スパコメ映画『ザ・ルーキーズ』かなり激賞感想文

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《推定睡眠時間:0分》

出ました! IMDb3.8点、Rotten Tomatoesノースコア! トマトはたぶんアメリカで公開されてないからとかそういうのだと思いますが仮に公開されてもIMDb3.8点を踏まえれば新鮮なトマトをもぎ取るのはかなり相当無理だろう!

湧いてくるね! 映画館で観た人間としてこの映画を布教しなければの義務感が! みんな勘違いしてるんじゃないですか! 面白い映画は家でも映画館でも観るじゃないですか! でもつまんない映画は家では観ないじゃないですか! ということはつまらない映画ほど映画館でお客さんに観てもらわないといけないじゃないですか! 俺間違ったこと言ってますか!? 言ってる! ごめんなさい!

でもね! そう書いておいてあれなんですが『ザ・ルーキーズ』、変な意味じゃなくて普通に面白かったですよ! だってまず監督を見て下さい! アラン・ユエン! 誰だよ! 俺も確かにそう思ったがフィルモグラフィーを検索するとどひゃー! ジャッキーのターニングポイントとなった『香港国際警察/NEW POLICE STORY』の脚本家! ジャッキー、ユン・ピョウ、マイケル・ホイの香港映画界のレジェンドが夢の共演を果たした『プロジェクトBB』の原案&脚本家! デヴィッド・R・エリスとラリー・コーエンが手を組んだB級傑作『セルラー』の一部ではオリジナルを超えたとも言われるこれまた傑作『コネクテッド』の脚本家! 中国で大ヒットを記録した妖怪ファンタジー『モンスター・ハント』の脚本家! アンディ・ラウ&ラム・カートン共演の『ファイヤー・ストーム』では脚本だけでなく監督も!

ちゃんとしてるじゃないか! おい思ったより全然ちゃんとしてたよ! むしろ香港映画監督界期待のルーキーランキングがあれば上から数えた方が早い人じゃないか! ごめんなさいね誰だよとか言って! それは面白いわ! 面白くて当たり前!

面白くて当たり前なのだけれどもこれは書いておいた方がいいと思うのですがミラ・ジョヴォヴィッチの女スパイがガツンガツン闘うゴリゴリのスパイアクションとかじゃ、ないです! まったくなし! あえて言えばだ! あえて言えば…泥臭さを抜いて海外ロケとエクストリームなアクションを入れた『Mr.Boo』! コメディ! そうコメディです! 爆裂コメディ! そっちなのだな実は! ミラ・ジョヴォヴィッチは美味しい役どころだけど主演じゃなくてゲスト! あぁ騙された! 配給会社の宣伝に騙された! 俺はそこで頭を切り替えられたからよかったですけどミラのガチアクションを期待して観に行った人は怒って映画サイトで星一つとか付けてしまうかもしれないので言っておくよ! ミスマッチで映画の評価が下がるなんて悲しいことですからね! ゴミ映画もゴミ趣味者が観れば100点満点! いやこの映画がゴミってことではなくて!

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たぶんねこれ最近Netflixでマイケル・ベイが作った『6アンダーグラウンド』っていうアクション・コメディがありますけど、マイケル・ベイこういうことをあの映画でやりたかったんだとおもいました。
冒頭がまずすごいですよ。謎の致死性ウィルスが極秘研究所から漏出。そのガスに追われながら逃げ惑う大量の研究員たちを尻目に一人ウィルスを持ってヘリで脱出を図る謎の悪そうな男。そのヘリに研究員たちが束になってしがみついてまるで『ワールド・ウォーZ』だ。っていうか、『バイオハザード』の冒頭だろこれ。ミラ・ジョヴォヴィッチ呼んでるから『バイオハザード』パロディなんですね! そこを見抜けるか見抜けないかがまず大きな分岐点になる(どの程度映画を楽しめるかという点で)

さてこのウィルス(※浴びると人間が植物になる)を手中に収め、環境保護活動中に亡くなった妻の復讐として人類を植物にしてやろうと考えているのが中田英寿っぽい大金持ちだ。世界を股に掛けるスーパースパイ機関のエージェントであるミラ・ジョヴォヴィッチはその野望を食い止めるために中国にやってきた。が、それは少し先のお話。
映画の主人公はインターポール捜査官のチャン・ロンロンだ。か、かわいい…! めちゃくちゃかわいい!! 黒髪ショート! 縁メガネ! 笑わない! 仕事一筋! すぐキレる! 趣味とかないから暇があればエクストリーム系の動画配信者に絡むネットヤンキー!

あぁかわいいなぁ…チャン・ロンロンはかわいいなぁ…くそお前らこのチャン・ロンロンにカスみたいな点数付けやがってなにか!? それはあれか俺基準ではこれくらい普通だしなんならいつも抱いてるけどね的な!? マチズモ! 悪しき男性性! 追放すべし! だが待て、誰もチャン・ロンロンに3.8点を付けているわけじゃないし、みんなが低評価を与えているとすればそれは映画に対してなのだ…落ち着こう。でもチャン・ロンロンめっちゃかわいい。この人は『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』で楊貴妃をやっていた台湾とフランスのハーフ女優さんですからそれはもう、整っている。その人が冴えない役をやってるギャップ。堪りませんなこれは。そのかわいさだけでトマト完熟!

