2017年ベスト記憶に残った映画10本

タイトルまま。何本見たかとかはわからないが見た中で記憶に残ったやつを。
ランキングとかないですが見たときの感想リンクとなにがベストなのか各作に付しておく。
みんななにかのベスト。みんななにかの最低。

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『ホワイト・バレット』

不思議の国のラム・シュ、映画『ホワイト・バレット』感想文

説明しにくさベスト。故事みたいな社会派群像アクションといっても十分の一も面白さが伝わらないとおもうが内容が難しいとかではなくジョニー・トー組の食いしんぼうラム・シュがハンバーガー追いかけていったら爆発! とかなんかそういう冗談のような場面が続くが基調はミステリアスな深刻ノワール。

どこまで本気か。どこまで遊んでいるのか。どこまで考えて作っているのかオール謎も撮影楽しかったんだろうなぁ感はやたらあるジョニー・トー作は鑑賞後に狐につままれたような幻惑的しあわせ余韻があった…胡蝶の夢ならぬ狐中の幸。
安部公房『砂の女』の文庫版あとがきでドナルド・キーンが書いていたことが思い出される。

寓話的な意味もあろうが、おおくの寓話と違い、絶えず隠れている意味を熟考する必要もなく、むしろ推理小説として読んだ方が好いとすら思う。

『SING/シング』

映画感想『キングコング 髑髏島の巨神』&『SING/シング』

反骨ベスト。人間社会擬どうぶつ化アニメの驚愕傑作『ズートピア』になんとなく馴染めない人のためにあるようなアンチテーゼ映画と思っていて、それは確かに『ズートピア』は素晴らしいとおもうが素晴らしいとおもうが金も技術も支持基盤も全部揃った上に作られた権威的創造物にはそりゃあ抵抗だってあるでしょうが! こっち金も技術も全部ないんだから!

ていうわけで貧乏人と屑のための『SING』にボロ泣きだ。歌うことにしか興味がないテメェ本位の屑鼠野郎が出てくるが、そういう屑に弁解させたり同情させたりしない、そういう卑怯な泣き作劇に頼らないでただステージ立たせて歌わせるっていうの最高にパンクだと思いますね。
パンクだパンク。『マイ・ウェイ』を歌うこの屑鼠はフランク・シナトラがモデルと製作側が公言しているそうだがー、シド・ヴィシャスも『マイ・ウェイ』カバーしてるわけだから!

『人類遺産』

マッシュ感想『人類遺産』『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発』

癒やしベスト。約2時間の映画というかBGVで、福島原発避難区域の町並みから始まる世界廃墟めぐり。据え置きカメラでとにかくただ撮っていくだけ。たまに、廃墟動物が画面を横切ったり羽音を立てたりする。

ちょう良いがこういうのは劇場で見ないとおもしろくないだろう。まさに「廃墟劇場」(©杉本博司)

『ゴースト・イン・ザ・シェル』

実写『ゴースト・イン・ザ・シェル』を見た(無意識的にネタバレあり)

敢闘ベスト。面白いか面白くないかと言われれば別にそんなに面白くないが、声を大にして何度でも言っておきたいのは日本人は黒澤明の頃から逆輸入のレッテルに死ぬほど弱いので海外で売れた押井版『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』をやたら褒めたがるがあれ絶対そんなに面白くないって。『イノセンス』の方が全然良いって。
その面白くないものを母型(マトリックス)にした『ゴースト・イン・ザ・シェル』が面白くないのは当たり前だし面白くない中で最大限面白くなってるじゃんと思うけどな見たいシーンだいたいあるし。

なお草薙少佐が名を剥奪され単に役名が少佐とされた上でスカーレット・ヨハンソンが演じたことに脊髄反射的批判も見られたが草薙素子を原作尊重の日本人キャストで菊地凛子とかにやらせた方がよほどサイバーパンク精神に反してるのではないですかね名前と肉体の価値が薄くなってきてる世界の話なんだからこれ…。

『パトリオット・デイ』

『パトリオット・デイ』を『キングダム PART2』にする感想

興奮ベスト。マーク・ウォルバーグ×ピーター・バーグで同じ年に二本も実録アクションが公開されていてなにかすごい。もう一本はBP社の原油流出事故に材を取った『バーニング・オーシャン』。『パトリオット・デイ』の方はボストンマラソン爆破テロ事件の映画化。アメリカが大きく揺れた事件を全部エンタメ昇華する気か。文化の違いを強く感じる。

