《推定睡眠時間:10分》
キャバクラでオッサンが言う下ネタとしか思えない邦題がヒドくて笑えるがそもそもこの映画は午後ローの常連作である『アナコンダ』のオフィシャルなリブートらしいのに『アナコンダ』が大好きだった中年オッサンたちが『アナコンダ』の自主リブート作を撮りにブラジルに行くという『スクリーム』かよみたいなメタフィクションのあらすじがヒドい。『アナコンダ』はないだろ! これがたとえば『俺たちのスターウォーズ』ならわかるし実際にそういう感じの『ファンボーイズ』という映画もあるわけだが、なんでよりによって『アナコンダ』なんだ。別に悪い映画じゃないよ『アナコンダ』。『ディープ・ブルー』なんかと並んで面白いB級モンスターパニック映画だと思うよ。でもそれだけだろ! あの思い出の『アナコンダ』を俺たちの手でもう一度ってなんだよその発想は! 別に思い出じゃないよ『アナコンダ』は単なる『アナコンダ』だよ……!
もうこれは出オチだな。売れないハリウッド役者(役)のポール・ラッドが実は『アナコンダ』はとある日本人が体験した実話を下敷きにしているので映画化権をその日本人妻が持っていて自分は運良くその人から権利を売ってもらったんだとジャック・ブラックほか冴えない仲間たちに説明する最序盤からしてそれはどちらかといったら『アナコンダ』じゃなくて日活の肉体派女優・筑波久子がロジャー・コーマンのところに企画を持っていって製作した『ピラニア』だろというツッコミをスクリーンが待ち望んでいるかのようだ。
その後も「ハリウッドは新ネタがないんだよ!」「ソニーはIPを持ってる!」(※この映画はソニー・ピクチャーズ配給)とか登場人物に言わせたりして映画ジョークの数々で笑わせてくれるが、ふと思う、これ『アナコンダ』なの……? オリジナルの『アナコンダ』は普通のB級モンスターパニックだったはずなのだがそのオフィシャルなリブート作となるこの映画はパニック味とかホラー味はほとんど無くジャンルで言えばパロディ系のアドベンチャー・コメディだし、だいたい肝心のアナコンダがあんまり出てこないのだ。ジャック・ブラックが出ているというのもあるしその手触りは『アナコンダ』よりも断然『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』に近いかもしれず、映画ネタ満載の映画を作る映画(ややこしい表現)という点では『僕らのミライへ逆回転』だろう。
そりゃこっちも映画をよく観る人だから映画ネタをいろいろ出されたら面白いけど、『アナコンダ』のリメイクなりリブートなりに何か望むものがあるとすればモンスターパニック要素であって、映画ネタはもとより中年たちの友情がどうとか昔の夢がどうとかそんなものはぶっちゃけどうでもいいのに、この映画の主眼は明らかにアナコンダ・パニックよりもそのどうでもいいやつの方なのだ。CG巨大アナコンダも出てきてはくれるが人が死なないから緊迫感はないしジャック・ブラックとポール・ラッドがネタを披露するための前振りのようにしか機能していないので、タイトルロールにも関わらずずいぶん不遇である。スクリューに巻き込まれて死ぬし。
もしかするとなんで『アナコンダ』の新作なのにコメディなんだよという観客のツッコミ待ちのギャグのつもりなのかもしれないとはいえ、これ『アナコンダ』のリブートかリメイクとしてモンスターパニックを期待して観に行ってたらガッカリを通り越してムカついてただろうな。そう考えれば原題『ANACONDA』を『俺たちのアナコンダ』とかいうバカ邦題に改造してくれた配給の人はかなり良い仕事をしたんじゃないだろうか。何一つ『アナコンダ』シリーズである必要性がないという無駄を笑い飛ばせる人向けの実は高度な映画かもしれん。
僕は憤死しそうなくらいムカつきました笑
カットとかも普通に下手じゃない?と思える箇所がいくつかあって(ジャンプスケアからのもう水中でぐるぐる巻きにされてるとか)、でもそれすらも金も技術もない「俺たち」の映画だから、っていうメタ構造を言い訳に使っているように感じられて鼻白んじゃいました。。
同じ監督の『マッシブ・タレント』は大好きな映画なんですが、今作は単純にジャック・ブラックが現場で暴れすぎたんじゃないかなと睨んでおります笑