毎日が惨殺日映画『カラダ探し THE LAST NIGHT』感想文

《推定睡眠時間:0分》

学園内に隠された8つの人体パーツ模型を怪人・赤い人の追撃をかわしながら見つけ出さなければ強制死亡&永遠ループというゲームじみた設定からジャリ向けのぬるホラーだろと思わせておいて邦画には珍しい人体破壊満載のパワー系スプラッターホラー(+キラキラ青春映画)だった『カラダ探し』の続編ということで今回も腐った顔面にウジの湧いた赤い人が高校生どもの土手っ腹に穴を開け胴体を真っ二つに引き裂き頭部はかち割り引っこ抜いて都合良く尖ったガラス片があればもちろん眼球にぶっ刺して脳天貫通! ギャー! 見せ方というか隠し方が上手いので今回も無事R指定は免れたもののまったく悪趣味な映画である!

さて今回は舞台が遊園地。前作とはまた別の高校生集団がそこを修学旅行で訪れたところカラダ探しに巻き込まれるわけだが、そこに突如として現れたのは前作の主人公ポジションだった眞栄田郷敦、高校生どものカラダ探しを妨害する彼の目的はカラダ探しの連鎖を止めることであった。というのも前作でのカラダ探し終了後、メカニズムはよくわからないが今度はカラダを探していたはずの橋本環奈が幼少期にバラバラ殺人の被害に遭って怪人・赤い人と化す歴史改変が起こってしまったのだ。カラダ探しを終えると今度は別の人間が赤い人になる…愛する橋本環奈を失った眞栄田郷敦どうやらその悲劇を繰り返したくないらしい。一方そのころ冥界では、霊体となった橋本環奈が神代辰巳版『地獄』みたいな手作り感あふれるセットの中でこっちはこっちで脱出の道を模索していたのだが…。

当たり前に「一方そのころ冥界では」とか書いてしまったが実によくわからない設定である。前作も設定周りはかなりガバい映画ではあったが今回は輪を掛けてガバく次から次へと説明もなく新展開・新要素、なるほど前作と同じことをやるだけでは芸がなかろという判断だろう、広い広い遊園地でカラダ探しをやるとなればさぞや大変だろうと心配して見ていたが超絶探索能力によってカラダパーツはあまりにもさっさと集まってしまい、それはさておき推定撮影期間1日の橋本環奈冥界探訪パート、カラダ探しのルーツを巡るパート、カラダ探し失敗後の世界パート、とどんどんカラダ探し以外のことにテンポ良すぎで話が広がっていく。その上で前作の主要要素であったパワー系スプラッター&キラキラ青春もやるので上映時間が96分ぐらいしかないのに詰め込みすぎである。

ということでなんかバカ映画度がだいぶ増した。冥界にて登場の犠牲者の血の入った発光クリスタルの造型だけ見ても作り手に真面目なホラーなんか作る気がないことはよくわかるので、舞台も遊園地だし今回は理屈なんかどうでもよくノリだけで突き進むわちゃわちゃしたアトラクション映画を目指したんじゃないだろうか。詰め込みすぎて高校生どもの青春模様をしっかり描く時間なんか無いので前作みたいなわりと本格派のキラキラ青春感は薄く、むしろ青春パロディみたいになっているから、あの青春感が好きだった人なら「は?」な可能性もあるが、なんかゴチャゴチャといろいろやるから前作とは違うベクトルで今回もまた楽しい映画ではあった。

赤い人の襲撃場面はウジ湧き描写といい原色照明といいイタリアン・ホラーのオマージュ。ラストシーンは急にPOVで『VHSシンドローム』シリーズ化。毎日眼球を潰されたりアンパンマンみたいに頭部を引きちぎられたりする過酷すぎるループ(しかし誰も恐怖や苦痛は感じていないらしい異常なメンタルの強さ)の最後に待ち受けているのはポテチを頬張る鈴木福の呑気な顔面アップ。ふざけているな。この映画、ふざけているな! まぁ、面白けりゃなんでもいいよ。

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