いかん、話が進まない。俺にはこの映画の面白さを伝える使命がある。ロンロンちゃんはかわいいが断腸の思いで一旦そのことは脇に置こう。脇に置いておいて別の脇を取るんかい、という気もするが脇道に逸れてでもここで触れておきたいのがインターポール捜査官ロンロンの上司がジョニー・トー作品でお馴染みラム・シュという事実である。

お酒っぽい名前に因果を感じるラム・シュといえば滝本誠も指摘するようになにより「食」である。映画の中のラム・シュはだいたいいつも何かを食べているし、その元凶であるジョニー・トーの最近の映画では食べ物を探しているうちに爆弾を発見してしまうという大役を担ったほどだ。
『ザ・ルーキーズ』ではそのラム・シュがステーキを食べながら登場することになるわけで、これはラム・シュという俳優に観客が求めるものを見事に掬い取ったまことににくい演出である。そこだけ取っても『ザ・ルーキーズ』がどれだけ面白いかわかるだろう…か?

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まぁそんなことはいい。そんなことはいいから話を進めよう。バリバリ仕事したい派のロンロンちゃんと違ってラム・シュはあんまり頑張って仕事したくない。だからインターポール中国支局のオフィスはいつも平和で動物とかオモチャとかいっぱい。なんて夢のある職場だろう! しかしロンロンちゃんにとっては墓場のような職場である。

やることもないのでいつものようにライブ配信サイトを見ているとエクストリーム・スポーツ系の配信者がどっかの高層ビルに上ってる。この人もロンロンちゃん同様の台湾勢、ワン・ダールーさん。台湾ではイケメン俳優として知られているらしいが、イケメンを微塵も感じされない徹底したバカ芝居に役者魂を見る。空気式のダッチワイフと自分の汚部屋でイチャついていたらお母さんが入ってきちゃって必死に隠そうとするが空気の抜けたダッチワイフがパプーパプーと声を上げ…これをジャパニーズイケメンの片寄涼太が演じられるかって話ですよ! なにその唐突な日本若手俳優ディス! いちいち脇道に逸れるな!

でそのワン・ダールーがすげぇ卑怯な手を使って高層ビル登頂に成功、視聴者のいいねを大量搾取して絶頂気分でパラグライダー降下をすると風に吹かれていかめしい外見のマフィアビルに突っ込んでしまう。超絶運悪くそこは例の人類総植物化を目論む大金持ちと悪いマフィアのウィルス取引現場。っていうんでミラ・ジョヴォヴィッチが絡んできて、ついでにロンロンちゃんも絡んできて、あとなんかよくわからん天才日曜発明家とかも巻き込んで一路ブダペストへ。お城から聖杯を盗み出したりロボットカーで街をカッポカッポと破壊したりと大騒動になっていくのだった。

話のスケールは大きいがまぁ監督が『プロジェクトBB』でマイケル・ホイと仕事をした人ですからねぇ。何十台とカークラッシュしたりニューヨークが一瞬で壊滅したりと相当な被害が出ているが、そんなことはどこ吹く風の『Mr.Boo』的ドタバタ世界。

人の生死がどうでもよくなってくる破壊まみれのアクションという意味でマイケル・ベイ的でもあるし、そのドタバタの中に垣間見える痛みや切なさはマイケル・ベイが求めるものかもしれない。全体的にはイビツでも、ドタバタとシリアスの塩梅、緩急はやはり『コネクテッド』の脚本家だけあって見事であったと思う(マイケル・ベイもレニー・ハーリンに倣って香港映画人と仕事すればいいのに)

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ミラ・ジョヴォヴィッチもねぇ、なんかデヴィッド・ボウイみたいなっていうか『ウォンテッド』のアンジェリーナ・ジョリーみたいなエージェントでカッコいいんですこれが。出演場面からすると拘束時間はかなり限られていると思うんですが、その中でどう使うか。それが上手かったし面白かった。高額ギャラのゲスト俳優はこう使うべしのお手本みたい。ちゃんと違和感ない形でアクションも入るしね。

いや、考えれば考えるほどやっぱりちゃんとした映画に思えてきた。確かに展開は荒っぽいしキャラの掘り下げも浅いかもしれない。でもそういうの香港流じゃないすか。稚気にまみれたコメディ展開に突如として冷酷な死が侵入してくるとかそれが香港(製作国は中国/ハンガリーになってますが)。行き当たりばったりばっかりだが行き当たってもばったりとは倒れず行き当たりを破壊して先に突き進むアナーキーなバイタリティ、それが香港映画じゃないですか。

掘り下げは浅くとも濃いキャラばかり。無意味でふざけたカーチェイス&クラッシュとかパルクール・アクションとか派手な見所いっぱい。ロンロンちゃんはかわいくてミラはかぁっこいい。ワン・ダールーは愛すべきバカ。人死にも障害もギャグにしてしまう不謹慎ユーモアもあれば、小学生レベルの下ネタ(うんこちんちん的な)もありと笑いの守備範囲も広し。窮地に追い込まれたロンロンちゃんの想像として漫画アニメが出てくるとかポップです。今までのあれは何だったのかとツッコミ不可避のオチもしょうもねえなあと笑い飛ばしてはい終わり。スタッフロールまでユーモアいっぱいで最後まで楽しめる。

いやまったく大した娯楽編だったよ。普通に面白いと思うけど、これがDVDスルー+企画上映っていう興行の現実、ちょっと悲しいっすねぇ。

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カテゴリー的にはこれと同じです。

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