大文字バイオ映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』感想文

《推定睡眠時間:0分》

数年前に急にPSゲーもっかいやりたいブームが俺のところにのみ来てプレステの実機はまだ現役のがあったから『アーマードコア』とか『FF7インターナショナル』とか『ペルソナ』とか持ってるやつ色々やったんですけどその時に『バイオハザード2』もやってそれで思ったのはあれこんな薄いストーリーだったっけっていう、なんかもっと重厚感のあるストーリーだった気がしたんですけど意外とすっからかんでタイラントの唐突な登場とかかなり意味不だった。

まぁ内容が薄いのは容量的にある程度仕方がないし『バイオハザード2』はザッピングシステムとかいって短いストーリーを二枚のディスクに計四つ収録してるわけだからそりゃ輪を掛けて薄くなる。最初にプレイしたのは小学生か中学生の頃で律儀に攻略本で設定とかサイドストーリーを読みながらやってたからそれでゲーム内ストーリーの諸々足りない部分を補完して一緒に記憶しちゃったんだろうな。ナンバリングタイトルではPS最後のシリーズ作になった『バイオハザード3』は本筋を一本に絞った上で様々な選択肢やフリーイベントを用意してプレイヤーに能動的にストーリーを作らせる形になっていたから、これもタイムアタックをやれば二時間程度でクリアできる程度の長さしかないが『バイオハザード2』より全然物語に厚みがあった。良い方向転換でしたねこれ。

で『バイオハザード3』といえば地味なナイスポイントが序盤限定ではありますけど舞台となるラクーンシティにまだ民間人がちょっと残ってる。市街地を移動していると特定ポイントでぎゃーの悲鳴が聞こえてそっちに行くとゾンビが人食ってるんだよな。これがムービーじゃなくてプレイアブルデモ的な効果音の挿入だからリアルタイムで街がゾンビに浸食されていってるって感覚を味わえて面白かったんですけど、さて『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』、まぁタイトルにラクーンシティを入れてるくらいだしそういう街アポカリプス系ゾンビ映画を期待したら冒頭テロップで「今やアンブレラ社員と貧しい住民しか残されていない…」と早くも半廃墟宣言をしてました。

なるほどね。聞いてはいた。ゲーム版初代『バイオハザード』と『バイオハザード2』をミックスした物語と聞いてはいたので『バイオハザード3』的な街アポカリプスは見られない可能性も一応考慮してはいたがでも期待はしちゃうからね。しちゃうでしょうが! しちゃった結果ちょっと「くっ!」て思いましたよだってゾンビ出るのはだいたい洋館! 悪そうなやつはだいたい友達的なリズムで思わず書いちゃうでしょそりゃ! そんな残念ゾンビをされたら!

でも映画としてつまらないわけではなくなかなか混沌としてて面白い。すごいと言えばすごいんだよこの脚色、原作ゲームでは数週間とか数ヶ月とかの間がある『バイオハザード』と『バイオハザード2』のストーリーを同じ時間に別の場所で起こった出来事として再構成してる時点でかなりの無理があるのに、そこにリメイク版『バイオハザード』のストーリーも混ぜちゃって『バイオハザード コード:ベロニカ』の要素も隠し味的に入れてる。

ゲーム版をやったことがある人ならニヤリとできる固有名詞とオマージュ映像がてんこ盛りだが全部やってる俺でも何がどうなってるのか説明が圧倒的に足りないというかかなり大事なことも一回台詞で説明したらそれでオッケーみたいになってる強引作劇のせいでよくわかんなかったのでゲームやったことない人はなにがなんだかわからんだろこれ。

だってTウイルスでゾンビになるっていう最低限の説明もないままガンガン住民がゾンビ化してそれを見た警察署の署長がいきなり撃ち殺して何事もなかった化のようにスルーされるんだよ。まだ意識の残ってる住民ゾンビが窓に「かゆい うま」の血文字を書いたあとダッシュして窓を突き破ってくるとかさ。そもそもアンブレラってなにみたいな基礎的な説明もしないからね。裏で悪いことしてるでけぇ製薬企業ですぐらいな感じで。ゲーム版だとその正体が最後の方の謎地下研究所でわかる仕組みになってますけど謎研究所出てこないんだよこれ! いや一応出てくるんだけど研究所っていうか倉庫なの! 倉庫!

