映画感想『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』

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中学校での銃乱射避難訓練の場面が出てきてへぇって思ってしまった。アメリカそんなのやるんだ。お国柄出るなぁ。主人公ケイラさんは高校進学を間近に控えた8年生14歳女子なのでこれは中学での銃乱射を想定した訓練というより高校で銃乱射に遭遇したらというものらしい。
確かに中学校とか小学校の銃乱射というのはあるにはあるのかもしれないがほとんど聞かない。大学でもあまり聞かないから(テキサスタワーみたいのはカウントしない)子供をターゲットにした銃乱射は基本的に高校で起るものと認識されてるんだろう。めっちゃ恐いなアメリカの高校。

体験入学的なやつで知り合った高校生女子に誘われたケイラさんが高校生女子2×男子2の放課後ショッピングモールダベりの会に誘われてからの一連の場面も見ていて不安でいっぱいだったのでアメリカの高校は嫌だ。それにしても、個人差もあるとしても2歳程度しか違わないのに高校生の方は身体的にも言動的にも立派なプチ大人(成熟しているという意味ではない)で、一方ケイラさんの方は断然キッズなのだから日常生活を送る場は人を変える。場の中での人間関係が人を変える。

わたしも変わらなきゃいかんのじゃなかろうか。もう高校生だし。というわけで中学デビューに失敗して学校に友達がいないから毎日毎日どうでもいい自己啓発動画をネットに上げて承認欲求を満たそうとするも視聴回数0の連続で誰にも相手にされないからインスタとかでいいねを大量放出したり積極的につまらないリプを送ったりするがそれも基本的にスルーされとああもう書いていてつらい、書いていてつらい! 日々を送っているケイラさんは嫌だなぁ恐いなぁ気持ち悪いなぁと心を稲川淳二にしながらも頑張って色んなよく知らない人とコンタクトを取っていくのだった。そういうお話が『エイス・グレード』。

実に身につまされる映画だったなぁ。わかりたくないわかるが満載。あるある的な笑いどころも満載だったが一つ残らず全部苦笑。クラスメートを相手にしないクールキャラを気取っているバカ男子がケイラさんの露骨なエロ釣り針に全力で引っかかったり、お金持ちのクラスメートのお誕生日パーティに渾身のプレゼントを持っていったらこれなに的に空気が固まり折悪く段取りを間違えたお金持ちの父親と母親がその場で口論を初めてしまったりと出てくるキャラの全員がどこかでイタい。見ているこっちまでイタくなってしまう。

でもイイ話でしたね。ケイラさんが作ってる誰にも見られない中身のない自己啓発動画とかあれなんなんだよこいつやべぇやつじゃんって思いますが、外の世界に必死に自分の存在をアピールしているようでその実、自分に対してのメッセージだったんだなあれは。自己自己啓発動画だ。でその自己自己啓発動画のおかげでケイラさんは一歩進んで一歩下がったりできているわけだ。

監督が若い人なのでネット依存を安易に悪いものとしない。そのイタさを叩きつけながらも前に進むためには必要な時もあるっていう風に捉える。理解のある人。理解のある映画。たぶんリアルなアメリカン中学事情も興味ぶかく見れるよい現代ティーン映画でした。
ちなみに一番好きなシーンはケイラさんが無理矢理食べようとしたバナナをパパにぶん投げて逆ギレするところ(それにしてもこのパパの理想のパパっぷりときたら)

【ママー!これ買ってー!】


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ケイラさんのキャラ造型にトラヴィス魂を感じたので中二版『タクシードライバー』のような映画だと思ったがそれはたぶん逆でトラヴィスが永遠の中二なんだろう。もし銃の代わりにスマホを手にしたらトラヴィスもケイラさんと同じような誰も見ない自己啓発動画を粗製濫造するにちがいない(そしてそのうち陰謀論動画をアップするようになる)

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