よさがわからん映画『アネット』感想文

《推定睡眠時間:110分》

このレベルの睡眠量なのでストーリーについて言えることはほとんどないのだが起きてた最初の30分ぐらいの感じから大きくは飛躍はしないんだろうなっていう確信に近いものがあってそれはレオス・カラックスという監督の起伏を作らないオフビートな作風から導き出されるわけだが、なのでたぶんちゃんと起きて観ててもこの映画の印象はあんま変わらなかったとおもう。つまり、まぁ、基本的におもしろくねぇ。

っていうかねフランスのミュージカル映画って俺は全然面白く観られないんですよ。名作の誉れ高い『シェルブールの雨傘』とかも何がどう良いのかわからないぐらいで。というのもアメリカ式のリズミカルなミュージカル映画に慣れた身からすればフランスのミュージカルは致命的なほどリズム感が乏しい。その代わり美術とかドラマとかムード醸成には凝ると思うんですけど、そんなん観たくてミュージカル観てるんじゃねぇよって思っちゃう。アメリカの(クラシカルな)ミュージカルは逆ですよね、別に凝らないってことはないだろうけど美術とかムードは二の次でリズミカルな編集と撮影とプロの技芸で魅せる。その人工的な高揚感はフランスのミュージカル映画には『アネット』に限らず本当にないなぁと思う。

なんなんすか序盤に出てくるダラダラしてるだけで何も面白くないスタンダップコメディの場面は。あんなのアダム・ドライバーがステージ上がったところで切って次のシーン行っていいよ。なんなんすかアダム・ドライバーとマリオン・コティヤールがバイクに二ケツして走ってるのをダラダラダラダラ撮るのは。そんなもんどうだって良いんだよミュージカルナンバーがかかるわけでもないし、カットしろカット。ベッドシーン? カットだカットいちいち長いんだよどうでもいいシーンが!

そりゃ俺が寝ている間には色々あったりもしただろうけれども予告編に出てきた嵐の船のシーンとかどうせそんな楽しくないだろうあれ。仮にあれがタイタニック号的なやつで沈みゆく船の上で数百人の乗客たちが歌い踊りながら死んでいく…とかだったらそれは観たいけどそういうのじゃないんでしょ? わかるんだよそんなもん序盤のあの弛緩したシーンの数々を浴びれば、あぁこの監督はアメリカのミュージカル監督みたいに観客をノせるつもりはないんだな、そういうミュージカルシーンは作らないんだなってわかるよ。

だいだい導入部からして寒いじゃないですか。「笑いたくても心の中で笑ってください…呼吸も忘れて観てください…」とかナレーションが入るけど笑うところないだろこれ別にって思うしこんなドヤ顔ナレーションを今時やるなよ、そんなもんセンスの劣化以外の何物でもないだろ。前作の『ホーリーモーターズ』だってこっちは寝ないで観ましたけど全然面白くなかったんだからカラックスってだけでとりあえず褒めたりすごい映画だと自分を言い聞かせたりすべきじゃないですよ。映画作家の成長が止まっちゃうじゃないのちゃんとダメなところダメな映画には「それめっちゃダサいっすよ」とか言ってあげないと。俺は寝てたからちゃんと起きて観てたみなさんそのへんよろしくお願いします。

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やっぱハリウッドミュージカルがいいよ俺は。これを見てごらんなさいなジャケットを眺めるだけでもワクワクするじゃないですか。『アネット』はポスター見ても予告編見ても全然ワクワクしないんだよ。

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ISHIMAMI
ISHIMAMI
2022年12月27日 7:03 AM

頭のスパークス、マリオン・コティヤールはホーリーモータースからの流れ、アダムとマリオン・コティヤールの2ケツは汚れた地へのオマージュと長年のファンに対するサービスかな、と。「あれってあれからよねー」と俄かファンとの差別をつけさせてくれる気遣い?。私もデビュー当時から追っている一人ではありますが、今回はノレませんでした。多くの監督が’使いたがるアダムドライヴァーは確かにすごい役者だと思いますが、今回は自負が強すぎて、上手く作にはまってなかったと思います。暴走する彼を一生懸命作品に馴染ませようとマリオン・コティヤールが頑張っていたように思えました。アネットを人形にした、まあ新しい表現としては良いと思います、ですが意外とその結末が分かりやすかったというか、ああ、そんな?こねくり回した演出の割に 結論そんな?という拍子抜けな感想でした。