個人的にピーター・バーグの傑作『キングダム 見えざる敵』の第二部という位置付けなのでそういう映画だったとおもいます。すごい爆発とすごい痛ましさとすごいサスペンスとすごいスリルとすごい市街地の銃撃戦。超エキサイティン(そして復讐はなんにもならないよの素朴かつ力強いメッセージ)。

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『ローマ法王になる日まで』

ハーフ実録映画『ローマ法王になる日まで』の感想

重厚ベスト。現ローマ法王フランシスコの軍事独裁政権下のアルゼンチン時代を振り返るこれも実録ドラマのように宣伝されているが実話を基にしたフィクションの色が濃い。なぜならフランシスコの自伝はどうも胡散臭いと監督が言っているから。

他のライターの手による伝記もウィキペディアをパッチワークしたようなものだから使えない、じゃあ自分で調査しようということで監督がセルフリサーチ敢行、当時のフランシスコを知る人なんかへの聞き取りを基にして足りない部分は大胆に想像で補った映画らしいとパンフで知る。

実直な人柄で知られるフランシスコの映画は撮る方も腹蔵ないっていうかガチ。法王礼賛映画の体で法王批判映画を撮るがそれはそれでエビデンスとかそんなものねぇよみたいなフランシスコの自伝同様に胡散臭い代物に違いないが透明なエビデンスとかファクトとかトゥルースとかそんな都合の良いものは世の中に存在しないからこれでよいのではないか、画面の中には中立も正義もないがその裏側で思想はガンガンぶつかってる感がたいへん見応え。

『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』

映画感想:『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』(ネタバレ含)

今見たい映画ベスト。東北日本海沿岸の北の国から漂流船ニュース含め北関連ニュースおおめの2017年下半期だったのでそういう話は北の人に聞くのが手っ取り早いよね。
ていう映画のつもりで見たが北の内情とかは別にそんなに言わないのだ自身も脱北者であるこの主人公の脱北ブローカーのマダム・ベーは。

基本、生活ドキュメンタリーだったが生活を掘っていくとむしろ政治とか国の内情が否応なしに浮き上がってくるという仕組み。政治というのは政治の領域に閉じているわけではないし生活というのは生活の領域に閉じているわけではないなと実感がでかい骨太ドキュは一応そういう為になることも言っておくが両親に嫁としてマダムを買ってもらった中国過疎農村のダメ夫のダメさとか笑うし泣くし国境越えのアドベンチャー要素とかもあるかなり娯楽編でもあった。

『グッド・タイム』

未来から取り残されたピンボケどもの『グッド・タイム』(ネタバレなし感想)

涙量ベスト。若手兄弟監督ジョシュ&ベニー・サフディの二作目だそうでコーエン兄弟系の冷笑ノワールコメディのトーンで音楽80sシンセピュンピュン風味。
結果的にマイケル・マンの初期作に異常接近した夜の人々の映画という感じ。ただしマイケル・マンみたいに風景とかはほぼ撮らないので進行的には結構ノリノリ。

ラストシーンがとにかく死ぬほど泣けた。死ぬほどというのは大げさな比喩ではあるが震えながら声を出して泣いたので自分でも意味がわからなくて少し怖かったですね…そんなに泣くような映画じゃないから別にこれ…。

『グレムリン2017 異種誕生』

※感想書き忘れ

笑量ベスト。笑うしかないひでぇ糞映画でなにがすごいってこの糞さが天然に見えるような瞬間が度々ある。一方でトロマ的なというか『アタック・オブ・ザ・キラートマト』みたいにZ級映画をあえて狙ったフシもある。
その塩梅が絶妙だったのでなにかすごいものを見た気がしたがまぁラストとか実際すごいかったですよあれをあぁしてあそこで終わらせる度胸があったらなんかどんな状況でも楽しく生きられる気がするよ。天才。

内容的には言うまでもないがかわいい方の『グレムリン』とは無関係だし無縁の貧乏モンスターホラーです。でも天才。

『オレの獲物はビンラディン』

『オレの獲物はビンラディン』の感想

ニコラス・ケイジベスト。風刺映画ベスト。ビンラディン映画ベスト。力強い邦題ベスト。
『バーニング・オーシャン』の裏側には『コンテンダー』の転落議員ニコラス・ケイジがいるが、『ゼロ・ダーク・サーティ』の裏側には『オレの獲物はビンラディン』の狂人ニコラス・ケイジがいる。
アメリカ英雄譚の裏側で今日も道化を演じるニコラス・ケイジなのであった。

【ママー!これ買ってー!】


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騙されたつもりで見て騙されてほしいとおもう。

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グッド・タイム
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※『マダム・ベー』はソフトも配信も見つからず。『オレの獲物はビンラディン』は公開中。

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