『大怪獣モノ』っていうパチモノ映画でしあわせな感想(ネタバレないよ)

《推定睡眠時間:0分》

モノかわいいよモノ。バタバターって暴れる姿が着ぐるみ怪獣の愛嬌たっぷり。きっと本当は心のやさしい怪獣に違いないのだ着ぐるみ怪獣なんて時代遅れすよハリウッドのCG怪獣のが面白いもんみたいな冷笑系通行人とかはバンバン食うけど。
そうかこれが河崎実の怪獣愛か特撮愛か昭和愛か。なんかイカとかカニとかハゲが頑張るアニマル河崎映画は観た気がするんですが全く内容は覚えてないんですが初めての特撮河崎映画は溢れる愛に涙ちょちょぎれる。うそ全然泣けませんが冒頭からしてですね山奥に心霊ビデオ撮りに行く若者たちがですね車の中で毒蝮三太夫のラジオ聞いてるみたいな、みたいな! 怪獣が出たぞといってスマホで撮影ネットに拡散とかそういう時流に流された安易な描写は絶対にしないので愛が本気。
いや「セタップ細胞はありまぁす!」とかそういうのは出てくるけどね! 違うからこれ風刺だから風刺! 時代に媚びたわけじゃないから! ただ『シン・ゴジラ』に便乗はしますよ! 違うからこれ愛だから怪獣映画同時期に二本も映画館で観れたら超昭和じゃんな愛だから!

っていう愛の映画です。ガオー愛の劇場。

したがってもうしあわせ感しかないのでありますが怪獣映画なんて全然観たことない俺がそう感じたのですからたぶんみんなのしあわせ映画です。老いも若きもマニアも怪獣童貞もみんなしあわせそうでした。
上映前のトークショーに河崎実ときくりん来てたよ中井貴一のモノマネの人。入ってきて第一声、みなさんこんにちは中井貴一です、ミキプルーン。お客さん笑いと拍手。ドサ回りのピン芸人ゲストに呼んで上映前にまずお客さんの体を温めてくれるのお笑いインディペンデント映画興行すき。いやそれもう映画の内容とか関係ないけど河崎実とゲストトークそしてお客さんの笑い声などなど含めての河崎映画(知らないけど)というわけで中身もプロレスありお色気あり特撮あり余興ありの総合エンターテインメントですつまり寄席。毒蝮三太夫リスペクトだし。

なんかよくわからないけどとてもスゴイらしいセタップ細胞を発見した科学者がおりました。超大発見すごいのポジティブマスコミフィーバーから一転、論文の嘘がバレてネガティブマスコミフィーバーでセタップ細胞はありまぁす! になる。博士発狂して魔法少女コスプレの日々。
大怪獣モノ、ちょうどその頃めざめる。これはもうセタップ細胞に頼るしかないので政府のえらい人ウクレレえいじが『東京裁判』(1983)の佐藤慶モノマネとかの持ちネタ披露で博士説得。こうしてセタップ細胞を注入された助手の草食系イケメンが巨大レスラー飯伏幸太と化して大怪獣モノとプロレスするのでした。

とりあえずあらすじを書いてはみましたが寄席というのは行くまで芸人さんがやるネタがわからないモノですしこれは野暮ってもんじゃなかろか。早速の『シン・ゴジラ』勢からは何も前情報入れずに見ろの声が挙がっておりますがやはり『大怪獣モノ』もネタを割らないで観た方がっていうか90分全部出落ちみたいなもんなんだからネタ割っちゃったら身も蓋もないぞ!
よく映画名+ネタバレの検索ワードを駆使して金と労力を使わずとも人より情報で先じようとする悪しきネットエイジの輩がおりますが、最後のセリフが「子はかすがい」とかそれ知ったところで別に『子別れ』おもしろくならないんだからこれは寄席のような映画なんだからとりあえずネタを割らずに映画館でイベント付きでやってるうちに適当に観といたほうがよい、一人DVDで観てもたぶんおもしろくないぞとかそういうことを言いたい。

いや映画館で観ても別にそんなにおもしろくないかもしれませんがゆるゆる笑いの90分かもしれませんが半日もの間ずっと大爆笑の寄席なんて早々ないに違いないので、っていうかそんな寄席疲れてイヤなのでこれでいいじゃないですか全編ずっと超おもしろいのが観たい人は普通にゴジラ観に行けばいいんですよ! あれはゴジラの独演会ですよ!

前に中野映画祭っていうインディーズ映画祭行ったら『アウターマン』(2015)プレミア上映()で河崎監督きてた。これから上映のためアウターマンと一緒に会場外のイベントブース(地下アイドルのステージとか公募インディーズ映画の授賞式とかやる)の横に立って宣伝してたのですが誰も気づかない。
か、河崎実だぞ! もっと熱く反応してくれても…いや熱くとは言わないけどもうちょっとだけホントにもうちょっとだけでいいから反応してくれてもほら特撮の聖地中野なんだしアウターマンもいるんだし…。
運営てんてこまいな感じの映画祭だったので「えーと、河崎さんとりあえずそこ立っててください!」みたいな事だったんじゃなかろかと勝手に想像するのですが、自ら広告塔となってあちこちの上映会場ドサ回りを続ける河崎監督は大変だなぁと思ったのでした。このときの河崎監督はメディアで絶対見せない実に険しい表情であった…。

全然映画の感想になってない気がしたのでとりあえず怪獣プロレスが本気なのでスーツアクターの人無事だったのかなぁと心配になる、飯伏変身前の草食系イケメン斉藤秀翼がスーパーキュートで乳首いじりたくなる、飯伏幸太の乳首もいじりたくなる、『クレヨンしんちゃん』のムトウユージがエキストラで出演してた事実がスタッフロールで発覚した、などの感想を置いておく。あと毒蝮三太夫は偉大です。

おいババァ! 『大怪獣モノ』観て長生きしろよ!

(文・さわだきんたま)

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こないだ観に行ったら下らなくておもしろかったよ二回観たもん二回。

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