『ターミネーター:新起動/ジェニシス』の感想を新起動する

いや、もういいって! 新起動しなくていいって! いい加減企画自体をターミネートしろって!
…とも思うが、鋼の男シュワルツェネッガーは何があろうとアイルビーバックなので、ならもうしょうがない。
次やるとしてもアイルビー観に行くコッチも悪いが、もうしょうがない。
つーコトで色々諦めて、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』観たんであらすじから感想書く。

近未来、世界を支配せんとする機械軍との熾烈な戦いを繰り広げていた人類は、レジスタンスのリーダー、ジョン・コナーの活躍によってようやく平和を取り戻そうとしていた。
だが、人類の勝利を目前にして、機械軍は最後の手段に打って出た。タイムマシンで過去の世界に殺人ロボット“ターミネーター”を送り込み、ジョン・コナーが生まれる前に彼の母親サラ・コナーを殺してやろうというのだ!
そんなワケでレジスタンスの若手筆頭、カイル・リースはサラ・コナーを救うべく過去に行って、なんやかんやいろいろあんのだった。

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http://geektyrant.com 当然ながら映画の大部分はシュワに負っていて、その加齢っぷりが最大の見せ場になっている。

アイルビーバックというが、それにしても時代を代表するスターだった頃のシュワならいざ知らず、老いた現在のシュワが言うとなんだか哀愁なのだった。
脳内で急病に倒れたシュワが生成され、家族の見守る中、病室で苦しげに呟く映像に発展。

シュワ「あ…あ…あいる…びー…ばっく…」
心電図「ピッ…ピッ…ピィィィィィィ」
隠し子「おとーさーん!」

いやそこまでとは言わなくとも、今更映画界にカムバックしたところでかつての栄光に縋るしかないシュワの言うアイルビーバックである。
『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)なんてタイトルだけで泣けてしまうんで、いっそのこと『アイル・ビー・バック』っつー半自伝映画撮ったらいい。
なんか、『その男、ヴァン・ダム』(2008)みたいな。『レスラー』(2008)みたいなさ。基本、落ちぶれたスターの自虐映画なんて全部ケッ作なんだから。

とはいえスタローンがまだ『ロッキー』も『ランボー』も続けようとしてるように、シュワもまた『ターミネーター』を捨てる気はない。
こっから始まる新三部作が果たしてどないな映画になるか知らんが、とにかくアイルビーバックに注目である。
もうぶっちゃけ、シリーズ最終作でアイルビーバックと言うのか言わないのかぐらいしか興味ない。
興味ないが、言うにせよ言わないにせよ、とても切ない一幕になると思うのだ…。

ほんで映画ですが、超大作のファンメイド・ムービーみたいだった。
三作目とドラマ版は観てないから知んないが、一作目と二作目を軸に四作目のエッセンスもちょっと加えて、とにかくシリーズの名シーン再現しまくり。
もうお前らストーリーなんて全部知ってるだろと言わんばかりに、前置きでちょっと説明した後にいきなりCG合成のヤング・シュワ・ターミネーター登場。
そして二作目の液体金属ターミネーターがなんの前触れもなく現れて、一作目か二作目にあったデパートかなんかでの攻防がおっぱじまるのだった。
アイルビーバックな映画である。

そんな具合にファン大喜びの懐かしシーンが次々と繰り出されるが、全部ちょっとずつヒネってあって、花束の代わりにクマのヌイグルミにショットガン隠したオールド・シュワ・ターミネーターが警察署にやって来たりする。
冒頭、ジョン・コナーに「母のサラ・コナーはとても弱いんで、助けてやってね」って言われて過去にやってきたカイルだったが、どっこい実際に会ったサラ・コナーは勝気で口の悪い戦う女の人なのだった。
なんでしょう、リメイクとかリブートとかいうより、同人とか二次創作とゆー言葉がしっくりきてしまう。
ヒネリとゆーか、パロディみたいな。

しかしなにもパロディ…いやファンサービスに終始してるワケでなく、ハナシはとてもオリジナル(さすがに全然違うハナシの四作目ほどじゃないが)
ターミネーター倒した!→するとまた別の時間軸が生じて別のターミネーターが!→別のターミネーター倒した!→するとまた(以下略)
みたいな感じ。
いくつもの別の時間軸の世界が出てきてシリーズの中でも複雑な展開見せるんで、ワリとハナシを追ってくのが面倒くさい映画である。
いやマァ途中で寝ちゃったから詳しく知らんが、なんかそんな感じだろう。

http://www.itsartmag.com
http://www.itsartmag.com いやホントに突然登場するからビックリした。

ところでシュワですが、主演としてはスクリーン復帰作にあたる『ラストスタンド』(2013)でも盛んに「歳とったなぁ」とか自虐してたが、今回も老化発言連呼。
そして演技の出来なかった(と言われてた)頃のターミネーター演技をセルフ・パロディ的に疲労? いや、披露して、更には『キンダガートン・コップ』(1990)とか『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993)みたいな一連のシュワ・コメディにおけるコメディ演技も取り入れたりする。
なんかもうシュワ特盛の上に汗だく肉だく加齢臭だくである。物凄い胃もたれ感だが、ファンの人は嬉しい…のかなぁ?

