映画2本立て感想文『デスストーカー』&『フランキー・フリーコ』

どういう事情か知らないがクソガキSFの快作『サイコ・ゴアマン』で日本にコアなファンを生み(その前には『マンボーグ』という映画もあるらしいが観たことない)そこに登場する脳みそくんは今や東京のメイン上映館であったシネマート新宿のマスコットキャラと(勝手に?)なってしまったほどのカルト監督スティーヴン・コスタンスキの新作が2本まとめて大公開である。映画サイトでそのことを知ってしまった時には「コスタンスキの新作が2本も!?」と色めき立ってしまったが、冷静に考えるとコンスタスキの映画ばかりそんなに観てどうするのかと思う。ともあれ観てきたので2本まとめて感想どうぞ。

『デスストーカー』

《推定睡眠時間:70分》

なんだか怖そうなタイトルである。デスでしかもストーカー。変態連続殺人鬼が女子大生でもつけ回して恐怖の一夜が幕を開けたりするのだろうか……と思いきやホラーとかサスペンスではなくヒロイック・ファンタジー。最近『マスターズ・オブ・ユニバース』というアメコミ系(厳密には違うのだが)の映画が公開されましたがあれの予算を1000分の1にした映画と言えばテイストなり世界観なり伝わりやすいんじゃないでしょうか。オリジナルは1983年の『勇者ストーカー』。一応ロジャー・コーマン製作総指揮とインターネットには書いてあるがこの時期コーマンはニューワールド・ピクチャーズを売却してその契約を巡り裁判を起こしたりしてるのでどの程度関わっている作品なのかは不明である。

でもコーマン製作映画のリメイクとかあんまり考えて観る必要はないような気がするな。コーマン製作映画というよりもこのノリは80年代アメリカ低予算映画界の雄エンパイア・ピクチャーズ。結構アダルティだったりシビアだったりするところもあるという点でわりかし大人向けなコーマン製作映画と比べてエンパイア映画はまぁ残酷描写とかおっぱいとか出るやつもあるけど小学生向けって感じ。ちょっと過激なボンボンコミックみたいな。やたらとチープだがほぼ全ての作品で手作り感溢れるクリーチャーとかロボットとか怪獣とかが出てくれるから観てると童心に帰れて良いんだよなエンパイア映画は。

俺はエンパイア映画大好きっ子なのでいろんなファンタスティック生物とか魔法とかが出てくるけどお金はないから基本的に山の中とか妙に狭い部屋の中でギャグをかましながらもっさりチマチマ戦ってるだけ……というこのエンパイアイズム満載の『デスストーカー』、とても好感が持てる感じである。そのわりには70分も寝ているがつまりそれはこういうことだ、好感が持てるからと言って面白いわけではない。みなさんも身に覚えがあるだろう。すごく人柄の良い同級生とかがいても得てしてそんな人は恋愛対象にはならず、むしろ人柄の悪い感じの同級生にこそ心引かれてしまうみたいな、なんかそういうやつを。エンパイア映画も同じだ。エンパイア映画には大人になれない大人たちの夢があまりにも詰まっているが、基本的にほぼ面白くはないのである。

いろんな怪人が出てくる。魔法とか出てくる。でも面白くない。『デスストーカー』はそんな愛すべきつまらない映画といえよう。そもそも爆睡してるから面白いかつまらないかも本当はよくわからないが。

『フランキー・フリーコ』

《推定睡眠時間:15分》

カタブツ男の前に突如として現れたのは深夜テレビの謎CMでやってたパーティ盛り上げ屋の宇宙ゴブリンズ。はたしてカタブツ男は家中を散らかし騒ぎまくる迷惑な宇宙ゴブリンズを追い出すことはできるのだろうか。それとも宇宙ゴブリンズのパーティ熱にやられてカタブツを返上してしまうのか……?

パペットのゴブリンズが出てくるホラーコメディ(といってもホラー要素はゴブリンという空想生物だけで怖いところはぜんぜん無い)は『グレムリン』の影響か1980年代にいくつか作られたようで、『ダーティきっず ぶきみくん』とか『グーリーズ』とかが思い浮かぶのだが、汚い見た目(と言動)をしたゴブリンズとの出会いによる主人公の心境の変化に重きを置いている点で『フランキー・フリーコ』は『ダーティきっず ぶきみくん』とはとくに親戚感がある。『ダーティきっず ぶきみくん』は怪しいタイトルに反して人を見た目で判断してはいけないよとお子様に諭すキッズムービーなのだが、『フランキー・フリーコ』のゴブリンズもパーティが好きなだけの平和主義者ってなわけで誰も死んだりしないしラストはなんかイイ話だしこう見えてほっこり系。こっちの方が『デスストーカー』よりもコスタンスキの持ち味は出ているかもしれない。

見所はやはりゴブリンズのデザインとかパペット操演とかになるのだろうか。こんなん昔ようあったな(主にエンパイアで)ぐらいのものではあるのだが、やはり合理性の追求の結果あれもこれもCGになってしまった現代の映画でこういう80年代スタイルのレトロ特撮をやっているのを見るとグッときちゃう。それ以外はいろいろとこう、なんていうか安くてメリハリがなくてシナリオも雑なのであんまり面白くない気がするが、そのあんまり面白くないところも結局80年代オマージュと言えてしまうので、80年代愛の人であるコスタンスキの手の平で俺のような観客は良いように遊ばれているのかもしれない。あと無駄に部下思いの上司には笑った。

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