【ネッフリ】『スペンサー・コンフィデンシャル』感想文

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《推定ながら見時間:50分》

ダブルバーグ最新作! そんな急に来られたらびっくりするじゃないですかネットフリックスさん! ダブルバーグですよ! 監督ピーター・バーグ×主演マーク・ウォールバーグのダブルバーグ! 『ローン・サバイバー』、『バーニング・オーシャン』、『パトリオット・デイ』と傑作実録アクションを連発するダブルバーグ! 今もっともアメリカン・アクション界隈で信頼できるダブルバーグ! まあこのへんは個人の好みの問題ですが! そのダブルバーグ最新作がネットフリックスで独占配信開始!!!

いや~、サムネ見た時がいちばん盛り上がったね。普通。今回のダブルバーグすごい普通。びっくりするぐらい普通。別につまらないわけじゃないがとにかく普通。普通に面白いハードボイルド探偵ものなので本来その普通さはマイナスにならないはずだが…ダブルバーグだからね。よく考えてみればおかしいのはこの映画の出来じゃなくてむしろ『バーニング・オーシャン』とか『パトリオット・デイ』のクオリティなのだが、ダブルバーグ今までおかしなクオリティのアクション映画しか撮ってなかったから相対的につまらない寄りの映画に見えてしまう。
ダブルバーグの新作だからとパンツ一丁で身構えて観始めると途中でやっぱ寒いから服着ようって冷静に思ってしまう、そんな映画が『スペンサー・コンフィデンシャル』だった。

でもダブルバーグ以前のピーター・バーグ映画ってわりとこういうバカ&豪快なやつが多かったから路線変更っていうか緊急事態モードから平時モードに戻っただけなのかもしれない。なにせ『バトルシップ』とか『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン』の監督でもあるわけだからなピーター・バーグ。気っ風の良いアメリカ人男性がノリノリで悪を討ちに行くきわめてUSAな作風はピーター・バーグのホームグラウンド。だからこそ『キングダム 見えざる敵』のラストも逆説的な説得力を持つとかそういうのもある。『バトルシップ』あっての『パトリオット・デイ』、『パトリオット・デイ』あっての『スペンサー・コンフィデンシャル』だ。

いつも『パトリオット・デイ』みたいな傑作を観ていたらこっちだって疲れてしまう。ま息抜きですな。ダブルバーグの幕間劇。あまり身構えずにアイスとか食べながらゆる~く観るためにはネットフリックスというプラットフォームはベストだったかもしれん。これを仮に映画館で観てたら帰るときたぶん肩めっちゃ落ちてる。いや、つまらないわけじゃないんだよ。それは繰り返し申し上げておきますが…。

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どのような内容かといえばこれは実はロバート・B・パーカーの探偵スペンサーもの(原作者はエース・アトキンス)の映画化。へぇこれがあのフィリップ・マーロウとかと並ぶとか並ばないとかいうハードボイルド・スタアのスペンサー。ブックオフの海外文庫コーナーに行けばどの店舗にも必ず何冊かは置いてあるが今まで読んだことはなかったからこれがスペンサー初体験になってしまった。

映画版の主人公マーク・ウォールバーグはムショにぶち込まれた元警官の設定だったがこのへんおそらく単独作品として成立させるための設定変更で、良いか悪いかは知らないがエンドロールを見るまでスペンサーものだと気付かなかったので原作未読勢でも問題なく観れたが、スペンサーものと知っておけばなにもその普通さ加減に肩を落とすこともなかったかもしれない。フィリップ・マーロウの映画を観るときには壮絶な銃撃戦とか別に期待しないし、コンチネンタル・オプの小説はハラハラしながら読んだりしない。元々ブックオフが大量に備蓄している非常食のような原作なのだから普通で当たり前である。カンパンはいつでも食べられるが別においしくない。

でマーク・ウォールバーグの演じるスペンサーは生一本の男気刑事で、ある重大事件を追っていたら警察の偉い人に辿り着いた。そいつをボッコボコにしてしまったからお縄を頂戴して臭い飯を食うことになる。模範囚スペンサーは無学野蛮なハードボイルド・ムショ内においては例外的な知性派囚人。図書室で本を読んで静かに刑期を過ごす姿は演じるのがマーク・ウォールバーグなので超絶違和感であるが、これはイノシシみたいな熱血筋肉バカが同時に読書家の知性派枠という漫画的世界観を受け入れろということだろう。受け入れた。受け入れたらちょっとたのしくなった。

スペンサーの恋人はスペンサーのムショ行きを知るや家財道具を家の外にぶん投げながら鬼神の如し形相でくそったれスペンサー愛してるぞ! と叫んだりする鉄火狂人、相棒のホークはだいたいいつも体温の低い無気力ボクサー(ただし愛猫家であり猫が事件に絡むと急に本気を出す)、そのような人々に囲まれてスペンサーは巨悪なのか微悪なのかよくわからない悪に挑む。その悪もスペンサーが殴り合いでの決闘を挑んだらちゃんと銃を捨ててくれたので悪ながらアッパレ、単純明快脳筋脱力のコミカルで気持ちのいい世界である。

舞台はスペンサーのホームグラウンドらしいボストン。ボストンと言えばダブルバーグ的にはボストンマラソン爆弾テロ事件を描いた『パトリオット・デイ』だが、『パトリオット・デイ』にも増して『スペンサー・コンフィデンシャル』はアメリカ魂に溢れてる。ダブルバーグ映画らしからぬノリノリのアメリカ・サウンド垂れ流しのBGMもUSAとしか言いようがない。USA! USA! バカバカしいが愛嬌たっぷり、愛せるUSA映画だった。

【ママー!これ買ってー!】


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ピーター・バーグの映画はアメリカを戯画化して茶化しつつそんなバカなアメリカが俺は好きなんだというようなトーンがある。その路線の筆頭は『ハンコック』。ちょっと『スペンサー・コンフィデンシャル』も似た感じありますね。ぼく『ハンコック』観てないですが。

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