《推定睡眠時間:75分》
いやはや続く時は本当に……と最近毎日のように書いている気がするが、またしても戦争帰りの軍人の魂の彷徨ものである。クリストファー・ノーランの知らんけど絶賛公開中『オデュッセイア』は古典英雄譚を換骨奪胎、「オデュッセイア」といえばサイクロプスとかいろんな怪物が出てくるわけだが、それを戦争帰還兵オデュッセウスの罪悪感ないし心的外傷の見せるメタファー的なものとして現代的に解釈した映画だったわけですが、こちら『ハート・オブ・ビースト』もまたプラピとワンちゃんのアドベンチャー映画と見せかけて、ブラピとワンちゃんが野山で経験する様々なサバイバル事案を戦争の影として捉えたもの。クマとかなんとかが襲ってきたりするのも戦争後遺症というか、いや別にこれは幻というわけではないのだけれども、ブラピとワンちゃんは(このワンちゃんは兵隊犬なのでブラピと戦場に行ってたのだ)戦場の再演としてそれを経験するわけだ。
なにせ大睡眠のため映画の大半は何が起こったかわからないとはいえ、序盤からしてブラピとワンちゃんが戦場で負ったメンタルダメージを癒やそうとしている風な感傷ムード、人里離れた山奥で一人と一匹で静かにキャンプして戦場を忘れようとしていたら戦場ライクなサバイバルを余儀なくされてしまった……という展開のはずなので、あんまりアクションが面白いとかハラハラするサスペンスがとかそういう感じの映画ではないっぽい。飛行機墜落の大自然サバイバル映画でいうとリーアム・ニーソン×ジョー・カーナハンの『THE GREY 凍える太陽』が骨太なサバイバル・アクションという感じで最近のお気に入り(といってももう20年くらい前の映画のはずだが……)だが、そういう面白さではなかったね。どちらかといえばショーン・ペンの現代ヒッピー映画『イントゥ・ザ・ワイルド』なんかに近いかもしれない。なんかイイ話だったよ。めちゃくちゃ寝てるから本当はなんもわかりませんが俺の映画勘によるとこれはエモくてイイ話です。
まぁこういう映画がすごいハマる時もあるのかもしれないけど『オデュッセイア』もそうだし『ネルソンさん、あなたはヒトを殺しましたか?』もそうだし、少し前だと『ウォーフェア 戦地最前線』というのもありましたけど、最近ホントに帰還兵は大変映画が続いちゃってるから、なんだかとても情がないがぶっちゃけいやもういいよそういうのって思う。だいたいわかってるでしょうそんなの、兵隊は楽じゃないって、いざとなったら死ぬのがお仕事なんだし。そういう映画にしなくてもわかりきってることを何度も何度も映画でやらないでいいよ。そういうのは適当にテレビのドキュメンタリーでやってもらって、映画では映画でしかわからないことを積極的にやったらいいんじゃないすか。テキサスには食人一家が住んでいるとかそういうことを。
でも犬は可愛かったのでもしこの映画に点数をつけるとすれば100点満点中100点。そのうち映画としての面白さが1点でワンちゃんの可愛さが99点です。ならワンちゃんが遊んだりご飯食べたり寝たりしているだけのYouTube映像を2時間観てるのと同じでは? と言われたらそれはそう。てかそういうやつの方が観たい。