上の木の上の秘密基地でだな、

シェーン「ヒュー! なんてクールな兵器なんだ!」
フレッド「バーボンかなんかで飲み干すんだ。西部劇みたいだろ」
シェーン「それ最高マジかっけぇ!」
フレッド「ウーピー・ゴールドバーグみたいだよねプレデターって」
シェーン「ダムの地下に秘密基地があるってのは?」
フレッド「あのイジメっ子ムカつくから成敗してやろう」
二人「(顔を見合わせて)あくまで俺たちの脚本の中で!」

…みたいな。いや、みたいな感じではないと思いますがとにかくまたこうやってどうしようもないオタク映画を作ったわけじゃん一緒に。
もーうメンタル小学生のバカどもの臭い友情に完敗ですよ。その友情はあの軍人ズの屈託のなさに反映されてたと思うな。

プレデターが繋ぐボンクラたちの絆。みなが心にプレデターを棲まわせている所以だろう。そんなわけがあるか。

【ママー!これ買ってー!】


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『ドラキュリアン』のリンクを貼ろうと思ったらDVDにもブルーレイにもなってないしじゃあ『クリープス』をと思ったら『クリープス』もないので作品ごと米映画界の砂漠に埋もれかかっているフレッド・デッカーの数少ない足跡(とならないことを祈る)

※2018/9/25追記


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発売決まってた!

コメントしてあげる

よーく

連投で申し訳ないですが『万引き家族』を観た直後に『ザ・プレデター』も観てなんかもう今日は感情の振れ幅が凄かったな。何だよもう風呂上がりのビール片手に適当な感じで見れば十分かなっていうこの映画は、最高かよ。高校時代に学校をサボって両親が共働きの友達の家に押しかけてタバコ吸いながら誰も見ていない『トレマーズ』がTVで流れてたりしていたことを思い出したようなそんな昼間の地方局で流されているような素敵な映画だったよ。
楽しいよね。こんなに無邪気で幸福な映画はそうそうないよなと思ったけど今年俺が観ただけでも『ランペイジ』もそうだったな…。もしかして世界は俺が思っている以上に無邪気で幸福に満ち溢れているのかな…。
まぁとにかくあのヒロイン?が科学者のくせに軍人かよお前って感じだったのも別にどうでもいいしポンコツ軍人チームのやり取りも(めっちゃ愉快で面白いけど)どうでもいいしプレデター犬が急になついたのは脳にダメージを受けて要はバグった感じなのかなと思ったけど別にそれもどうでもいいよな。この映画の中で描かれた出来事は大体どうでもいい。
いいなーいいなーと思いながらこの映画を見れたのは多分、この映画の制作が楽しかったからなんじゃないですかね。いや制作現場知らないけど、多分楽しかったんじゃないかな。そう思うしそう思いたいよ。
唯一どうでもよくなかったのは翻訳機越しとはいえプレデターが人類に理解できる言葉を話してコミュニケーション取れたことかな。俺の心の中のプレデターは無慈悲で獲物に対して声をかけたりはしない冷酷なハンター(捕食者ではない)だったからそこだけですかね、俺の中のプレデターが怒ったところは。

よーく

あからさまにヒットしたら続編やるよ!ていう終わり方だったけど続きやるなら色々と個性的なプレデターを見たいですよね。中にはちょっと卑怯な奴とかもいていいと思う。
あとそれこそどうでもいいだろと言われそうだけど読み返したら記事内に
>お母さんにはドラキュラとフランケンシュタインの怪物のマスクのどっちがいいかと問われたが
とありますが確か海賊とフランケンシュタインの怪物のマスクだったと思います。いやもうホントどうでもいいな。本当に心の底からどうでもいいけど海賊が正解だったと思うよ多分。

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