いやマァ、『コマンドー』(1985)より『ラスト・アクション・ヒーロー』が好きな俺はファニーでキュートなシュワが観れてちょっと喜んじゃったけど、なにが恥ずかしいってそのコトじゃなくて『ラスト・アクション・ヒーロー』が好きっていう告白だよね。
いや、面白いんだよ、アレ…。

液体金属ターミネーター、コレちょっとしか出てこないが、イ・ビョンホン。
『G.I.ジョー』(2009)とかそうだったが、なんかこの手の役ばっかやってんな。
ほんでコレが中々ハマってるとゆーか、結局ロバート・パトリックのパロディやってるワケですが、所々パトリック本人に見える瞬間がある。
そもそもハリウッド以前から『甘い人生』(2005)とか『グッド・バッド・ウィアード』(2008)みたいな映画でアクションやってた人なんで、表情もそうだが動きもわりあい鋭利でいかにも殺人マシーンなのだ。

今回の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』はラスボスのターミネーター(とゆーかなんつーか)が喋りまくるんで、『ターミネーター』といえばな~んも喋らないターミネーターが無表情に襲ってくるトコが怖かったんだ! 面白かったんだ! と思ってる人には結構残念な映画だったりする。
喋らないターミネーターが言うからこそアイルビーバックも名言たりえたんだとも思うが、それはさておき、そんな映画の中で相変わらず無言で襲ってくるビョンホン・ターミネーターの存在はやはり嬉しかったのだ。
ターミネーターはこうでなくっちゃな!

そんでさ、サラ・コナーのエミリア・クラーク、この人も良かったな。
なんとなくジェニファー・コネリーとミシェル・ロドリゲスを混ぜて柔軟剤入れたような感じで、程よい感がハンパない。
勝気なトコを見せたかと思えばか弱い面もあり、そーゆーのが常に立ち振る舞いの中で不安定に同居してるって感じの新しいサラ・コナー像。
なんか知らんが、イイんじゃないすか。

ついでに、この人巨乳である。
背は低いが巨乳の、用心棒ターミネーター(オールド・シュワ)を従えたツンデレの女戦士…なんだか一部のオタク系男性諸君には堪らないであろうキャラクターに思えるが、その上カイルは彼女と子を作るコトを使命としていて、二人はオールド・シュワに「合体しなさい」と散々セクハラされたりする。
諸君! そのときのエミリア・クラークの表情を見よ! 見るんだ! 大きなお友達も三次元とか興味ねぇとか言ってないで見なさい!
ココにはアナタ方の理想の女性と、理想のシチュエーションがあるのだ!

いやもう完全に同人だろ。

http://www.popsugar.com
http://www.popsugar.com しかし、オレはこーゆー柔らかい感じの人は苦手なのだった…・

前半はファン感涙懐かしシーンのつるべ打ちだが、オリジナルなタイムスリップSF展開を経て、最終的にはなんかスーパーヒーロー映画みたいになる。
同人同人書いてきたが、エミリア・クラークのキャラクターと扱いも含めて、エラくオタクっぽい映画なんであった。
いやオタクっつっても色々あると思うが、この場合のオタクはワリとダメなオタクで、なんつーかものっそいセンスが無い感じ。
アクション演出なんてグダグダで全然面白くねぇし、ターミネーターとサラー・コナー一行の睨み合いのシーンなんか全員棒立ちで緊張感とか皆無。

なんかさ、あるじゃん。たとえば睨み合いだったらその合間に冷や汗のカット入れるとか、会話の途中に誰かがふっと言葉を切って違うトコ見つめて、んで次の瞬間戦いが始まるとか、そーゆー盛り上げる感じの演出みたいの。
それが無いんだよ、この映画。すげーノッペリしたツマンネェ映画ですよ。
後半に出てくる肝心のジェニシス関連のビジュアルも全部ダセェし、やっつけ感ハンパ無いし…。

なんかマァそんな感じの映画で、いや途中で寝たヤツが文句言うんじゃねーよマジ死ねつか殺すぞクソ野郎とか言われそうだが、つまんなかったもんはつまんなかったんだからしょうがないじゃないの。
いやさぁ、それでも前半のファン感涙シーン集は「うわー!」「おー!」みたいな感じでファンならずとも喜んで観てたんだけど、アレだ、一番面白いのがソコってのはリブートものの映画としてどうなんだろか。

なんだ、考えれば考えるほどしょーもない映画だった気がするが、でもオールド・シュワが特盛で見れたんで、他は全部瑣末なコトか。
同人誌付きシュワのイメージビデオだな、コレは。

それにしても、ラスト近くでオールド・シュワの口から飛び出す「アップグレードした」ってセリフ、アレなんだったんだろう?
たぶん寝てる間のシーンで意味は説明されてると思うが、なんかこう、全てを無に帰すような名台詞だなぁ。

「前と言ってること違うじゃないか!」
「アップグレードしたからね」
「こんなんターミネーターじゃない!」
「アップグレードしたからね」
「全然面白くなかったぞ!」
「アップグレードしたからね」

…アイルビーバックはもう古い!
これからのシュワはアップグレードだッ!
(なんか書いてたらもっかい観たくなってきたが、いつのまにかオレ自身がアップグレードされたんだろか…)

【ママー!これ買ってー!】


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もう全然関係ないと思うが、やはりアイルビーバックに対してネバーギブアップで応答した盟友にして好敵手・スタローンの魂の一本を貼っておきたいッ!

スタローンはこの後の『エクスペンダブルズ』で州知事時代のシュワを召集、スターの貫禄と余裕を見せつけると同時にアイルビーバック精神との融合を果たしたが、思えば『ロッキー・ザ・ファイナル』及び『ランボー 最後の戦場』の製作発表の際に既にアイルビーバック精神はあり、職も地位も全く違う中でもシュワと精神感応、それに伴う精神融合を果たしていたと考えていいだろう。
真の漢に、言葉はいらない…ッ!

戯言はともかく、面白いです。

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