『ジュラシック・ワールド 炎の王国』の感想(ギリでネタバレたぶん無し)

《推定睡眠時間:10分》

いい歳こいて予告編詐欺だなどとバカげた文句を言うつもりはございませんがいやでも予告編詐欺だろ。セガールの『斬撃』ばりの予告編詐欺だろ。FALLEN KINGDOMを炎の王国にした邦題もミスリードだろどこが燃えてるんだどこが。俺も全然燃えなかったよ!

わくわくの恐竜アイランドが出てこないのだ。出てこないというと語弊があるが体感時間で主人公一行の島の滞在時間はだいたい20分いくかいかないかだ。
どきどきの恐竜たちが出てこないのだ。出てこないというと語弊があるが愛玩動物の如し添え物的な扱いにお前ら恐竜をなんだと思っているんだとなる。

なんだと思っているんだ。お前ら火山をなんだと思っているんだ。噴火してマグマが1メートル先ぐらいまで迫ってきたからダッシュで逃げるとか舐めているのか。舐めているな。あの軽装備と無計画から察するに完全に舐めていた。
大自然を舐め腐った人間を恐竜どもが無慈悲にバクバク食っていくドリームシリーズというのが『ジュラシック・パーク』の俺定義であるからその定義からすればさほど外れたものではないが問題はだ、問題は!

全然食ってくれねぇんですよ恐竜…壊してくれねぇんですよ恐竜…良い人間と悪い人間が出てきて…良い恐竜と悪い恐竜が出てきて…それで良い人間が良い恐竜を救ってお返しに良い恐竜は良い人間に協力するみたいな。こどもは正義の味方だから悪い恐竜も手加減するみたいな。
『REX 恐竜物語』観に行ったんじゃねぇんだぞ。安達祐実のやつ。今ネットでスタッフ調べたらクリーチャーデザインがカルロ・ランバルディだったやつ。俺『REX 恐竜物語』観るつもりで『ジュラシック・ワールド』の続編は受け止められないですよ…。

これのどこがジュラシック・ワールドなんだ、これじゃあジュラシック・マンションじゃねぇかの心中ツッコミは一応、ストーリーの中で空振りに終わってくれたので辛うじてワールドは保っていたが、保っていたということは続編があるということなので要するに次への繋ぎと逆にガッカリ感は増す。
こんなガッカリな中継ぎ映画がいまどきあるだろうか。繋ぐことにいっぱいいっぱいで単体として見た時の中身ときたらひどいものだし、じゃあ繋がった先に光明は見えるのかっつったらそれもなんか別にそういう感じじゃねぇんだよ、逆にひどく凡庸なシリーズ展開になってしまったとさえ思うよ。

なんかユニバース構想とかあるんだろうと思いますけどね。ユニバーサルだしね。あとアトラクションにしたりとか。見え透いてるんだよ、あのレーザーポインターとか…前提だな、前提映画。前衛映画ならぬ新ジャンル前提映画。作品外の展開を前提とすることのどこが新しいのかという気もするがこんな前提が露骨な映画は珍しく思ったので。

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前作の『ジュラシック・ワールド』が元祖『ジュラシック・パーク』の拡大リメイク的な続編であったことは滅びた恐竜を先端テクノロジーの力で現代に蘇らせるというプロットとSFXやCGを駆使して超リアルな恐竜を画面に焼き付ける作品コンセプトが重なるこのシリーズにあってはスペシャルな重みになっていたようにおもう。
好きだからの一心で荒唐無稽な夢に邁進する人の姿にはやはり弱い。その荒唐無稽な夢が想像力豊かに映像化なんかされちゃったらそりゃあもう涙腺は決壊だ。それが恐竜の如く新時代の到来に適応することができず終了したかに思えたシリーズなら尚のこと。

その続編なので『炎の王国』も基本的な筋は『ジュラシック・パーク』続編の『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』を踏襲していた。
放棄された恐竜島での恐竜保護、と思いきやの恐竜ハント、からの恐竜島アドベンチャー、恐竜密輸、そして恐竜の逆襲。俺がシリーズで一番好きなのは『ロスト・ワールド』なのでこれはテンションが上がる。
映画が始まるとつまらない男女とつまらないガキどもがゴチャゴチャ言っていてつまらなかったが恐竜島に行くとそこにはやはり完全武装の恐竜ハンター軍団が。これだ!

