《推定プレイ時間:16時間》
ここ一週間ほどずっと『バイオハザード』シリーズ最新作『バイオハザード レクイエム』をやっていて最近はゲームなんか一時間もやれば眼精疲労で頭が痛くなってきちゃっていや~歳だねもう小中高生の頃みたいに一日数時間とかプレイできないわ~とか思っていたのに『レクイエム』に関しては一日5~7時間ほど連続プレイし、ということはだいたい夜通しになるので朝の6時か7時ぐらいに止めて4時間程度仮眠を取って仕事に行くという生活になってしまい当然仕事中はかなり眠くなるので生活への悪影響も甚だしい。がともかく昨日ようやくインクリボン(セーブに必要なやつ)に制限があるモードで一週目をクリア、まだ余韻は強めに残っていて二週目もやる予定だが、ひとまず普段の生活に戻り適正な睡眠を取りたいので一区切りつけるためにここに感想をタイプすることとする。ということでこのブログはいつもなら新作映画なんかの感想を書くところですが今回は『レクイエム』です。
いやぁ、怖かったね! バイオシリーズをやるのはかなり久しぶりでたぶん最後にやったバイオは『バイオハザード4』、『バイオ4』は2005年の発売だから実に20年ぶりということになるわけで、そこでイメージが止まっている俺にとって『バイオ4』に比べればグラフィックも表現も敵の知能もシンギュラリティレベルで向上した『レクイエム』はちょっと怖すぎた。
今回はグレースとレオンという二人の主人公をザッピングしてストーリーを進めていく『バイオハザード2』のシステムを採用していたが『バイオ4』に準拠してアクションゲームの色彩が強い三人称視点のレオン編に対して一人称視点のグレース編はホラーアドベンチャーないしステルスアクションであり、このグレース編が怖い。映画と同じようにゲームに関してもとくに情報を入れずフィーリングで買ってみる人なので最初の方で武器もなくでっけぇ女の怪物から逃げるあたりなんかもうパニック半泣き、これがずっと続くのだとしたら無理じゃん……とものすごい早さで挫折しそうになったほどだ。ちなみに視点はオプションで三人称に切り替えることもできるのだがこれは開発者インタビューによると一人称視点固定の『バイオハザード7』の時に怖すぎて挫折する人が結構いたための救済措置らしい。
かように怖すぎる『レクイエム』なので最初の方は不満タラタラだったがクリアしたらあぁこれはバイオ、これがバイオだね、やっぱバイオおもしろいわと手の平返しである。そもそもバイオとはどんなゲームだったか、バイオの面白さとは何かと考えるればまぁクリーチャーがどうとかグロテスクな表現がどうとかいろいろ言えるだろうがその本質は「怖かったものが怖くなくなる」という点じゃないかと思う。初代『バイオハザード』は序盤ではハンドガンの弾が全然ない中で舞台となる洋館内をうろつく多数のゾンビを相手にしないといけないのでゾンビ一匹一匹が脅威、実に怖いのであるが、ゲームを進めて強い武器を手に入れたりゾンビの居場所や行動パターンを自分の頭に書き込んでいくうちにいつしかゾンビやその他の怪物たちも怖くはなくなって、最終的には最強生体兵器タイラントにロケットランチャーをぶっ放して晴れやかな気分で洋館を脱出するというわけで、自分の中の恐怖を克服することのこのポジティブなカタルシスが他のホラーゲームと比べた時にバイオの突出した個性ではないかと思われるのだ。
そう考えれば『レクイエム』は実にバイオらしいバイオと言えるんじゃないだろうか。最初は武器もなくプレイヤー的には情報もなく一寸先が闇状態がひたすら続くグレース編だが武器がないということは『メタルギアソリッド』や『SIREN』的な敵の行動をしっかり観察してのステルスアクションを余儀なくされるわけで、そうするうちにだんだんとゾンビや怪物一匹一匹の行動や思考がわかってくる、するとあら不思議パズルを解くような感覚になってきて怖さがなくなっていくし、今回のゾンビはゾンビになる前の記憶を少し残していてその日常行動を反復しているというのもあり、怖いどころか愛着さえ湧いてくる、そして終盤ではレオンにバトンタッチしてアクションゲームのシステムででっけぇ敵などを次々とやっつけて悪の組織(雑)の邪悪な目論見を今回も打ち砕くわけである。序盤がかなり怖いだけに怖かったものが怖くなくなるカタルシスや感動も大きい。
俺が『バイオ4』から先のシリーズをやらなかったのは当時バイオの新作が出てたゲームキューブを持ってなかったというのもあるけど、ホラー性よりもアクション性の高い『バイオ4』は俺がバイオに求めていた怖いものの克服という部分がかなり弱くてしっくり来なかったっていうのもあるんだよな。ゾンビなんかへっちゃらな凄腕エージェントのレオン(あいつ『バイオ2』ではしがない地方の新米警官だったのになんであんなソリッド・スネークみたいな人になったの?)になってゾンビ等をサクサクやっつけていくのは爽快感があるだろうから人気が集まるのはわかるけど、それは俺の求めるバイオじゃなかった。今回のメイン主人公であるグレースは武器の扱いなどに慣れてない一介の新米FBI捜査員に過ぎないので、最初は怯えてばかりだったグレースが数々のアホみたいな修羅場(バイオ名物の悪いことが行われている地下ステージで笑ってしまうほどすごい目に遭うのだ)を乗り越えて度胸がついていく過程には感情が乗ったし、こっちのがバイオの良さを感じましたよ。
