アクションの映画『ブッシュウィックー武装都市ー』感想(ネタバレ多少あり)

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《推定睡眠時間:0分》

アクション映画だアクション映画。ジャンルとしてのアクションでもあるし、政治行為とか抵抗運動としてのアクションでもあるしっていう。
主人公の女子大生かなんかがホームタウンのブルックリン・ブッシュウィックに戻ってくるとよくわからんが物々しい雰囲気。
降り立った地下鉄駅は無人、なんだなんだと思っていると地上から火だるま人間が! 恐る恐る外に出てみると辺りは戦場。暴行、略奪、無差別銃撃と爆発、そして至るところに所属不明の軍隊が。

とりあえず偶然知り合った元軍人の熊みたいなオッサンとバトルフィールド・ブッシュウィックをサバイブしているうちに女子大生が知る衝撃の事実。
なんと! 所属不明の軍隊は合衆国からの離脱を求めて武装蜂起したニュー南部連合の私兵であった! 南北戦争が! 南北戦争が始まったぞ!

ほらこんなの読んでる分には捻りもなにもねぇじゃんそのまんまじゃんっていう感じするじゃんそういうスノッブ人間とか絶対いるじゃん。俺も書いててそう思うよ。
でも観てる時は素直にびっくりしましたよね。いやぁこれはすごいと思うな。逆にその直球っぷりがすごいよ。変に修飾したりしないでもしニュー南北戦争が始まったらのコンセプトで一点突破。主人公周りのパーソナルな物語とかは基本的にどうでも良い感じ(一通りやりますが)

その豪腕に思いがけずハートを打たれてしまったのは回りくどいレトリックも政治的な正しさもなしにストリートの剥き出しの抵抗が描かれていた気がしたから。
俺たちの嫌いなアメリカの多様性が凝縮されたブッシュウィックを占拠して議会に合衆国離脱を認めさせようぜ的な無血革命を夢想してアクションに出たニュー南部連合だったが甘かった。
ブッシュウィックには非合法に銃を所持するギャングとかが結構いたのであっさり反撃を食らってしまい、しかし引くわけにはいかないから銃撃戦そしてブッシュウィック戦場へとこのような事の次第。

アホらしいとか言ってくれるな。アホらしいかもしれないが武器がないからごみ箱の蓋で武装(?)してニュー南部連合の武装私兵に突撃していくそこらの貧乏白人の姿は結構ハートビート待ったなしなんだ!
人種的ブラックがライフルをぶっ放す傍らで服装的ブラックな超正統派ユダヤ教徒連中がフォーメーションを組んで兵隊どもに火炎瓶ぶん投げたりとか萌え燃えでしょうが!

齢を重ねた黒人マザーがギラギラした闘志を瞳に宿してだな、所詮この国は変わらないさ、いずれこうなるだろうと思っていたぜ的な微笑を浮かべながらだな、いやそいつは別に直接なんかしたりとかは特にしないんですけどでも行くぞコラ! やってやろうじゃねぇの! そういう気分になりますよこんなの見てると!

圧倒的な戦力差に怯む有象無象のレジスタンス市民どもの前に突如ゴミ回収車が現れてだな、突撃ラッパの如くクラクションを鳴らしながら敵陣に突っ込んでいった時の高揚感とかこれもう『タクシー運転手』でしょうが! 『マッドマックスFR』でしょうが!
それは言い過ぎかもしれないから『ウォリアーズ』と『ドゥームズデイ』にしておくがそっちの方が燃えが激しいぞ俺は!

ゴミ収集車が開けた風穴に雄叫びをあげながら一気に雪崩れ込んでいくレジスタンスのギラめきに心の中の応援上映決定。

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チラシなんかを見ると全10カットがどうとか謳っているがかなぁりわかる感じでワンカットっぽくカットを繋ぎまくっているのであんまりカット数がどうのとか気にならないっていうか特に惹かれない。
いわゆる(かどうかは知りませんが)『ロープ』繋ぎ。人物の移動なんかにかこつけて壁とか階段とか影になった部分にグッとカメラを寄せて、ていうパターン。

そうでもしなけりゃこの予算規模で日中の市街戦とか無理だろうと思うので爆発音だけ流して画面外で爆発が起きたことにするとか苦しい場面が頻出するが、映画的に苦しければ苦しいほど画面に漲るやってやろうじゃねぇの精神。
あんな銃を触ったことも武術の嗜みも日常的な身体トレーニングさえしてなさそうな女子大生が私兵とはいえ完全武装のニュー南部連合兵士をバンバン撃ち殺せるわけねぇだろと思うがいいんだよあんなの口実であって背景のカオス模様とエキストラ市民の抵抗っぷりが面白いんだから。

それにあんな弱そうなおねーちゃんがですね、最初は彼氏(すぐ死ぬ)に私を守ってねとか言っていたチャンネーがですね、このまま終われるかよって感じで武器を手にレジスタンスに混じっていくのがまた燃えたりするんだから。
街を守りたいからとかじゃねぇんですよこの女子大生が立ち上がるのは。そこから脱出できると噂の非武装地帯に向かってたら兵隊ウォールにぶち当たったんで他の市民と一緒に突っ込んでいくだけなんですよ。

その大義の連隊に対する大義なき連帯っつーかですね、なんでわけわからん連中に生殺与奪の権を渡さなきゃいけないのかっていうシンプルな行動原理がですね、このような世の中ですから響く。
抵抗運動というのは立派な建前とかなくてもこういうのでいいんだと思うよ俺は。という意味で、混乱に乗じて各々バラバラに各種犯罪行為に走ったりしていたブッシュウィックの住民たちが次第に街からの脱出に向けて一点に集結、団結していく光景は安いが安さを感じさせないというかいや! むしろ予算的に安いからこその壮観なのだった。

これも予算的な理由だった可能性があるがあちこちから爆発音と銃声が鳴り響く中で普通に歩道を歩いている二人組が映っていたりする。こういうところも逆にリアルな感じがして良かった。
家でラリってた主人公の姉が状況を把握しておらず「近所のやつがコール・オブ・デューティでもやってるんでしょ」。笑えるが、有事の時には案外そんなもんなんじゃないかっていう気がしますね。

疑似ワンカットのゲーム的VR的戦場体験映像は2018年(2017年)最新スタイルもコアの部分にはそこはかとなく70年代的カウンター精神が。
カーペンターの『要塞警察』を連想させたりする『武装都市』の邦サブ題もその気を助長するのでそこもまた、よいかった。

【ママー!これ買ってー!】


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あと都市部の混乱状況が『ゾンビ』っぽくもあったので米国内戦映画として『ゾンビ』を見直したくなった。『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』にもちょっと似てるし。

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