映画『トレイン・ミッション』の感想(脱線事故)

《推定睡眠時間:0分》

これあれじゃないですかねなんか『ダイ・ハード3』的な。あれ元々のシナリオは船の上でテロリスト・パニックやる予定だったのに『沈黙の戦艦』でセガールが船上テロバトル先取っちゃったからマンハッタン東奔西走のなぞなぞパニックになったっていう有名な裏話があるじゃないですか。
あれがもし元々の設定のまま映画化されていたらこんな感じになってたんじゃねぇのみたいな感じでしたね。いや、船と電車で全然違うじゃねぇかよむしろ『暴走特急』じゃねぇかよっていう話もあるんですけど…あるんですけど!

決着のつけ方が極めて『ダイ・ハード3』なんだよ。正確には『ダイ・ハード3』の撮影台本に書かれていてちゃんと撮影もされたが完成版からは削除された、脚本家のジョナサン・ヘンズリー的にはトゥルーエンドなアナザーエンドが『トレイン・ミッション』のそれとよくよく似ていたんだ。
これはif 妄想が捗るな。ビルで暴れて飛行場で暴れて少なくとも元々のプロットでは船上でも暴れた『ダイ・ハード』シリーズなのだから、セガールの存在しない時間線では大海原の『ダイ・ハード3』のみならず列車版『ダイ・ハード4』さえあり得たはずだ。セガールさえいなければ…。

脱線が早いよ。『トレイン・ミッション』の感想だっつの。『ダイ・ハード3』はどうでもいいんだよ…でも『ダイ・ハード3』プロットは粗雑で細部ゆるゆるですけど敵のキャラ立ちの良さとかブルース・ウィリス&サミュエル・L・ジャクソンのポンコツコンビの不毛な掛け合いとかビューティフルな爆破シーンとか普通におもしろいですから『トレイン・ミッション』気に入った人は騙されたと思って今一度『ダイ・ハード3』を観てみてほしいですね!
いつになったら『トレイン・ミッション』の感想が始まるのか。すいません。ところで原題『THE COMMUTER』に対して邦題が『トレイン・ミッション』というのは『Source Code』を『ミッション:8ミニッツ』の邦題にしたらなんとなく(邦題ではなく映画が)評判になった前例があるので電車だけに同じ轍を踏もうとした結果なのでは…もういいよそういうの!

どうしてこんなに脱線するのか。正直に言えば、俺は『トレイン・ミッション』に関して言いたいことなんて特に持ち合わせていないんだ。おもしろい映画だったが普通に面白いだけだったから面白かったなぁ程度の感想しかないんだ。
その無茶展開も込みで標準的おもしろアメリカン閉鎖空間サスペンス・アクションだったから本当に特筆すべきことが…じゃあなんで書くんだというもっともな問いにはまぁ、『ダイ・ハード3』を観てもらいたいからとでも答えておく。観よう『ダイ・ハード3』。

と言った矢先にあれなんですがたった今『トレイン・ミッション』固有の面白ポイントに気付いてしまった。首切り宣告を受けて帰りの電車で途方に暮れる哀愁の解雇リーマン(元警官)リーアム・ニーソンに成功したら超大金or失敗したら即(周りの人が)死亡の電車なぞなぞ指令を与えるのは謎のブロンド美女、ヴェラ・ファーミガなんですけどあれ ヴェラ・ファーミガっていったら『ミッション:8ミニッツ』でも失敗したら即(周りの人が)死亡or成功しても特に報酬はない電車なぞなぞ指令を与えていた人じゃないですかジェイク・ギレンホールに!

『THE COMMUTER』と『Source Code』が邦題によって列車ミッションシリーズを形成してしまったのも故無きことではなかったな…ヴェラ・ファーミガの存在によって気付かないうちに接続運転されていたよ『ミッション:8ミニッツ』と『トレイン・ミッション』は。
いいですねこういう小ネタだかイースターエッグ的なやつは。そうか、そういうプチおもしろは随所にあったのかもしれないな。でも俺は気付けなかったんだごめん。気付く気も別になかったんですけど…(観客に作品への貢献や一段高い理解を要求しない優秀なB級映画が故のかなしさだ…自分で言うのもなんですが…)。

あとなにかな。全部おもしろかったですよ。なんか『バルカン超特急』系の列車ミステリー&サスペンス&アクションとして考えられる限りのネタを矢継ぎ早に出してきてる感あるから全部おもしろかったんですけど本当に困るな言語化に困る。面白シーン列挙したらネタバレになっちゃうし。
でもあれだな俳優の使い方とか気が利いてるなぁっていうそこは赤ペンでチェック入れたくなる。さっきのヴェラ・ファーミガでしょ、それからつまらないアメリカ凡人をやらせたら外さないパトリック・ウィルソンが見事につまらないアメリカ凡人役、で、こういう適材適所キャストに投入されるスパイス的なサム・ニールの意外性ですよ。このアンサンブルは良かったなぁ。

いや、だから面白いんだって。面白いんですけど職人的ウェルメイドな映画だから面白の工夫とか客にあんま悟らせないので。
見終わった客にあぁ面白かったって言わせたら勝ちっていうそれだけの思想しかない潔い映画にそれ以上の事は言えないんだよ。そんな野暮は踏みたくないんですよ俺は…今更だが…。

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急行列車の車掌が渥美清でその悲喜こもごもの職務風景を綴る映画なんだからタイトル的にはこれこそストレートな意味でトレイン・ミッションであるし車内を社会の縮図として猥雑な群像劇の趣もある点、また盗品の入ったバッグを探し出し奪還せよとの命令を女性乗客から受ける点で共通することから『喜劇 急行列車』は和製『トレイン・ミッション』、いやむしろ『トレイン・ミッション』が『喜劇 急行列車』の実質的なリメイクと言えるだろう!

その後『皇帝のいない八月』においては渡瀬恒彦主導のトレイン・ミッション(クーデター)に巻き込まれる渥美清だからこれはもう渥美清=リーアム・ニーソン=ブルース・ウィリスの図式が成立してしまうな。してたまるか。

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