未体験映画『ザ・ビーチ』(2019)感想文

《推定睡眠時間:40分》

この日は睡眠不足でずっと頭が痛くてその上でこの前に二本映画を観ているので体力の限界で残念ながら何が起こっているのかよくわからんまま爆睡劇終となってしまったわけだがただこれはかなり静かでゆったりした会話劇中心の映画だったので体調がMAXでもそこそこ寝た可能性はまったく否定できない。未体験ゾーン2022上映作の中では個人的にちょっと注目していた作品だったので(でも小箱での上映とはいえ土日の二回とも満席だったので俺じゃなくても注目度高かったのでは)こういう映画かーというガッカリ感がないでもないが、まぁでも未体験ゾーンは基本ガッカリ感に浸りつつ一点突破でガッカリをすり抜けてくるサムシングとかパッションを楽しむみたいなところもありますからその意味では別に悪い映画ではないのです。

邦題はそれ使って大丈夫なの同名映画から怒られないのの『ザ・ビーチ』だが現代は『ザ・ビーチハウス』なので海辺の別荘が舞台、浜とか俺の起きている範囲では出ずに(寝てる間にちょっとは出たかもしれない)ずっと家の中で主に主演の丸顔女優さんが会話会話会話そして阿鼻叫喚という感じ。なぜ阿鼻叫喚かというとですね寝てたから詳細知らんが今話題の海底火山の噴火でなんか新しい生き物が出来たのかな? 主人公の人が学識ある人で無機物から生命が誕生した流れについて話していたのでそういうことなんだと思いますたぶんでも違ったらごめん。

で、こいつが海で獲った魚とか貝とかあと水とかにも入ってるっぽくてそれ経由でやがて人体に到達、だんだんと変異していくというわけでこの人体変異特殊メイクが見所…っぽいのだが頑張ってるのはわかるも予算的にはインディーズ映画っぽいのでかなり厳しく、要所要所の怪生物造形や人体変異の出来は良いものの全編に渡って人体ぐちゃぐちゃとかそんな楽しいことにはならない。その代わりに大学院進学を機に恋人と溝が出来てきた主人公の古い世界と新しい世界の間で揺れ動く心理が丁寧に描かれる。これがまぁ海底火山の噴火で出来た新生物と人体変異を前にして主人公がどういう行動を取るかっていうことの前振りというか、まぁだから寄生生物による人体変異をメタファー的に使ってるんですよね、古い世界からの決別っていうことの。

クローネンバーグ作品を思わせるその志は高く人物造形も台詞も演技もジャンル映画だからと手を抜いたところはなく、風景ショットの映像美や仄めかしを重ねていく寄生生物のサスペンス的な見せ方、半透明のスタッフロールなど作り手の美意識はそちこちから伝わってくる、非常に丁寧に作られた映画でこの監督はきっと予算をもらえれば傑作を撮るだろうと思える…が! 眠い映画であることには変わりがないからそれは一応最後に書いておくわ!

【ママー!これ買ってー!】


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予算が無けりゃアイディアで勝負じゃということで知らない町に立ち寄ったら町の人たちが気持ち悪い笑顔を浮かべてばかり、なぜか後ろ向きで立っているばかりで不気味! なアイディア一点突破を図った大胆な無予算映画。しかしその不気味ムードはなかなか侮れずあんまり面白い映画ではないがなんか心に傷跡を残す。

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