レストランが大変映画『ボイリング・ポイント/沸騰 』感想文

《推定睡眠時間:0分》

90分間ワンカットを売りにした映画ということでその90分間にいったい何が起こるのかとレストラン映画の秀逸作『ディナーラッシュ』などを念頭に置いて映画館に足を運んだわけですが描かれていたのはレストランのイヤイヤあるある90分! 主人公のオーナーシェフが別居中だか離婚したのか妻子との関係がよろしくなく不機嫌な状態で遅刻して店にやってくる時点で既にイヤイヤあるある! どうもこの店は時間管理ができていないのでその後40分遅れ、1時間超遅れの従業員まで現れそのたびオーナーシェフが怒鳴り散らしてイヤイヤあるある! オーナーシェフの怠慢による書類の不備で衛生検査の点数が下がったことでもオーナーシェフは周囲に当たり散らしてなにこの店開店前からかなり嫌なんですけど!

店が開いてからも厨房の険悪ムードは続きそれに比べればフロアの方は表面上平和であったがクソインフルエンサー男客集団がメニューにないステーキを要求し人種差別主義者と思しき客は黒人ウェイトレスのやることなすこと全てにいちゃもんを付け嫌がらせ的に料理を作り直させるなどの理不尽が続発しこちらもやっぱり平和じゃない。そのうちに厨房とフロアの対立は先鋭化し客に聞こえるところで「テメェなんか辞めろ!」「テメェこそ辞めさせてやる!」と大声でやり合う始末。そしたらフロアリーダー泣き出しちゃってやだよーこんな店やだよー。これだったらマックでやっすいエサ食ってる方が全然楽しいディナーだよー。マックの料理はやっすいかもしれないけど厨房で怒鳴り合ってるとかは基本的にないし客も理不尽要求あんまりしないものーたまに怒鳴るしか能が無いバカはいるけどさー。

ということで90分間ノンストップのワンカット撮影が何をフィルムに焼き付けたかといえば徹底して「こんな店には行きたくない!」。それをすごい臨場感と身につまされ感で見せてくれるだけの映画と言ってもいいくらいで、この映画を観た後にレストランで食事などしようものならさぞ味がなく感じられることだろう。俺は食事を美味そうに食う人が嫌いという特殊性癖の持ち主なので飯を不味くしてくれるこの映画は素直に楽しかったです。従業員ほとんど全員イライラしててテンパっててそうじゃない奴は限りなくやる気がなくて笑っちゃう。

でもそれだけの映画なので、これ公開2週目とかなのにまだメイン上映館で満席が出るくらい人気みたいですけど、なにもそんなわざわざ満席の映画館で観るような大層な映画じゃないだろとは思った。ワンカット撮影もそれほど技巧的なことはやっていないので大変だなぁ以上の感想は出てこないし。むしろ群像劇としてもう少しシナリオを面白く作り込めそうなところがワンカット撮影の制約で簡略化されてしまっていてもったいなく感じたので、ワンカットに拘らないで撮ってもらいたかったなとかおもいましたね。

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『ディナーラッシュ』もそうですけど『ボイリング・ポイント』を観ていて俺が思い出したのは『プレイタイム』後半のナイトクラブのシーンで、新築のキラキラ店内が時間の経過でどんどんダイナミックにぶっ壊れていくところが最高に笑えてここ本当に大好き。

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