さて、やっていて面白かったところや印象に残ったところは多々あるがこの感想文はネタバレなし仕様なのでストーリー面で面白かったところは伏せておくとして、それ以外のところで言うと、筆頭はThe Girlがかわいそう。The Girlというのはほぼ不死身仕様のでっけぇ強いゾンビなのだがクリアに必須ではないミニイベントやファイルを通してその正体が見えてくると、ほっといてあげようよ~近づいたら食われるかもしれないけどそれはほら肉食の野生動物だって同じだしさ~それにThe Girlは遊び相手が欲しいだけで悪意はないんだよ~きっと寂しいんだよ~とかなる。『コード:ベロニカ』のスティーブも可哀相なキャラではあったがこの哀感はポジティブでマッチョ思考のバイオではわりと珍しいものだったかもしれない。
一方、笑えるタイプの面白かったところでいうと、レオン編では武装ゾンビがビルの上に設置された迫撃砲をかなりの精度で撃ってきて街が戦場になってしまう! そのステージはほぼ別ゲーになっていたしグレース編のハラハラドキドキとは打って変わって急に豪快すぎる演出で衝撃的だったな。屋内とか地下とか暗いところに入るとザ・ホラーなBGMが流れるとは言えレオン編はゾンビが斧を投げてきたりチェーンソーで斬りかかってきたりそして迫撃砲を撃ってきたりとアグレッシブすぎるのでもはやゾンビガンシューティング『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』シリーズ、怖いという感じはほとんどない。弾が無尽蔵に手に入るわけではないので敵に囲まれてるのに弾薬が切れてくると焦りはしますけどね。
ところでレオン編のゾンビが『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』みたいというのは結構作り手が意識的にやってるんじゃないかという気がしてる。というのもこのゲーム、先行ゲームの影響を感じさせるところが少なくないのだ。人間時代の記憶が残るゾンビの行動を観察してステルスアクションをするグレース編をやればホラーゲームが好きな人は『SIREN』がすぐに頭に浮かぶんじゃないかと思われるが、敵から隠れるホラーゲームといえばカプコンには『デメント』というのがあったし、その『デメント』はかくれんぼ系ホラーゲームの代表作『クロックタワー』の後継作的なポジションなわけだが、グレース編に登場する超肥満体ゾンビの見た目は『クロックタワー』初代に登場する超能力巨大乳幼児ダンによく似ている。バイオの大ヒットを受けて製作された雨後の竹の子のようなホラーゲームの中に瀬名秀明の同名小説の後日談的な『パラサイト・イヴ』というのがあるが、原作から離れたオリジナルストーリーが展開される続編『パラサイト・イヴ2』の重要な設定のいくつかは『レクイエム』とほとんど重複しているといってもよい。ラスボスの攻撃方法はなんか『メタルギア・ソリッド3』のヴォルギン大佐っぽかったです。
昔のゲームの制作者たちは映像表現やストーリーの面で倣うべきものが乏しかったので主に映画から多くを負っていたわけで、『レクイエム』にも『ザ・チャイルド』や『光る眼』のオマージュのようなシーンがあったのだが、今では先行ゲームの映像表現やストーリーを参考に新作ゲームを作ることも珍しくなくなったんだろうということがこうした先行ホラーゲームとの類似点からは窺えて、世代交代というか、そうかー今はゲームが好きな人が自分がやってきたゲームを参考にゲームを作る時代だもんなーと、なんだか感慨深いものを今更ながら感じたりしたのであった。シリーズファンがニヤリとできる小ネタも多いくてバイオの歴史を感じたりもするしね。
あえて難点を言えばラスボスが三変身四変身ぐらいあるかなと思ったら一変身で終わってしまい死闘感なくエンドロールに入ってしまったのが物足りない気がしたし(ラストステージに出てくる特殊部隊の中ボスの方が強かった)、トロフィーのリストにある「最後の謎」というのがゲーム内に合理的なヒントがなく自力で達成することが不可能というのはどうなのかと思うし、中盤に出てくる数少ない人間キャラのヘリ操縦士がストーリーにもっと絡んでくるのかなと思ったらスルーされてお前は誰だったんだよ感があったとか、あとThe Girlを助けてあげるルートを作ってほしかった(かわいそうなので)とか難点というか要望はいろいろあるのだが、一日5~7時間の徹夜プレイを数日続けたと書けば俺がどのぐらい面白く遊んだかは察してもらえるだろう。クリア時間は14時間半ぐらい。今度は用法用量を守って一日一時間で二週目をやりたいとおもいまーす。
レクイエムにバイオを見出だしてハマったのなら最近の7,8,2リメイクもぶっ刺さると思うので是非感想聞きたいです。