福袋大人買い映画『メグ・ライオン』感想文

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《推定睡眠時間:0分》

日本橋三越であなたも映画出られます福袋を450万で買ったら上がってきた企画の監督が河崎実で配給は叶井俊太郎が配給宣伝担当のTOCANAでタイトルは『メグ・ライオン』。最近どうしてるんすかねメグ・ライアン。それはともかく人生何が起こるかわからない。お仕事内容は異なるとしても『コアラ課長』『いかレスラー』の河崎×叶井コンビ作なわけですからある意味では450万に相応しい夢が買えたと言えるが大抵の人にとってはむしろ金払えよっていうか金払っても出ねぇよみたいな感じじゃないかなぁと思うのでこれは事故なのではないだろうか。

と思っていったいどんな福袋だったのかと検索すると河崎実があなたの映画を撮ります! と銘打った福袋だったらしいです。河崎実の映画に出たいと思う人が買っているのなら需要と供給。事故でなくてなによりだし福袋買った主演の人(長谷摩美)はエンドロールで製作にクレジットされていたからこれは映画出る権を買ったっていうか普通に出資です。なんで日本橋三越の初売りで河崎実映画の出資枠が売ってたんだろう! 夢袋と呼ばれる三越の高額福袋、他のやつはコシノジュンコと語らう会に参加できる権とか数百万で有名デザイナーにオートクチュールのドレスを作ってもらう権とかなのに…。

映画が始まる前から謎とツッコミどころが多すぎるが映画本編は赤提灯的なオヤジジョークも少なくむしろ穏当。そこらへんは職人仕事なので450万円ものお金を気前よく出してくれた長谷摩美さんをちゃんと立てます。気分悪くさせるようなこととかわけわからん変なこととかしません。わけわからん変なことをしないといっても河崎実映画であることには変わりがないのでそこは察してもらいたいところだ。

どういうお話かというと真面目すぎて会社の中で浮いた存在な主人公のドルオタ会社員・獅戸めぐ(長谷摩美)の下にある日どこか遠い星からやってきたと称するハーフの人(ジョナサン・シガー)が『ターミネーター』スタイルで現われる。その人が言うには獅戸さんは本当は宇宙人でしかもハーフの人の住んでる星の王女だかなんだからしい。その証拠に白雪姫の絵本を読んだハーフの人が獅戸さんにキスするとさっきまで450万円出してくれた人だったはずの獅戸さんはマジカル・パンチラインとかいうアイドルグループの浅野杏奈さんに変わってしまった。

可愛くなってしかも若返って大はしゃぎの獅戸さんであったがそんな彼女の前に今度は彼女の命を狙って地球にやってきたタイガー着ぐるみ怪人が現われる。今こそ秘めたる力を解放せよ! ライオン着ぐるみ戦士に変身した獅戸さんはレンタルコンテナとか小ライブハウスとか可能な限り予算の掛からないロケ地でタイガー着ぐるみ怪人と戦いつつ同時にアイドル活動も開始するのであった。

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ランタイム52分の中編映画のくせにやってくることは幕の内弁当。アイドルのステージは出るし会社員の悲哀はあるしヒーローショー的特撮アクションも宇宙的メッセージもお助け戦士役で謎のゲスト出演(不覚にも笑ってしまった)もある。むしろこれは…大振りの与太話ネタをあんまり関係ないパロディと昭和ギャグで埋めるので90分でも間延びするいつもの河崎実映画よりも普通の意味で面白かったんじゃないだろうか?

企画的には福袋映画とかいう怪カテゴリーなのでキワモノの極みですが河崎実に新作を撮ってもらうために450万円出してくれた主演の長谷摩美さんの存在感が意外にも効いていてー、この人は見た目が大久保佳代子に大久保佳代子を掛け合わせたようなアラフィフの人なので冴えない会社員感がよく出ていたし、不機嫌そうな演技とか結構ノリノリかつリアルであった(本音も混ざってるんだろうか)。変身願望を持つ人が見た目イケメンだったりイケウィメンだったりしたら説得力がないもんな。その意味では正統派の(?)特撮ストーリーだし、逆にキワモノ企画だからこそのキャスティングが可能にした変身ダイナミズムもあった。

その変身の取り扱い、これが王道といえば王道なのですがうぅむと唸ってしまった。獅戸さんの星ではアイドル的な整った顔立ちの人が不美人で大久保佳代子みたいな人が大美人という美的感覚。長谷摩美形態の獅戸さんを連れ戻しに来たハーフの宇宙人はキスでアイドルに変身してしまった彼女を見てゲロを吐きながら前の獅戸さんに戻って欲しいよーと言うのですが、これにより長谷摩美さんを毀損することなく獅戸さんのアイドル変化を映画的に正当化して最終的にはみんなありのままでいいじゃないかみたいになる。

立てますなぁ。長谷摩美さんはもとより全てのキャラクター・俳優を立てる、見せ場を与える。実物は450万円+の悪ふざけでしかないのに書いているうちにどんどん良い映画に思えてきてしまった。いや、良い映画だったと思いますよ。邪気がない優しい特撮ヒーローもの。特撮技術よりも…よりもっていうか着ぐるみバトルしか出てこないからごく一部のカットを除けばそもそも特撮技術とかないのだが…ともあれ特撮技術よりも人間と物語としょうもないギャグを見せようとする特撮映画というのはなんだかおおらかで気持ちのよいものです。低予算とはいえ整音はもうちょっとなんとかならなかったのかとか思ったりはしますが。

※ステージに立つアイドルの中にソフィア・ブテラみたいな人がいたんですがその人、陸上でもやってるのか太もも周りの筋肉が発達していてグッときた。これからのアイドルはやはり筋肉。筋肉つけよう。

【ママー!これ買ってー!】


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なんだったんすかね、河崎×叶井のどうぶつ映画シリーズ。

3 Comments
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匿名さん
2020年9月12日 3:47 PM

こんなに丁寧にありがとうございます。
私が大久保さんなら上出来です

匿名さん
Reply to  匿名さん
2020年9月12日 3:48 PM

名前入らなかった。長谷です。
ご覧頂きありがとうございました。