ほのぼの映画『ザ・シスト/凶悪性新怪物』感想文

《推定睡眠時間:10分》

この映画エンドロールの後にNGシーンと未公開シーン集が数分程度付いててわざわざそんなの付けるほどの内容じゃないだろ(※本編が70分ほどしかないため尺稼ぎの可能性あり)とか思ったんですが、何が面白いのか知らないがやたら楽しそうにしてるキャスト陣を観ていたらうかつにもほっこりとしてしまった。

いいじゃないですかこういう和気藹々。映画本編もまぁぬるいぬるい、日本での宣伝はエクストリーム案件のためゲロ袋持参で観に行けなどとキモさ推しでしたが実際観たら全然キモくなくてずっこける。キモイどころかむしろこれはキュート。60年代の舞台設定もありパステルカラーが印象的な脱力系コメディ・ホラーなのでオシャレの形容詞さえ不可能ではないほどだ。

お話などあってないようなもの、皮膚腫瘍の専門医が画期的だが危険っぽいレーザー腫瘍除去装置を開発したがそんなものは使うべきじゃないとえらくガタイのいい助手女性が猛反対、しかしレーザー腫瘍除去装置で特許を取って大儲けしたい医師は謎の腫瘍増粘剤のようなもの(寝ていたので詳細不明)で患者の腫瘍を拡大し「これはもうレーザーで除去するしかないな!」と無理矢理レーザー試用に持って行く。ところがたいへんこの増殖腫瘍がなぜか意志を持って動き出した! できもの怪物の闊歩する地獄と化したかなり狭いクリニック。はたして中に残された人たちは生き残ることができるのだろうか…そして特許は取れるのだろうか…とまぁそんなよくある感じ。

怪物が出てくる前も出てきてからもぬるいので緊張感とか怖さとか怪物バトルの迫力などは期待してはいけないしゴア描写とかもほとんどない。映像的な見所はCG造形をしていないSFX怪物とか腫瘍特殊メイクとかクリニックの人々のレトロなファッションとかキッチュなレーザー腫瘍除去装置のデザインだろうなこれは。あとゆるゆるのユーモア。積極的に客を笑わせにくる感じじゃなくて気が向いたら笑ってやってくださいねくらいのスタンスが心地いい(人によっては劇的に退屈な可能性あり)

こんな映画だが実はなのか実はでもなんでもないのかジョン・カーペンターのオマージュ作であり、小型の腫瘍怪物は挙動も『遊星からの物体X』に出てくるスパイダー・ヘッドに似ているが、誕生する時の効果音が物体Xが姿を現すときの「シュルシュルシュルシュル…」と檄似。無断で音源流用してないかと疑ってしまうほど似ているのでこのへん作り手のこだわりなんだろう。カーペンター映画の特徴のひとつは脱力ユーモアなので、もしかしたらそれもカーペンターのオマージュだったのかもしれない。助手と医師のやたら長いプロレス喧嘩(わりと笑える)は『ゼイリブ』を真似たものの可能性もある。

まぁエクストリーム配給の映画に過度な期待をする人もいないと思いますけど過度な期待をしないで暇つぶしで観れば案外面白い映画って感じですかねこれは。面白いっていうかなんか雰囲気がいいんだよね。ある意味このゆるさは癒やし系。ほんわか癒し映画として宣伝したらよかったのにとか思いましたとさ。

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血みどろグログロ変態ホラーかと思いきやほのぼの脱力コメディだった映画といえば『サイコ・ゴアマン』も面白かった。

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