『情欲怪談 呪いの赤襦袢』(R18版)を観に行った

《推定睡眠時間:3本合計60分》

リニューアル前の上野オークラも一回しか足を運んだことはないのですがリニューアル後は初めてだったのでまず観る前にサプライズ。内装、早稲田松竹みたい。エロいワセショー。
建物自体が変わったので場内が綺麗になったというのはまぁ当たり前かもしれませんが二階席もちゃん残して、っていうかわざわざ新設してるのすごいな。

容れ物は変わっても中に入る人は基本変わらないと思うので二階席無くしたら上野オークラの意味ねぇじゃんみたいなことかもしれませんが。
そういえば旧上野オークラ地下の500円シアターは踏ん切りがつかずに行けなかったなぁ、一度行っとけば…と思ったら500円特選劇場の方も移設してるらしい。

(たぶん東京最後のエロ映画館になるだろうから)この採算取れてなさそうな出血リニューアルには最後の一館の矜持すら感じるな。ちなみに今のところ特選に突撃する予定はないです。

映画の話。なんか夏なので大蔵怪談をということで『情欲怪談 呪いの赤襦袢』だそう。タイトルがそれっぽい。憲兵が絡むのがそれっぽい。
でも大蔵怪談とか本でビッグインパクトなタイトルを覚えるくらいでちゃんと見たことはないので感慨とかは別にない。CSで何本かやっているのを見たような記憶もあるが全然面白くなかった気がする。

そこらへん、世代の差。エロ映画館の客層からしたらあぁ懐かしいねって感じかもしれないので内容はビザ~ルですが企画としてはむしろ穏当な可能性。
ちゃんとお化け出てくるしね。こわい感じでしたよ女優の人を正面から撮ってて、その人がちょっとズレると背後に赤い和服を着た何か…みたいな。ビザ~ルだけれども正調サマー怪談映画のかほり。

『恐怖奇形人間』だってざっくり夏の怪談映画だろ的な破壊的映画史観に則ればですがね。いやでも『恐怖奇形人間』は中長編だとわりと途中から話が破綻してくるケースの多い乱歩の映画化としてすげぇ真っ当にやってると思うんだよな…女優の人じゃなくて話がズレちゃった。まぁ、夏だから。

作った人が佐々木浩久なので『恐怖奇形人間』じゃあないですがジャンルミックス的なというかゴッタ煮感覚。赤い腰巻きと三日洗ってないストッキングが紡ぐ因果のお話らしいがゴッタゴッタしているので理解が追いつかずあれよあれよという間に変なところに連れてかれる。

最終的には寝たのでどこに行き着いたのかよくわからないのですが、松竹版『八つ墓村』みたいな歴史を貫くひとすじの情念というものがしっかり描き込まれていた気がするので、繰り返しになりますがビザ~ルなのに妙な怪談的説得力のある映画だったようにおもう。

そこは松竹版『八つ墓村』より『怪猫トルコ風呂』でも引き合いに出した方がイメージ的に近いかもしれませんが(あれだって俺は結構真面目なフェミニズムホラーだと思っているのだ)

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それにしてもエロ映画は寝る。普段から寝ているがエロ映画三本立てなんかはもう確実に寝る。やっぱエロシーンでストーリー止まるじゃないすか。それでエロシーンってすげぇ保守的じゃないすかあんまり前衛的な体位とか試すと面白いかもしれないけど勃たないから。

オカズが脳内イメージの場合でも俺は自慰しながら眠っちゃう人なのでエロ映画の長い長い、かといってアート映画みたいに変な構図とかにもならない濡れ場を見ていると勃起は確実にしているが同時にまた眠くなってしまうというわけで事実、今回は観ながらのハンズフリー自慰(局部の筋肉運動のみで行うイモムシの屈伸のような自慰である)を試みてこれは大変気持ちがよかったがその途中で寝に入ったので半分夢精になってしまった。
食事途中で寝落ちする乳幼児か。身体は大人なのにメンタルは乳幼児まで退行してしまっている。それはそれで怪談とは別の方向におそろしかった。

併映のほか二本の感想。『熟女訪問販売 和服みだら濡れ』はなかなか爽やかなユーモアとペーソスの人情喜劇という感じで、ヘルズ・エンジェルス的なバイカー集団(四人しか出てこないが全国に支部がありかつては隆盛を誇ったものの取り締まりの強化と世相の変化そしてメンバーの高齢化に伴い今は四人しか残っていないとスーパー脳内補完を施して見る)を率いていた青山愛という人が出所、更正して(?)あやしい枕なんかを売る訪問販売の会社を立ち上げた元舎弟・なかみつせいじにセールスレディの仕事を世話してもらう。

キャラがよかったすねこれは。なかみつせいじのポジティブで大人になれない純情舎弟はチャーミングだし、この人が失敗だらけの半生を振り返るモノローグとかは結構ホロリとさせられたりする。
青山愛の同僚訪問販売員の人(名前は知らない)はいつもヌボーとした何を考えてるんだかわからないお兄ちゃんで、ちょっと『3-4X10月』の柳ユーレイみたいな。ええ感じなんです枯れ具合が。

それから敵役の悪徳金貸しね。所作がとてもサマになってるんですよこの人は。天井の段々になってるところに隠した日本刀を取る時の瞬発力とか悪役の迫力があって良かったなあれ。

最後の一本『痴漢学園 すさまじい淫行』は三本の中だと一番エロ指数が高い抜ける系映画で、たいへん勃起したがたいへん寝た。
なんとなく大藪春彦的ハードボイルドを思わせなくもない学園ドラマって感じでお話は面白かったしコマ劇前のロケ(ミラノ座に『スクリーム2』の看板が掛かってる)も良い感じだったように思うが目が覚めたら終わっていた。

それにしても思うのはこれも一応痴漢する側が悪役なので物語の水準では痴漢の犯罪性が強調されるわけですが、観客の欲望の水準ではやっぱポルノだから痴漢の後ろ暗い魅力の方が前に出てくるわけで、ピンク映画を女性にアピールしようみたいな機運の中でこういうサブジャンルの映画はどう扱うのが一番ええのだろうっていう。

痴漢ものに限らずとも男性向けポルノなんてどれも暴力的な関係性のイメージの上に成り立ってるじゃんていうところもあるので、比較的最近のピンク映画なら多少そのへん折り合いはついてるんだと思うんですけど、制作年度の古いピンク映画はそのへん難しいよなぁ…と仏頂面で考えながらしかし下半身は勃起しているのでなにかとても説得力のない問題提起だ。

【ママー!これ買ってー!】


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これから公開になる『情欲怪談 呪いの赤襦袢』のR15版(長尺版)はオリジナルR18版を更にギャグで破壊したバージョンとは監督の弁ですが俺からしたらR18版も充分ギャグで破壊されているので更に破壊したらもう『血を吸う宇宙』みたいなことになるんじゃないかと思うがどうなるのか。

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