《推定睡眠時間:30分》
殺し屋が主人公の日本の漫画は伝説の殺し屋が云々という設定ばかりでたまには伝説じゃない普通の殺し屋がわりと仕事をミスってエライ人に嫌味を言われたりちょっと頑張って休みの日に殺しの練習をしてみるけど長続きせずすぐ家に帰ってYouTubeでゲーム実況とか見始めてしまいそれで一日が終わる頃に自己嫌悪に陥るみたいなのがあってもいいような気もするが殺し屋というのはすなわち日本漫画においてはスーパーヒーローのバリエーションに過ぎないので普通の殺し屋というのはあまり編集部に好まれる設定じゃないんだろうし読者にウケる設定でもないんだろう。ONEあたりが殺し屋漫画のパロディとして書いてくれたら面白いんじゃないかなぁと思うがどうでしょう。
そんなこんなで『SAKAMOTO DAYS』も伝説の殺し屋もの、かつてはスーパーサイヤ人みたいな殺し屋だった坂本さんだがたまたま入ったコンビニで上戸彩と出会ってドッキュン一目惚れ、殺し屋業なんかさっさと廃業し上戸彩と家庭に入ったらめっちゃ太って安西先生になってしまったが、そんな坂本に懸賞金がかけられたので今やしがないコンビニ店長でしかない坂本安西のもとには毎日その命を狙ってムロツヨシとか佐藤二朗とかの殺し屋がやってくる。家庭第一、もう二度と殺し屋などという血なまぐさい世界には戻らんと不殺の誓いを立てた坂本は頼れるコンビニ店員たちと共に殺さない範囲で迫る殺し屋を撃退しつつ上戸彩と娘との幸せな結婚生活を送るのであった。
原作は週刊少年ジャンプだそうで安西先生になった坂本が殺し屋を倒すために家から走ってきたら激痩せしてバチギメの目黒蓮になったが家に帰ってご飯をたくさん食べたら翌日にはまた安西先生に戻っているとかそういう世界観なのでまぁなんかそういうやつである。おい上戸彩お前自分の夫が何してるかその距離感で気付かないのはスカウター壊れるレベルの鈍感力だろとかそういうことをいちいち気にする映画じゃあなく、セットもセット剥き出しのテレビバラエティ的安っぽさだし長編コントとしてお菓子でも食べながら観る映画だろう。監督は福田雄一なのでお馴染みの美人に変顔をさせるとかチャラいオッサンがウザ絡みしてくるとかコンテクスト低めのギャグ満載でジャンプというよりもコロコロとかボンボン読者の方が楽しめそう。
殺し屋バトルものなのでアクションはたくさんあってその擬斗は本格的なのだが当然ながら擬斗をしっかり見せるという撮り方にはなっていないので安いエフェクトとかたくさん付けて似た感じでいうと『バイオレンス・アクション』ぽかった。この映画のというか日本の漫画の殺し屋はスーパーサイヤ人なのだから安っぽいのはどうかと思うとしてもたぶんこの映画を観たい人の望みはちゃんとキャッチしてるバトルになっていたのではないだろうか。後半は超能力とかサイボーグ人間がメインになってくるのでもはや殺し屋も何もあったものではない気がするが、まぁそういう世界観とかリアリティラインの映画として、その意味では特撮ヒーローものみたいな映画として、なかなか楽しかったんじゃないかとは思う。
ただこれで129分はやはり長いな。どうせ駄菓子みたいな映画なんだからそんな長い時間ダラダラとやってもしょうがないだろう。俺これは福田雄一の純粋に悪いところだと思うんですけど編集で切れないんだよな。たぶんそれはこの人アドリブを重視するぐらいだから役者さんを撮る、見せる、ということを映画を撮る時に最優先事項としてて、映画としての完成度とか面白さとかそのへんは二の次になってるから、映を面白くするためには切った方がいいような場面でも役者さんがせっかく演じてくれたんだから……と切れない。案外、福田雄一映画に意外なほど良い役者さんたちが集うのはそんな理由もあるのかもしれない。知らんけど現場は楽しいんじゃないだろうか福田雄一の映画は。
やってる本人たちは和気あいあいと楽しんでるが観ているこっちはそんなに面白くない。福田雄一の映画というのは劇場版・役者の飲み会なのかもしれん。
『ベイビーわるきゅーれ』の阪元裕吾が撮って欲しかったって感想もチラホラありますね。(阪元監督の耳にも届いてるらしくて)
ジャンプ漫画の実写化で呼ばれるにはもうちょい先か?