妊婦恐怖譚『インサイド』の感想(ネタバレないはず)

《推定睡眠時間:10分》

オリジナルらしい『屋敷女』はだいたい屋敷の中オンリーで追われる妊婦と追う怪婦がドタバタやってる『ハイテンション』の序盤を拡大したような極限系フレンチスプラッターだった気がしたので人の出入りと舞台移動がわりあい多めのこっちはあんまリメイク感ないっていうか身も蓋もないことを言えばこういう展開ならリメイクである意味もあんまない(というのは両方観ればわかる)

そのくせオリジナルで怪婦だった『ベティ・ブルー』のベアトリス・ダルと『インサイド』でその役柄を引き継いだ『マルホランド・ドライブ』のローラ・ハリングはなんとなく受ける印象に共通するものがあったりするからおもしろいものでいやおもしろかったんですよこれ。
なんか、臨月なんですけど家でひとりの妊婦レイチェル・ニコルズ(『P2』とか『トカレフ』とか出る映画出る映画で酷い目に遭ってばかり)のところにいかにも怪しいローラ・ハリングが押しかけてきて。で、こいつの目的は腹の子どもを奪うことで。

そんなわけだから逃げるレイチェル・ニコルズも身体の自由が利かないし(ついでに耳も補聴器がないと聞えない)ローラ・ハリングの方も腹の子どもを間違って殺しちゃわないようにちょっと配慮しつつみたいな微妙な攻防になって、それでグダグダやってるうちに近所の人と警察とか色んな人が集まってきちゃって、その度に強制分娩作業を中断させられるローラ・ハリングが段々キレてきて…みたいなジワジワ系。
オリジナルはもっと血の出も激しいスラッシャー系のホラー寄りだった印象がありますが一応リメイクのこっちはどちらかというとスリラーって感じ。
窓から助けを呼ぶが雨音にかき消されて聞こえないもどかしさ、とかヒッチコックの映画みたいですよね。これはオリジナルにもあったような気もするが。

もう陣痛とか来ちゃってるのでいかにも辛そうなレイチェル・ニコルズも最初は淑女風だったが仕舞には山姥みたいになるローラ・ハリングもよいかったのですが最大のよいかったポイントはまさかのちょっとイイ話になるという。
これはあの、オリジナルを観た人ならわかってもらえると思いますがオリジナルはかなり鬼畜度の高い映画だったのでそんなアホっていう感じなんですけど…でも寓話として考えたら断然ありだと思ったな。

パラノイアックな妊娠不安とトラウマ的な過去とたたかう人のお話。影のようなブギーウーマンの恐怖が贖罪と再誕のイメージへと鮮やかに転化していくあたり、確かにこれはインサイドだなって感じで良かったっすねぇ。あんま怖くはないんですけど。

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リメイクの意味あんのかよとか書きましたがこういう徹底したフィジカル志向の映画をメンタル志向の一種のダーク・ファンタジーとしてリメイクするっていうの面白い試みかもしれないのでやっぱ前言撤回。

↓その他のヤツ

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※フレンチ・スプラッターの旗手、アレクサンドル・アジャが製作総指揮というのがなにか縁を感じさせるレイチェル・ニコルズの女災難シリーズ。

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