《推定睡眠時間:わからないぐらい分》
AIが社会を管理し、人間的な感情はシステムにとってのリスクとされている2044年。孤独な女性ガブリエルは、より重要な仕事に就きたいと願い、DNAの浄化による感情の消去を求められる。前世から続く古いトラウマを除くため、1910年と2014年の前世へとさかのぼるガブリエル。彼女はそこで、それぞれの時代のルイという青年と出会い、激しく惹かれ合っていくのだったが…。
https://www.allcinema.net/cinema/393576
ほとんど寝ていたので日本を代表する映画データベースサイトallcinemaに書いてあるあらすじを読んでえっそんな話だったの!? とか思ってしまった。しかも引用していないがこの解説によると原作はヘンリー・ジェイムズの『密林の獣』。読んでいないが確実にこんなSFストーリーではないことはわかる。エンドロールはまさかのQRコードで各自勝手にスマホで見て下さいスタイルだったし意外性の塊のような映画である。
まぁでもその意外性が面白さに繋がっているかといえばもう全然そんなことはなかったと思う。オープニングは合成用のグリーンバックの前で監督に指示されてお芝居をする主演レア・セドゥの図ということでこれは映画ですよ作りものですよと堂々宣言する意表を突くゴダール調であったが、その映像から彷彿とさせられたのはゴダールであるよりもレオス・カラックスの『ホーリー・モーターズ』だ。『ホーリー・モーターズ』にそんなシーンあったよな、ドニ・ラヴァンがモーションセンサー付けて芝居するっていう。そして『ホーリー・モーターズ』は本当に面白くなかった。半ば巻き添え被害気味だがそれを思い出してしまったのでこの無駄に奇を衒った冒頭に俺は「うわ! スベってる!」と感じたのであった。
それからは基本的に寝ているが結構派手な映像や音遣いが多く所々で目を覚ます。起きる度にレア・セドゥが別人のようになっていたのできっとこれが前世への旅ということなのだろう。いろんな時代で毎回悲劇に見舞われるレア・セドゥ。そのオムニバス風の構成もまた『ホーリー・モーターズ』を思わせたので更に「うわ! スベってる!!!」と思う。しかも起きることが派手めなだけ(冠水とか火災とか)でストーリーは単調というか無きに等しいようだし演出も平板なので別に面白いわけではない。いろんなホラーの世界を巡るおもしろいホラー・コメディ映画の『ワックスワーク』を見習って欲しいし『ワックスワーク』の国内盤Blu-rayソフトを是空さんに出して欲しいと思う。
映画館を出るときに同じ回で観てたおばちゃんが「フランス映画はダメ。フランス映画は見ちゃダメ」と笑いながら連れの人に言ってたので俺もわりと同感だったが、でもレア・セドゥは頑張ってたからな。こんな映画でそこまで頑張らないでいいのにってぐらいレア・セドゥ頑張ってた。水没の過去世界で薄布を纏って泳ぐところとかな。透けて見えるおっぱいが綺麗だったし人魚かと思ったよ言い方。もうちょっと品のある言い方をしろ。しょうがないだろレア・セドゥのおっぱい綺麗なんだから。
だからレア・セドゥの七変化を楽しむレア・セドゥ単独公演として受け止めればそこまで悪い映画でもないかもしれない。146分というのは単独公演にしては長すぎる気もするが。