ドンキ行きゃいいだろ映画『クリシャ』感想文

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《推定睡眠時間:15分》

トレイ・エドワード・シュルツとかいう俊英監督の初期作だそうでこの人はA24ホラーの『イット・カムズ・アット・ナイト』とか”10年に一度の傑作”とかいう大げさなアオリを引っさげて公開された『WAVES/ウェイブス』の人ですけどぶっちゃけ俺この人の映画好きじゃないんで『クリシャ』もちゃんといけ好かない感じでしたっていうか眠い。

安い映画だなぁと思いましたよ。カネがないっていう意味じゃななくてまぁカネもないでしょうけど考えることがっていうか。シナリオなんかどうだってよくてさ、カメラぐるぐる動かしたり無駄に長回しにしたり編集で素材切り刻んだりしてヤバヤバ感を出そうとしてるだけなんですよ。BGMをもういかにも不穏な感じにしてね。それでアルコール依存で壊れていく家族を表現しましたって安いんだよ思考が。安いし浅い。

頭は良いけどバカっていう表現がありますけどこの人の場合は技巧はあるけど芸はないって感じじゃないすか。『イット・カムズ・アット・ナイト』とか『WAVES/ウェイブス』も基本同じだもん。起伏と細部への関心に欠いたどうでもいい家族の日常風景を過剰な煽り映像でゴテゴテ飾り立ててるだけなんだよ。お前の家族の話なんか興味ないからちゃんとドラマ盛り上げろよって思うよ。日常に伏流する不満とか確執が積もり重なってついに破局へ、というのを見せたいらしいですけどそのドラマがとにかく弱いし演技も日常をなぞるばかりで何も生まない。

なんでもタイトルロールを演じているのは実際に監督の叔母だかの人らしいとのことですがそんなトリビアを得てしまうともう益々(…知らねぇよ)ってなる。どういう狙いでの起用なんでしょうね。初期作というぐらいだから予算的な理由もありそうだしリアリティの追求というのもありそうだが、俺はセンセーショナルな効果を狙ったところもそれなりにあるんじゃないかと思う。実際に自分の家族を使って心の傷をさらけ出しちゃいました! みたいな。

安直だよ。家族起用の真意は知らないがいずれにしても安直でしょうそんなもの。安直だし下品。つまりまとめて言えば安い。こんな程度の家族話なんかいくらでもドンキホーテの奥の方でホコリ被って叩き売られてるんだよ。それをケバケバしい過剰演出でさも大層な出来事であるかのように誤魔化すのもドンキ的というものです。しかし予想を超える展開とか演技とかはここには何もないわけだからその意味ではドンキで貧民観察でもしていた方が遙かに面白いかもしれない。この映画はドンキに負けている。

カメラワークとかが面白いといってもポール・トーマス・アンダーソンのガワだけ真似をした程度のものであって大したものには思われない。たぶんそこにしか興味なかったんじゃないすかね。ポール・トーマス・アンダーソンだって長編デビュー作の『ハードエイト』で撮影の技巧に逃げない渋い人間ドラマをちゃんとやってたのになぁ。

いや別にこういう映画があって悪いとは思いませんよ悪いとは。でもこれが初期作でそっから『イット・カムズ・アット・ナイト』と『WAVES/ウェイブス』に向かうっていうのをこっちは知った上で観てるわけだからどうしても呆れてしまうってそれは。引き出しの概念ねぇのかよとか思うし。でも有る無しの問題じゃないんだよな。たとえ引き出しが無くても無いところから何かを引っ張り出そうとはしてほしいよ。そういう気概のある映画は仮に技術的には拙かったとしてもやっぱ引き込まれたりするんです。

この映画には監督の「俺の知ってる世界」があるだけでその外にはなにもないが、それは後の二作にも言えて、そこで描かれた閉塞した世界の悲劇というのは結局、この人の創作に携わる人間としての怠慢に根があるんじゃないだろうかと思える。とすればその悲劇に迫力がないのも道理だ。そんなもん無知なだけで悲劇でもなんでもないのである。トレイ・エドワード・シュルツ、お前は映画を作る前に茨城のドンキに行け。

【ママー!これ買ってー!】


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あの歌CDあるの!? …この驚きですよ。この驚きがトレイ・エドワード・シュルツの映画にはないんですよ。

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