《推定睡眠時間:70分》
果たして前編『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』を観たのはいつだったか内容ともどももはや思い出せないわけだがこういうハリウッド映画の常として最初にこれまでのお話的なものが一応入ってくるのでえーとどんな話でしたっけ今どこらへんまで進んでるんでしたっけと確認しようと思ったらこのダイジェストは前回のダイジェストではなくガチのダイジェスト、ミッションインポ・シリーズの一作目から何作目になるのかわからない前作までのトム・クルーズ名場面を「イーサン・ハント、あなたはこれまでにこんな事件やあんな事件を解決して世界を救ってきてくれましたね…まさにあなたこそが真のヒーロー」みたいな感じのトム持ち上げナレーション付きで5分間くらい見せてくれるのであった。お話は超スゴイAIのせいで世界は全面核戦争崩壊間近あとそれに乗じて悪いことをしようとしている人間のワルモノもいるということ以外よくわからなかったがトムがどれだけミッションインポを愛し貢献してきたのは目が痛くなるほどにわかった。
このようなトムありがとう演出が施されているということはおそらくこれがシリーズ最終作になるんだろう。最終作に相応しく敵もネットを介して世界中に拡散し世界全面核戦争を引き起こそうとしている超AIとかいうなかなかに掴み所の無いビッグスケールな存在である。走ったり掴んだりは得意なトムでもこうも掴み所のない相手に為す術などあるのだろうか。もちろんあるので最終的にトムのスターパワーで解決するに決まっているわけだが、それはともかくこの映画をトムの生前葬にしようという製作陣あるいはトムの熱意は冒頭からして尋常じゃなく伝わってくる。俺の中でミッションインポといえばどちらかといえば軽妙な系のスパイアクション映画シリーズだったが回を重ねトムがシリーズへの思い入れを深めるにつれて軽妙さが失われ内容が深刻化していったため、その最終回にあたると思われる今作ともなればとにかく無駄に重い、重すぎる! のであった。トムの生前葬たる所以である。
というわけで今回はもう他のこととかぶっちゃけどうでもよくトムの頑張りを観、トムの(劇中での)みんなからの愛されっぷりを観、トムを演じるトムを観る、トムの映画であった。いろいろキャラクターは出てくるが敵も味方もみんなどうでもよくそんなことよりトムが走りトムが泳ぎトムが飛行機に掴まる、ただそれだけを楽しむある意味ひとつのどうぶつ生態観察映画とでも言えばいいだろうか。過去二度ぐらいこのブログに書いている気がするが俺はトムをハンサムガイだと感じたことは今までに一度もないし演技派だとも感じたことも一度もなければスター性を感じたことも一度もないのでようするにトムになんの魅力も感じたことがないのだが、そう思えばなかなか楽しい。
てかそう思って観るしかないじゃねぇかこんなもん。トムのアクションを最大限見せるためのものと思われるそれ以外の部分がダイジェスト気味な編集は気持ち悪いし、軽妙さなど微塵もない濃密なお通夜ムードのせいで世界各地を巡る展開のわりにはワクワク感もない、最近のハリウッド映画では間々あることだが説明セリフが無駄に長すぎる上に面白く見せる工夫もないのでアクション以外の場面が全然おもしろくなく、トムを見せることに注力し過ぎているため敵側の魅力も薄くなって(逃げるときにワッハッハと笑うのはバカっぽくて好き)結果的にトムと悪役のバトルも盛り上がらないなど、そりゃクライマックスの複葉機スタントなんかは手に汗握る迫力だけどスパイアクション映画としては失敗作、全部観たわけではないっていうかむしろ3本ぐらいしか観ていないのにそう書くのもどうかと思うがシリーズの中でもたぶんかなり面白くない方じゃないだろうか。それをトムの魅力が補って余りある…かは観る人次第なので個人的な回答は控えますが、まぁともかくそういうわけである! 字幕はトムの盟友・戸田奈津子! 奈津子も高齢なのに頑張った!
あただねこれはめちゃくちゃ余談で考えられないほど余談中の余談ではありますが今回は超AIにより世界核戦争の危機ということで世界の核保有国がセリフで列挙され各国の国旗ペイント入り核ミサイルまで出てきてその中にイスラエルが入ってるというのは地味に事件。イスラエルが核保有国だってのは国際社会では暗黙の了解ですけどイスラエル政府は一貫して核保有を認めておらず、欧米諸国もイラクとかイランとかが核を持とうとしたら国連通して批判するんですがイスラエルに対してはやってないから、事実上イスラエルの核保有を黙認してる(こういうダブスタがイランとアメリカの核合意が進まない大きな要因ではあるだろう)
だから普通は核保有国としてイスラエルが出てくることってユダヤロビーの強いハリウッド映画ではなくて、まぁ大体ロシアとか北朝鮮あたりですけど、この映画では堂々とイスラエルが核保有国として描写されてるんですよね。俺がこの映画の監督だったらユダヤロビーの抗議を恐れてそんな波風立てるような描写はしないですけど、たぶん作ってるみんなトムをどうカッコよく見せるかというそれだけしか考えてなかったから見落としてしまったんだろう。結果的にハリウッド映画としてもしかするとはじめてイスラエルの核保有を認めた映画となったかもしれないので、その意味ではやはりトム・クルーズ、偉大なるスタアである。
頑なにミッションインポと書く姿勢に感動しました。
しかしそれとは裏腹に、マーヴェリックといい、全然現役感のある、おトムさん。
SNSなどでの、トムの還暦に勇気づけられる還暦男性たちに、ちょっとマグノリアみを感じなくもないですね。
なんだか「おトム」が隠語に見えてきました!
シリーズ全作見ている身としては、「まぁ面白いんじゃね、だいぶ間延びはしてるけど…」って感じです。
なんかこれなら前後編じゃなくてもいいような気もするんすよね、ギュッとまとめたら3時間くらいの作品1本に収まって逆に見やすくなりそうだし。
あとこれは本編とはあんまり関係ないんですが、字幕版でずっとエンティティの事を”それ”って表記するのには最初ちょっと戸惑いました…
前後編になったのは1.5本分の予算で2本分の興行収入稼ぎたい的な大人の事情なのかもしれませんが、しかしこの程度の単純なストーリーならわざわざ前後篇トータル5時間とかにする必要性は本当は全然ないですよね笑
まとめて二時間半にしてひたすらトムのアクションだけ繋いだ方が面白かったんじゃないでしょうか。
エンティティはそのままエンティティと表示すればよかったと俺も思うんですが、“それ”になってたのは何か戸田奈津子先生なりのこだわりがあったんですかねぇ
“まとめて二時間半にしてひたすらトムのアクションだけ繋いだ方が面白かったんじゃないでしょうか”
本当にこの通りで、ミッションインポッシブルシリーズはトムのアクション見る為のコンテンツというかストーリーは二の次でも全然許されるコンテンツだと思うんですよ。というかバランス変ですよこの二部作…。
追記
最近自分のスマホでなかなか投稿できない不具合が起こってまして返信が遅れちゃいました( ノД`)…
変に連投とかになってたらスルーしといて下さい。スマン
うんイスラエルはびっくりしたなあ…六芒星が出てきて見間違えか?と思ったけど色味といい間違えようがないしダビデの星が出てきたの一度じゃないしびっくりしたなああれは…
映像だけでなくセリフではっきりイスラエルの核ミサイル司令室がテルアビブにあると言っていたので、実際にテルアビブにあるかどうかはともかく、このへんの描写はトムのスタントよりも冒険だったかもしれません(ハリウッド的に)