面白いけど映画『モガディシュ 脱出までの14日間』感想文

《推定睡眠時間:15分》

実はこの映画を観たのは二週間くらい前で、普段は観た映画はだいたい一週間以内に感想を書いたりしているので俺の中ではわりと寝かせてしまった系なのだが、それというのも何を書けばいいのかわからない。評判の良い映画だし実際面白かったのだが、最近のアクション系韓国映画を観るとよく思うことで、「こうすれば面白い」のパターンに忠実すぎてあまりぐっと迫ってくるところがない。とくに南北の対立をテーマにした映画はほとんど結末が決まっていて、あのときは一時だけ共闘したけれどもそのことは世間には知らせず、その素晴らしい記憶は心の奥底にしまいこんで黙って別れる…という以外の結末は『JSA』以降の南北対立もの映画に存在しないんじゃないかというぐらいで、この『モガディシュ』もそれをきっちり踏襲するものだから、感動を覚えるよりも白けしまうところさえあった。

それはおそらくこの映画では南北共闘といいつつ実質的には豊かで正直な南が貧しく卑怯な北に手を差し伸べるという強者から弱者への援助が描かれているからで、俺にしたってこの映画で描かれていることのカーチェイスとか銃撃戦以外の部分が創作だとは思わないのだが、とはいえ韓国が北朝鮮に対していかに正しい行いをしたかということをこうもストレートに描かれると、それはなんだか実録ものの映画としてフェアじゃないような気がしてしまって、あまり乗れない。

サスペンスもカーアクションもレベル高いけどね。そこは素直に面白いのだけれども。まぁでも本音を言えばそのへんに関してももっと事実に即したリアルで地味なものが観たかったというのはある。政治に関する部分はリアルなのにアクションとサスペンスの場面になると急に娯楽的に過剰になってしまうのはなんだかもったいない。そこまで客目を意識しないでいいのにと思ってしまう。だって北朝鮮の要員と韓国の要員が突然テコンドーみたいなので対決したりするんだよ。いや面白いけどそれはいくらなんでも嘘だろ。

これは前も別の韓国映画の感想で書いたような気もするが、良くも悪くも最近の韓国映画界は成熟してしまって、どれを観ても欧米の大作映画に負けないくらい面白くはあるけど、それがかつての韓国映画の魅力であったところのエネルギーとかパッションは失われてしまったように見える。映画を量産する体制が確立されてしまったが故に作家の個性を出すことは難しくなり、実験的な作品も一昔前に比べれば減ったんじゃないだろうか。

なんか、そんなことを考えてしまった『モガディシュ 脱出までの14日間』だった。

※あと実録ゆえ仕方の無い部分もあるんだろうけど味のある脇キャラクターたちがほとんど物語に絡んでこないのも残念感があった。展開も比較的淡泊。

【ママー!これ買ってー!】


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こういうやりたい放題感のある韓国映画がまた作られてほしい。

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