【ネッフリ】『ラブ&モンスターズ』感想文

《推定睡眠時間:35分》

一発で人間どもをぶっ殺せる性能を持った巨大変異生物が跋扈する『ミスト』的終末世界で本当に怖いのは人間だね…的なことをやられても説得力がないしなんかムカついた。なんだそのラブ&ピースな共存メッセージは。ナメてるだろお前。そこらのカエルとか金魚がミスト変化して人間喰うんだぞ。絶対人間よりそっちの方が怖いじゃん!

想像力がないんですこの作った人たちには。そうかいそうかいそんな簡単に人間と自然動物は共存できるのかい。それならあんたテント一本持って映画の主人公と同じように一週間ぐらいサバンナで過ごしてみたらいいじゃない。こわいな~こわいな~ライオンとか来たらどうしようかな~とテントの中でドキドキしていたら発情期のキリンとかが興奮しながら走ってきて踏まれ死ぬからなお前みたいな奴は!

ネッフリ配信のジャンル映画らしいやって思ったよ。エコでピースでラブでサイケ。ネッフリだわ~このヒッピー感ネッフリだわこれは完全に~。予算がないわけじゃなくて結構魅力的な終末世界とか怪物は作ってるんだよな。怪物はなんか『バイオハザード』とかゲームの方の『パラサイト・イヴ』みたいでちゃんとキモ怖いし。だから絵的にはしっかりしてるんですけど脚本がどうでもいいんです。人、全然死なねぇ。この世界設定でそんなのありえる? いやまぁありえるからこうやって映画になっているわけですけれども…そういうことじゃなくて! そんなのが面白いのかっていう話なんです!

この感じは俺の大嫌いな『ゾンビランド』と似ている。『ゾンビランド』+『ミスト』といえばまーだいたいどんな映画かっていうのは伝わるんじゃないでしょーか。そりゃまぁ怪物支配の世界を作ったからといって普通に怪物に怯える人たちの物語をホラー的に展開するのも手垢にまみれて芸がないというのも大いにわかる。だから最近こういうパターン多いっすよね。終末世界を怖がるんじゃなくて受け入れようよみたいな。そしたら結構楽しいかも?

そんなわけあるか!!! いや、あるかもしれない…あるかもしれないしぶっちゃけ…実際に終末が来たら人間は何にでも適応してしまうのでそっちの方がリアルかもしれない…かもしれないのだがしかし…あってほしくない!!!! だってそんなの身も蓋もないじゃないですかー。せっかくワンダーな世界を作ったのにそこで人間のつまらないリアルを見せられてもなー。なんていうか、スリルとか恐怖というのは実生活ではできるだけ味わいたくないものだからこそ映画で安全に楽しみたいわけじゃないですか。

それなのにそれが可能な世界の中でエッセイ漫画風の地味リアルを展開されたらそんなもんお前ら(※映画に出てくるキャラクターのことです)全員怪物に食われて刺されて踏み潰されて死ねやとしか思えんわ。なんなんだこの映画は。終末世界サバイバーの心情はリアルな感じに描かれているくせに終末怪物たちは良い人間は食わずに悪い人間だけ食うとかてめーそれは都合が良すぎるだろうが!

恋愛がどうとかそんなのどうでもいいんだよ。そんなどうでもいいものに終末世界に置かれた人間はやっぱ縋ってしまうんだろうなとは俺も思うので逆にそこは飛躍してほしかったよな。ネッフリ配信のジャンル映画はつまらない観客のつまらない共感を重視しすぎなんだよ。いらねぇんだよ共感。いらねぇんだよ同情。いらねぇんだよ愛情も憐情も。ミスト級巨大怪物の跋扈する終末世界に欲しいのは血の海と死体の山と絶望の荒野!

その反共感性の飛躍が逆説的に人生に大事なことを教えてくれることだってあるでしょうよっていうか、そういうのが創作することの醍醐味なんじゃないんすかねとか思うんですがもう流行らないんですかねそういうひねくれた考え方は。素直がいちばん、共感たのしい、自分本位にならないで自然や友達と仲良くしよう…これじゃあまるで児童書じゃないの。よくできた児童書はこんな安易な答えには逃げないだろうけれども!

※とはいえ『スワロウ』に続いてまたしてもの絶望生活に流れるザ・ザ「This is the Day」! の、冒頭20分ぐらいはザ・ザ効果もあってかなり面白く先行きに期待を持たせるのだが…。

【ママー!これ買ってー!】


ミスト (字幕版)[Amazonビデオ]

逆に、ちゃんと人間が死にまくってくれる『ミスト』はなんて観客にやさしいんだろうと思ってしまったよ。

guest
0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments