ナチ兵殺すだけ映画『SISU/シス 不死身の男』感想文

《推定睡眠時間:45分》

SISUと言いつつ全然主人公のオッサンが死んでくれないのだがその理由は登場人物の説明によれば「死のうとしないから」ってそんな不死身理由があっていいのかよ!? なんとも人を食った映画である。第二次世界大戦中のフィンランド、戦火が激しさを増す中で主人公のオッサンは一言も喋らず愛犬と金の採掘に勤しんでいた。なぜ金を探しているのか。理由はわからないがまぁ金を掘り出せば大金持ちになれるので誰でも金はほしいか。ともかく、戦争など我関せずで金を探していたらついに金発掘、ナチスの焦土作戦により荒野と化したフィンランドの大地を無表情のほくほく顔で歩いていたら民間人の女を戦利品として拉致してきた帰りのナチスの小隊と遭遇した。ナチス、金に気付く。さっそくオッサンを殺して金を強奪しようとするのだったが、このオッサンは死のうとしないのでナチスばかりが一方的に殺されてゆくのであった。

タランティーノとかがそういうことをよくやりがちなフォント遊びでこの映画がマカロニ・ウエスタンとマカロニ戦争アクションのスタイルを借りた映画だとわかる。章題テロップとかがバーンと厚みのついた立体的な黄色いフォントになってんですな。一匹狼のゴールドマイナーがナチスの兵士を殺しまくるだけなんて簡潔明瞭なプロットもマカロニだし、その舞台がひたすら荒野というのもマカロニだ。フィンランドにこんな荒野あるんかよと思ったがナチスの焦土作戦によってこうなったと最初に説明されていた。あんたこれ荒野の舞台を作るために焦土作戦の設定をつけただけだろ!

最初から最後まで死なないオッサンとナチスが殺し合ってときどき拉致されてた民間人の女たちもナチスを殺すだけの映画なのでつまりずっとアクションずっとバイオレンスずっと斬撃銃撃快進撃というわけで面白いものしか詰まっていないような映画なのだが、小学生の時に親に連れて行ってもらった『プライベート・ライアン』においてこの映画最大の見所と思われるオマハ・ビーチの死闘で寝てしまったという俺にとって、こういうずっとアクションという映画は実は案外寝てしまう。なんか同じような音と映像がずっと続くと眠くなるみたいでトーンの変わらない長い会話とかも聞いてると寝ちゃうんですが銃撃音が延々続いてもやっぱり寝ちゃう。背景も基本ずっと荒野で代わり映えしないしね。

寝ても起きてもアクションアクションアクション、殺し殺し殺し、ナチ死ねナチ死ねナチ死ね。それで飽きないという人なら面白く観られることは間違いないと思われますが、まぁ、こういうので眠くなる奇特な人も世の中にはいるということです。以上。

【ママー!これ買ってー!】


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元ネタ映画はいろいろありそうですが寡黙な主人公のキャラクターはこれとかの影響濃そう。

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