でもぬか喜びだったよな。俺なんで『ロスト・ワールド』好きかってジョン・ウィリアムズのですね『ジュラシック・パーク』の例のテーマ曲の纏った曙光のイメージを覆す黒光りする勇壮テーマ曲に乗せて大恐竜ハント大会が画面にぐわぁーっと広がるからなんですよ。
あの野蛮な絵面最高ですよマジ。超野蛮だし超格好良いし超残酷。恐竜がかわいそう。でも恐竜も反撃に出るからねそれも最高それが最高。ハンターどもが一人また一人と恐竜に食われていくところとかあれもう燃えるな、火山よりも激しく燃えるよ。

んであれが良いのは単純に画が迫力満点でおもしろいというのもそうですけど恐竜リスペクトが感じられるからっていうのがあって、俺そのへんはシリーズの核心だと思いますけど、まず恐竜と人間は違うんだっていう当たり前の前提があって、たかだか人間ごときが偉そうに恐竜を生産したり管理したりハントしたりすることの傲慢と無謀と残酷を通して人間には推し量ることのできない恐竜独自の世界があるんだと、そういう恐竜リスペクトっていうか自然の力リスペクトみたいなのがあるじゃん『ロスト・ワールド』には。『ロスト・ワールド』っていうかスピルバーグには。

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『炎の王国』で本当ガックリきたのはそのへんの超絶甘さだったな。こんな弱々しく人間に都合のいい恐竜を描くなよって思うし、こんな恐竜に甘いつまらない恐竜ハンターを出すなよって。
なんか子どもに媚びてるんですよ。正確にはたぶん子どもの親とか宗教関係者とか出資者とか製作陣とかレイティングとか配給予定各国の道徳規範とかに媚びてるんですよ。血とか出ないしね。見えるところで全然人が死なないし恐竜もあまり撃たれたりしない。

そらそういう安全テイストの『ジュラシック・パーク』だって別にあってもいいと思うさ。思うけれどもそこに恐竜リスペクトはないだろ。恐竜への憧れもないよ。ワンダーもない。そういうの無くなっちゃったらなんのための『ジュラシック・パーク』よってなるよそれは。
だから心中でブツブツ文句を言いながらですね途中で睡眠も取りながらですね一応最後まで映画を観てですね俺の頭に浮かんだのは『ジュラシック・パーク』じゃなかったですよ別の有名シリーズですよ。タイトルは伏せるけれども、でもそうなっちゃったらもう終わりだわってなる。そういう意味ではFALLEN KINGDOMのサブタイはぴったりかもしれませんが…。

伏せなくても別にネタバレとかにならなそうな頭に浮かんだもので言えば『バイオハザード』とかがある。ちょっと『バイオハザード』の世界にも入ってきた。
『ジュラシック・ワールド』がゲームの方の『4』かゲームキューブの無印リメイクだとすると『炎の王国』は『コード・ベロニカ』も『3』も飛び越して『2』と部分的に無印までランクダウンしている。
『GAIDEN』まで堕ちてないからまだマシかもしれないがそこまで期待値を下げる必要のある『ジュラシック・パーク』シリーズ作とは。文脈的には『ディノクライシス』でたとえた方が適切に思われるがそっちはやったことがないからなんとも言えない。

前作から続投の恐竜遺伝子工学博士、せっかく出てきたと思ったらめっちゃヘボくてお前なんのために来たんだよっていうか少しは学べやって感じになる。
やたら作りが甘い恐竜の檻には『ジュラシック・パーク』の最初に出てきたあの厳重な檻はなんだったんだみたいな気に。だって手動よ。電子ロックとかじゃなくて手動のスライドロックみたいな…それは恐竜逃げるよ絶対。ていうか鍵とか関係なく普通に金属壁破られてましたが。

恐竜島同行キッズの片方がすこしだけマルコム博士風ルックというのはサービスのつもりか。数少ない恐竜に食われる人として強い印象を残す技師系モブが着ているのが黄色いレインコートというも一作目のデブのオマージュと考えていいのか。
あいつは良い食われっぷりだったな。あいつは良い食われっぷりだった…。

※前作も公式サイトが凝っていて楽しかったが今回も楽しいというか今回は公式サイトの方が楽しい

【ママー!これ買ってー!】


Spiritchaser

人智を超えたものへの畏怖とくればデッド・カン・ダンスということでこの二曲目の「Song Of The Stars」が似合うような恐ろしい恐竜島アドベンチャーであってほしかったです。

↓その他のヤツ

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