爆睡感想『ピータールー マンチェスターの悲劇』

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《推定睡眠時間:110分》

結構楽しみにしていた映画だったので2時間に迫ろうかという勢いの大爆睡をかました自分にちょっと溜息が出てしまう。何度も言ってますけどなんかあるんですよ、映画の内容に関わらず寝てしまう映画館って。これ観に行った映画館は5割ぐらいの確率で寝るのであー寝る方入っちゃったか、という感じ。あとは前の方の席でスクリーンを見上げる形になると眠りやすい。風呂に入ってから観に行ってもリラックスしちゃって寝ますね。

今回はそれを避けようと(楽しみにしていたので…)風呂インターバルを2時間ぐらい取って劇場に入ったわけですが、どうも疲れが溜まっていた。疲れが溜まっていたらもうダメだ、起きて観られない。それを解消するために先にお風呂に行ってるのだからもう正解がわからない。まぁ、諦めるしかない。人間寝るときは寝る。155分の映画で110分ぐらい寝る時もあります。人生ってたいへん。

この睡眠量だとストーリーなんかはまったくわからないので感想を書きようがない。記憶に残っているのはもっぱら映像。これがまったく素晴らしく撮影ディック・ポープ、絶賛公開中の『風をつかまえた少年』でも見事なサバンナ景を撮り上げた撮影監督ですが、空気遠近法を利用した風景の美しさはこちらも同様、手前に植物の緑を、画面奥に舞い上がる砂埃を置いたりする構図はイギリス風景画の伝統を感じさせるもので非常に面白かった。

このディック・ポープという人、キャリア初期には画家としても活動する異才映画監督フィリップ・リドリーの『柔らかい殻』にも参加しており、そちらではアンドリュー・ワイエス風の映像世界を作り上げているので絵画の素養があるらしい。
『ピータールー』監督のマイク・リーとはイギリス風景画家の代表選手ウィリアム・ターナーの伝記映画『ターナー、光に愛を求めて』でも組んでいるのでこういう絵画的な映像はお手の物なんでしょね。

室内撮影も素晴らしく基本的に自然光撮影、陰影の濃い空間で逆光を多用したりしてなかなか強烈な印象なのですが、その『ターナー、光に愛を求めて』に続いてプロダクション・デザインはスージー・デイヴィーズ、貧乏民家の臭い立つような木の質感であるとかズラーっと並ぶ織物工場の機械の感触が圧倒的で、現代美術的な趣もあってこれがまた面白い。

現代美術への目配せというか、自由な引用とかパロディの感覚はあったんだろうと思わせるのは若い兵隊(※主人公のようだが睡眠により詳細不明)が戦地から家に帰ってくる場面で、迎えた母親がその半死半生の姿を見て慌てて台所に水を取りに行く、台所でコップに水を注ぐ、するとこれがフェルメールの『牛乳を注ぐ女』のようになる!
ちょっと笑ってしまうけれどもすごいよね、この一連の流れをカットを割らないで撮るんです。台所に走る母親にカメラがパンしてそこで急に『牛乳を注ぐ女』が現れる。これはちょっと驚いた。

ボーッと眺めているだけでしあわせになれる映像美に比べればお話の方は切り返しの会話が多く劇伴も少ないので平板な印象があったかもしれない。でもそこらへんは寝ていたから判断不能。ちゃんと観ていたら面白かったかもしれないので判断保留。
ディック・ポープ撮影の『風をつかまえた少年』では群衆パノラマに迫力があって大きな見所になっていたのですが、なんせ民衆蜂起&暴力鎮圧というたぶんこの映画のクライマックスであろう場面を俺観てないですからね…。

しかし逆に言えば、逆に言えば! それだけ見逃していても面白い映画ということですからこれは傑作ですよ。面白かったです『ピータールー マンチェスターの悲劇』

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