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大泉洋演じる時代錯誤なスパルタ絵画講師が「描けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」とひたすらやかましく叫びまくる映画なので楽しめたとはいえとくに感想に書きたいこともない映画だったのだがまぁ書くことにするか。つーのもね、とりあえず書きはじめてみるって大事だと思うんです。俺もこのブログ初めて10年ですよ。まぁ最初の方は書くのに苦労したね。なにせ俺ときたら小学生の頃は作文の授業でガチに一文字も書けなかったわけですから。高校ぐらいから書けるようにはなりましたけど、とはいはなんでもかんでもポンポン書けるってわけじゃない。クオリティの高低を度外視してもですよ。
でも最近はもうクオリティの高低さえ度外視すればなんでも書ける気がするね。なぜといったら書くことができたからじゃないんですよ。書くことがなくてもとりあえず書きはじめてみる。そうするとですね、これは不思議なもんじゃね~、最初は何も書くことがないなと思ってもとりあえず書きはじめてみるとあれもこれもと書くことが次々と出てくるわけです。これはもしかしたら書くことに限らないかもしれないな。家でだらだらスマホ見てる時にはジョギングとか超行きたくないじゃないですか。ぜんっぜん走る気にならないじゃないですか。でも実際に渋々とでもジョギングに出てみるとなんだか結構走れちゃう。仕事なんかぜんっぜん行きたくないでしょ朝。なんもやる気しないでしょ仕事なんか。でもとりあえず会社行って持ち場に着いたら人間は自然と働けてしまう。
なんかそういうさ、とりあえず体を動かすことの大事さってあるっつーか、とりあえず手なり足なりを実際に動かしてみないと大抵のことって始まらないんだよな、まぁ俺の経験則から言えば。今の世の中ってそういう考え方は快く思われないかもしれない。人間には「これをやりたい!」という内発的な動機があって、それに基づいて行動するのが素晴らしいことであり、身体の外部、とはつまり環境の、とくに他人からあれをやれこれをやれなんて言われたりみたいな感じで、自分の意志とは無関係になにかを行動させられる…これは有害であるだけでなく犯罪的であるとさえ見なす論調もネットなんかでは珍しくないでしょ。
まそりゃたしかに理想で、何をやるにしても自分の意志で、自分の心の中から湧き上がるものに突き動かされて行動するっていうのはそれができるならそうするに越したことはない。でも現実はそこまで理想的じゃないじゃないですか。自分から「これやろう!」って強く思って何かをやる、それも継続的にやることってほとんどない。だから、やりたくなくても、「これやろう!」と思うものが何もなくても、とりあえずやってみること。自分の手足をとにかく動かし始めてみること。そういうことって自分の人生を充実させるためにはとても大事なことだと思うんです。とまぁ前置きがとりあえず何も考えずに書きはじめているため無駄に長くなってしまいましたけれども、それが例のスパルタ絵画講師が「書けぇぇぇぇぇぇ!!!!!」に込めたメッセージじゃあないかなと俺としては思いますよね。
でそういう映画が漫画家・東村アキコの自伝的漫画を映画化したこの『かくかくしかじか』。なんせまぁこの主人公たる東村アキコときたらガンガン周囲に流されてしまうタイプの人なので。自分からこうしようああしようとかあんまねぇのよこの人。でもそれで生きてくのに問題なし。てかむしろ逆だと思う。周囲にガンガン流されるからこそいろんな経験もできるし、その中で自分の本当にやりたいことを見つけることもできるのかもしれない。東村アキコが漫画家を目指すようになるのが絵画講師に請われて絵画教室のアシスタントをしつつ自分の父親には命令されてコールセンターで働きつつ、という過密流され体験の中でというのは象徴的じゃあないだろうか。ま、テレビドラマ的なフラットな画作りと作劇の映画なのでそこがグッと強調されるとかはなかったけれども。
それにしても今どきこんなハラスメント講師が私塾とはいえ存在するかねぇと最初の方は思っていたが(※自伝漫画と知らずに観に行った)主人公の東村アキコがハラスメント講師と出会うのは高校三年のとき、世間的には1990年代前半らしかったので、舞台は宮崎の田舎だし1990年代前半の九州の下の方なら昭和のハラスメント気風がバリ残っていてもまったく不自然ではなかった。そのスパルタ絵画講師、大泉洋、よかったですね。デリカシーという概念が存在しない脳筋を超えた脳ゴリラ。さっさと死ねとつい思ってしまうが邪気がないのでさっさと死ねと思いつつしょうがねぇなこのカス親父は死ねとちょっと微笑ましくなる。そのへんは大泉洋がスパルタ筋ジストロフィー患者を演じた『こんな夜更けにバナナかよ』と通じるところで、大泉洋はこういうウゼェんだけれども憎みきれないみたいな役をやると上手いね~。それとVSする永野芽郁も娘っぷり全開で良かったですよこの疑似父娘。まぁそういう映画だな。ほら、何も書きたいことなんかなかったのにもう2000字! だから「描けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」なんだよ。
※小松菜奈に似てるけど小松菜奈だと年齢が合わないしなんかちょっと違うしな~という人が主人公の親友で出てきたがこの小松菜奈としか思えないが小松菜奈ではない人は見上愛さんという人らしかった。