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明らかに配分がおかしいんだよな。もう色んな配分がおかしい。まず説明の配分がおかしいでしょ。それから展開の配分もおかしくて中盤までのなんか大変なことになってきてますね~感が突然の倉庫移動と倉庫バトルで劇的に尻すぼみして席からずり落ちそうになる。あとセットっていうかCGなのかもしれないですけどとにかく建造物の配分も完全に間違ってますよねゲーム版のそんな警察署があるかよっていう警察署のホールとかそんな館がなんもない山の中にポツンとあるかよっていう館のエントランスはほぼほぼ完全再現しているのにただラストは倉庫! 館の地下にある研究所は十畳ぐらいの倉庫のしかも一室!

キャラクターはゲーム版のメインどころはだいたい出てくるがレオンは役立たずでヘタレのラテン系っぽい兄ちゃんに変更され銃は三発ぐらい撃ちます。ウェスカーは近所のダイナーで半笑いのままジルと軽口を叩いたりしてオモチャの弓矢(先がトイレのすっぽんみたいになってるやつ)を額にぴたんと貼られます。原作ゲームでは人殺しの汚職サイコマンだった警察署長はひょうきんな田舎のオッサンとなってクレアとレオンを率いてゾンビで溢れる街からの脱出を図ります。お前ら誰や知らんぞ。その一方クレアとクリスとジルの再現度は高い…ということもないが普通レベルで、一番再現度が高くこれはゲームそのままだなぁと感心してしまったのが記録フィルムの中に出てくるトンボの羽をもぐ『コードベロニカ』のアレクシアでしたってそこなの!? 再現度に拘るポイントがそこでいいのかそれは!? あとリサ・トレヴァーも再現度高めですがいやだからそこなの!? なんでそこの再現度は高いの!? そこじゃなくない再現度上げた方がいいところ!

ウェスカーが攻略本(※これは喩えですが言ってる意味は映画を観ればわかります)片手に館を探索してピアノの仕掛けを解くところとか原作ゲームの再現といえばそうかもしれないが再現ってそういうことじゃないと思うぞ。大ボスのGとクリスが戦ってるとレオンがロケットランチャーを持ってきて「どこにそんなものが!」「置いてあった!」ってなんなんだその茶番は。それは確かにバイオの世界はそこらじゅうに物騒な凶器が放置されておりますがですね…とツッコミどころは枚挙にいとまがない。クリーチャーがゾンビとゾンビ犬とカラスとリッカーとGしか出てこなくてしかもGがイソギンチャク形態まで行かないのはツッコミどころじゃなくて普通にダメなポイントなのでもっとクリーチャーをしっかり出せのストレート文句を書いておく(でもゾンビ犬が出現する場所はゲーム版『2』を踏襲してる。すごくどうでもいいところでゲーム版を踏襲する)

ちょっと呆れちゃうなこれは。でもね、嫌いじゃない。嫌いじゃないよこの不細工なB級テイスト。まーそもそも初代『バイオハザード』といえばB級ホラーを作ろうということでスタートした企画ですから意識的にB級です。タイトルロゴが大文字の頃のバイオはどれもB級ホラーを強く意識したものだったが、小文字バイオになってからはちょっと大人の作りになってしまった。大きな蛇の怪物とショットガン一本で戦うとか意思を持った巨大植物を根っこに毒吸わせて枯らすとかそんなゲームがちゃんとした大人の遊ぶものではないことは明白で、そのB級的キッチュは確かに大文字バイオの魅力の一つであったわけだから、俺としては小文字バイオの大人路線に寂しさを感じたりもしていた。

だから『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』はかなりへっぽこな映画ですけどバイオって本来こういうやつだよな~って感慨深いものがあったね。ゲーム版『バイオハザード2』はストーリーはペラペラですけどなにがなんだかわからんまま次々とえらいこっちゃな事件が起こり得体の知れない怪物が現れあれよあれよというまに「あと5分でこの研究所は爆破します」でロケットランチャーずどーんってゲームだったわけじゃないですか。その勢い任せの展開が面白かったし爽快だったし、そういうところはこの映画にもちゃんとあったんだよ。だって「どこにそんなものが!」「置いてあった」だもん。なにそれって笑うけど、あぁこれバイオだわって思ったよ。タイトルロゴはもちろん大文字。なんだ、この映画わかってるじゃないか! 人には勧められないけどおもしろかったです。

【ママー!これ買ってー!】


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大文字バイオと小文字バイオの橋渡し的な『コード:ベロニカ』は程よくバカで程よく大人、ゴシックとSFと異常心理とゾンビほかたのしい怪物たちが交錯する闇鍋です。この頃のバイオは面白かったな~。

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