【ネッフリ】『モーグリ:ジャングルの伝説』感想文

投稿日: カテゴリー ながら見ネット配信タグ , , , , ,

《推定ながら見時間:45分》

お話は『ジャングル・ブック』なので面白いとか面白くないとかそういう感じでもないんですけど、CGのクオリティが凄いしその使い方が面白い映画だなぁと思いました。
どう面白いかって最初ハイパーリアリズム系のフルCGアニメかと思ったんですよ、喋る動物たちとかこいつらが縦横無尽に駆け回る大自然がCGなのはともかく、赤ん坊の主人公・モーグリもCGだったから。

で成長して10歳ぐらいになるとどうもモーグリ役は実写の俳優さんに変わるっぽいんですけど、『ジャングル・ブック』だから周りにいるのが全部喋る動物なわけじゃないですか、でその喋る動物が全部CGなわけじゃないですか。
こうなると感覚が狂ってくるから一部実写っぽいんだけれども全部CGに見える。ていうかむしろCGにしか見えない。
たぶんこれジャングルを駆け回るモーグリの肉体とアクションはCGで作ってて、そこにリアル俳優の顔当ててるんですけど、ちょっとそれがにわかには信じがたい感じですね。

背景の静物に関してはとにかくパーフェクトなレベル。木々とか山々とかそういうのは俺の節穴な目には実写かCGか加工実写か判断できない。
流体とか光の反射のシミュレーションも非常に精度が高かったんじゃないすかね。最近の大作映画とかゲームに出てくる水CGはレベルがガチだから、ぶっちゃけこの自然な川の流れを見てもそんなに驚かないぐらい水リアリティがインフレを起こしておりますが、それでも素直にすごいなぁと思う。対象となる物質の素材感まで感じ取れる光の反射も同様。

静物は完璧なんですけどモノが動物になるとさすがに動きがCGだなぁってなる。俺そこらへんすげぇよく出来てるなと思ったんですけど、動きの不自然さを考慮して動物はあえてデフォルメされたアニメっぽいCGになってるんですよね、気持ち。
だからすごいリアルなものを背景にして微妙にリアルじゃないCG動物が動き回る不気味の谷ならぬ不気味のジャングルって印象を受けて、そこに部分的に実写な俳優とか配置されたらもう、CGか実写か判断できないし、そんなもの意味ねぇなっていう感じで。

この映画が面白かったのはその判断できなさっていうのがモーグリの置かれた人間と動物の境界線上の立場の映像的な表現になっているようなところで、なんていうか、そういう風にCGのマチエールでキャラクターのみならずドラマを作り上げていけるぐらいの水準に今のCGは達してるんだなっていう、ちょっとそこ面白いを通り越して感動するところでしたね。

広告

そういうわけでモーグリがジャングルを出て行く前半はフルCGかなぁ? ぐらいな感じで見てたんですが、人間に捕らえられたらそこは完璧に実写の世界。
ここでようやく主人公がCGではなく生身の人間であったことに気付くと同時に、モーグリの捕獲されたヒンディー語圏のどっかの集落(か、ハンティングキャンプ)は川沿いにあるわけですが、この実写の川と、あんなにリアルに見えたジャングルの川はやっぱ質感が違うなってことにも気付く。

リアルに見えたジャングルの川はこの人間生活の中にある川と比べて綺麗すぎた。川だけじゃなくてジャングルのCG風景はやっぱ全てがリアルのそれと比べて美しすぎた。あんな風な幻想的な月明かりは人間界には全然なかった。
その対比ですよね。動物界と人間界の混ざりようのない差異をハイパーリアルCGと実写の地続きなんだけれども決定的なものとして見せるという発想。

動物も狩りとかするわけですがCGだから血生臭くない。でも人間の狩りは血生臭いんで、モーグリを拾った人はハンターなんですが、ファンタジックな物語世界が急に現実的な残酷の色彩を帯びてくる。
原作が原作だからネタバレも糞もないだろうと思いつつ一応そこは伏せておきますが、この集落でモーグリが目の当たりにする動物のリアルが人間のリアルに強制変換される瞬間というのは結構衝撃的で、出来事としては予想できる範囲のものなんですけど、こういう映像連関の中で見せられるとやっぱ絵面が強い。

なんかそういう感じの映画でしたね。それからモーグリくんはモーグリくん拾って育ててくれた黒豹とか熊とか狼とかの人間共存派に与して、大の人間嫌いで人間共存派の平和をも荒らす猛虎を狩るべきか、それともジャングルから追放された自分に人間的な生活を与えてくれた、動物が大好き()で猛虎を狩ろうとしているハンターを狩るべきか、俺はどっちの世界に属してるんだっていうので揺れていくわけですけれども、手垢の付いた物語もこういう形でのCGと実写の融合で見せられると説得力があるっつーか、なかなか新鮮に見えてよかった。

でまたそのリアルとハイパーリアルを往還するハーフ/リアルが映画に神話の風格を与えていたりするから立派なものだなぁと思い。
監督アンディ・サーキス、さすが『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム、新生『猿の惑星』のシーザーと、現代神話世界をCG動物の中の人として渡り歩いてきた人はCG感性が豊かだなぁとすげぇ納得しましたね、エンドロールで名前見て。

【ママー!これ買ってー!】


ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 (字幕版)[Amazonビデオ]

美麗CGのどうぶつ映画ということで。虎と少年出てくるし。あと神話的だし。

500