【ネッフリ】『ブライト』を見る

《推定ながら見時間:15分》

俺は好きですけど多くの人のヘイトを買うのもわかるよな、とかいう中立を気取ったどっちつかずの書き出しに対する自己ヘイトがリアルタイムですごいので言うよ俺は面白かったよ! 俺は面白かったよ! 俺は面白かったよ! 三回ぐらい言わないとこのヘイトには対抗できないだろう…!

脚本マックス・ランディスのシニックで捻りの効いた風刺ファンタジーだが監督が『トレーニング・デイ』とか『SWAT』のデヴィッド・エアーですからストリートのリアルと現場の苦悩一本槍、この男の関心事はそこだけなのでマックス・ランディスの想像力および知性の引き出しを全封印してワルどもに追われ権力に翻弄され人種の壁が壁の方から激突してくる状況に抗うポリ公バディの決死ワンナイトが展開されるがそれを映像に起こすと次から次へと変なのが絡んでくるっていうのを繰り返すだけの要するに『ウォリアーズ』形式になるからはぁ!? ってみんななるんじゃないのはぁ!? って。

いや俺もはぁ!? って思ったよ。なんかなこの世界にはとおい昔には隆盛を誇ったんだか誇ってないんだかよく見ていなかったから知らないがとにかく現代では存在が貶められて被差別民になってしまったオーク族というのとこちらも差別的な扱いをやはり受けているようだが商才と知恵に長けていたので経済的支配層になっているエルフ族とかいうのがいるらしくてネイティブアメリカンとかヒスパニックとか黒人とかユダヤ人とかのメタファーなんだろうがその世界観基本的にあんま触らない。

物語のベースを説明しないもんだからその上に積み重なるはずのものも重ならんわけで、しがない人間警官ウィル・スミスと真面目オーク警官ジョエル・エドガートンのコンビが偶然手にした謎女+失われた秘法(秘宝?)を追う連邦捜査官とか出てくるがあれなんだったんすかね。ていうか秘法ってなんだったんすかね。なんかセフィロートの木みたいのが生えてる。
みたいなことになってしまうエアー作劇なんですけど俺のはぁ!? はそこじゃなくて秘法でなにかしら事を成そうとしている魔女的存在および秘法のビジュアルがエアーの大顰蹙作『スーサイド・スクワッド』の使い回しみたいになっている上に物凄い規模感に乏しく、とそこがはぁ!?
そのはぁ!? ポイントが完全『スーサイド・スクワッド』と被っていたためボーナスはぁ!? も加算されてしまった。

だが繰り返し言うぞ。『ブライト』、面白かったね! 面白かったところも結局『スーサイド・スクワッド』と同じだよ! 現場だよ! 現場に駆り出された非ヒーローのな、こう、現場の矜持っていうか! 正義じゃねぇんだと! 善意でもねぇと! 信念というよりは意地なんだよ! これが俺の仕事なんだと! この現場は俺の現場だと! だから邪魔させねぇよと! なんかあれだよそういう映画だよ『ブライト』!

だからもう本当『スーサイド・スクワッド』のときもこういう感想を書いた気もするが…世界観がよくわからないとか説明不足とか脚本の理解力も想像力も足りてないとかそういうの全部加点だからな、こういうガテン系映画においては。
わからなくて当たり前だ。現場のガテン人が世界の全体像を把握などできるか! できたら現場になどいるわけがないだろう!
よくわからない派閥争い、よくわからない癒着と汚職、よくわからない上層部からの命令、よくわからない世界の危機に現場感覚で立ち向かう無謀な現場人間(オーク)尊かったよ!

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あえて言えばそのファンタジー的想像力の欠如と相反するストリート的リアリティの横溢のぶっちぎりで奇妙なドッキングから連想されるのは『キッスで殺せ』であった。秘法/秘宝の暴発場面のとてつもない投げやり感は『キッスで殺せ』のなんかやばいやつ(雑)による大破壊に匹敵した。

でも本当にちょっと似ていたのでそのガテン気質から言ってエアー本当にキス殺っていうかアルドリッチオマージュのつもりでこれ撮ってたんじゃないですかね。
そういうことを言うとまた別の層からの大顰蹙が想定されるからエアーファンの肩身は狭い。ファンタジーにアルドリッチを持ち込もうとすることがそもそも間違っていると言われればにべもない。

よく見せようとするのはやめよう。わからんやつにはわからん。つまりこういうことだ。主人公警官コンビの持つ秘宝/秘法を狙って悪玉が車ごとコンビニに突っ込んでくる場面があるが、そこで敵側の女刺客がボンネットに飛び乗って銃撃ちまくってくるわけだが、これで濡れたり勃ったりしないやつは来るんじゃねぇよみたいなそういう映画でしたね!
警官同士の「銃を下ろせ!」「話を聞け!」の長い長い応酬、どっちも動転して話が進まない感じに現場リアリティがあってすごいよかったですけどそういうリアル現場会話に何かを感じないやつはお呼びじゃねぇよみたいなそういう映画でしたよ!

さぁそんなものをウィル・スミス主演のNetflix大作に誰が望んだでしょう。誰も望んでないかもしれないけど俺は望むか望まないかはともかく面白かったです…いやもう正直言えばかなり最初の方の、ギャングスタ黒人がウィル・スミスに絡んでくるところのヒリついているのに妙に弛緩した絵面がたいへんよかったので最初から最後まで面白かったんだ…。

あと差別テーマは文系が映画にすると変に辛気くさくリアルから遊離した抽象的な話になりがちですがー、ガテン系はそこらへん地に足の着いた自分たちの問題として描出しようとするので好感。
そういうところもポイント高いぞ『ブライト』。オークのキャラとか人間で言ったらエアーの傑作『エンド・オブ・ウォッチ』のマイケル・ペーニャ(このオークはジャコビーという名前だしオークギャングはチカーノ風ファッションなのでメキシコ移民のイメージだろう)だから親しみがありましたしね。っていうか『エンド・オブ・ウォッチ』だこれ。

【ママー!これ買ってー!】


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『ブライト』がキス殺だとすれば『スーサイド・スクワッド』も『特攻大作戦』のつもりだったんじゃないかと言ったところで別に汚名返上にはならない気がする。

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