映画『先生と迷い猫』の感想をモフモフしながらニャーニャーする!

イッセー尾形の一人芝居、舞台は観に行ったコトないんだけど、なんかやたらDVD借りて観てた時期あったなぁ。
面白いよなイッセー尾形。色んなキャラクターの細か~い部分をよー捉えててさ、誇張されてんだけど妙にリアリティあって。
なんとなくボソっと呟くセリフなんかがすげー笑えたりすんだよ。

ってなワケでイッセー尾形主演の『先生と迷い猫』観てきたんで感想書く。
こーゆーハナシ。

伊豆・下田。
定年を過ぎ、妻(もたいまさこ)にも先立たれて孤独な余生を送っている元校長先生・イッセー尾形は、毎日毎日家にやってくる野良猫のミィを疎ましく思っていた。
ミィは町の住民みんなの人気者。アッチコッチ気ままにブラつきながら撫でてもらったりエサもらったりの悠々自適な日々を送っている。
そんなある日、ミィは忽然と姿を消してしまう。
こうなるとイッセー尾形も心配でいてもたってもいられなくなり…。

http://www.cinemacafe.net
http://www.cinemacafe.net この並びは汚い。こんなん面白いに決まってんだろ!

一人芝居やってたコトもあってか、『太陽』(2005)とか『トニー滝谷』(2004)とか孤独な男を演らせるとサイコーなイッセー尾形なので、この人が孤独で偏屈な老校長先生役ってだけで猫もクソも関係なく面白いに決まってんのだ。
ロシア文学を一人で翻訳しながらボソボソとツッコミ入れたり、奇声を上げながら写真撮ったり、バカバカしいくらいふんぞり返って歩いたり、いやまったく面白いね。

そのうえイッセー尾形の妻がもたいまさこ、駄菓子屋(雑貨屋?)のコワモテ店主がピエール瀧、ダメなパン屋さんがカンニング竹山、おしゃべりな床屋が岸本加世子、寡黙で無気味な自動車修理工が嶋田久作…ってあまりにイメージそのまんまな配役っぷりに笑ってしまう。
やりかたがセコイっつーかなんつーかだが、とにかく配役だけですでにして面白い映画なのだ。
ミィちゃんもハイパー可愛いしな!

アバンタイトルでミィちゃんの日常やら猫会議の様子を追うんで猫映画かと思いきや、そんなワケでクセッ気のある演技巧者たちの演技合戦の映画だったりする。
イッセー尾形にクセモノ俳優たちがどう挑むかみたいなコトになってるワケで、市役所の若手職員・染谷将太とイッセー尾形の絡み、コレなんか微妙な間とかズレた会話がすげー面白いが、二人とも実に楽しそうにやってるように見えて、なんや知らん緊張感もあったりすんのだ。

緊張感ちゅーとハナシ自体もそんな感じあったりした。猫と偏屈老人? と聞けばホンワカと思わせといて、近隣で発生してるらしい連続野良猫虐待事件や不登校の少年の存在が物語に意外に暗い影を落とす。
ミィちゃんを探す中でイッセー尾形はそれまで避けていた町の人々と触れ合うコトになるが、ソコで知るのは彼ら彼女らの秘めたる孤独や喪失感だったりすんのだ。
っていうか冒頭からしてカンニング竹山のパン屋さんが泣く泣く店じまいするシーンが描かれたりすんので、ユーモアで包みつつもそーゆー悲しいハナシなんである。

そういや、猫会議を初めて目撃した染谷将太がこんな感じのセリフ言ってたな。
「猫会議ってみんなニャーニャー話してんのかと思ったら、あれ喋らないんすね!」
別にお互い深く知ってるワケでも特に仲が良いワケでもないが、なんとなく寄り添って生きてる下田住民たちの距離感にグッとくる映画だが、その裏にゃー猫も人間も結局は一人ぼっちで(一匹)で生きてくしかないんだなぁとゆー諦観があんであった。

http://momosan.hateblo.jp
http://momosan.hateblo.jp ミィちゃん役の猫女優ドロップさん。可愛いなぁ…メッチャ可愛いなぁ!

猫、死期を悟ると自分からどっかへ消えて行くなんて言うじゃん。
そーゆー風に静かに孤独を受け入れるってハナシだなコレは。
猫を愛でる人間目線の映画じゃなくて、猫目線の映画って感じか。
するとイッセー尾形は猫なのか。顔は犬っぽいが、性格は猫っぽいしなあの人。
どうでもいいが。

野良猫が優雅に散歩する下田の穏やかな風景。
ほんのりと悲しみを湛えた人々の織り成すドラマなきドラマ。
束の間そこに顔を出す慟哭に思わず胸が締め付けられて、けれどもそうしたところでどうにもならない悲しみを静かに抱きしめるような、そんな映画。
なんだろな、意外にっちゃ失礼だけど、イイ映画だったよ。

まぁ、俺途中で寝てるから半分も観てないんだけど。

【ママー!これ買ってー!】


トニー滝谷 プレミアム・エディション [DVD]

強烈な美意識に貫かれたスタイリッシュな映像にヤラれる孤独系映画。
イッセー尾形の孤独芝居が大爆発。
宮沢りえの体温を感じさせない芝居も大爆発。
坂本龍一のミニマムなスコアもスーパークール。

どーだ、全然孤独を感じさせない書き方だろう!
(でも映画はホントに切ない、心震えるケッ作なのだ)

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