思いのまま『龍三と七人の子分たち』の感想書く(※ネタバレなし)

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うんこネタが欲しかった!
北野監督のコメディ代表作といえば『みんな~やってるか!』(1994)だったが、アレは映画史上たぶん最大のうんこが出てきた。
やはり老人ともなるとシモの問題が避けては通れないんで、ここはうんこネタの出番だったのではないか、と思えてならない。屁はたくさん出てくるけど。

とゆーコトで『龍三と七人の子分たち』を観てきたが、面白いか面白くないかっつったら、いや面白かったですよ、コレ。老人力だな、老人力。
出る方も撮る方もトシ食ってんで、もうどうしようもなく時間と空間が弛緩。北野映画なんて全部弛緩してんじゃんとも言えるが、テクニックも狙いもなくただカメラ回してるだけで映画が弛緩する、とゆー領域に到達してるあたり、この映画の凄みのない凄みである(老ヤクザのタンカの如く)

老ヤクザが若いヤツらをとっちめる!とゆーストーリーも老人力の為せるワザだ。それこそ北野監督が影響を受けた黒澤明の『夢』(1990)やフェリーニの『女の都』(1980)みたいな、老人の妄想映画でもある。
愚かで薄くてクソつまんねぇ若モンどもに老ヤクザが喝を入れるが、現実と妄想の境すら弛緩しきった空間ではそんなコトも可能なんである。老人のユートピア映画なのだ。

ストーリーらしいストーリーもなく、ただギャグを垂れ流すような映画なんで、健康ランドの仮眠室で流すのにピッタリ。ボケーっと見て、ボケーっと笑う。イイネ!こーゆーオフビートなコメディが俺は好きなのだ。
でもぶっちゃけ言えば軽くガッカリした。なんでかっつーと『キッズ・リターン』(1996)ぐらいまでのキョーレツな映画体験みたいのは、もう陰もカタチもないからだ。

『その男、凶暴につき』(1989)も『3-4X10月』(1990)も『あの夏、いちばん静かな海』(1991)も『ソナチネ』(1993)も、昔の北野映画には映画的瞬間ってのがあった。
ただ歩いてるだけのシーンだったり、ただ遊んでるだけのシーンだったり、そーゆーのが素晴らしく感動的だったりした。それだけで映画に描かれた全てを語り尽くして、その外にまで超え出てくようなシーンがあった。
要は、詩があった。それが迸ってた。だから感動的だった。

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どっからか北野監督は吹っ切れたようで、自分の創作上の迷いを全部ぶちまけたような『TAKESHIS’』(2005)『監督・ばんざい!』(2007)『アキレスと亀』(2008)を経て、『アウトレイジ』(2010)に辿りつく。
ヤクザ映画だが、『ソナチネ』みたいなかつての北野流ヤクザ映画とは全然違う。本人が語ってたと思うが、Vシネ的な、お客さんを意識した娯楽作。

俺は『アウトレイジ』超面白いと思うんだけど、一方で詩情を排したトコがちょっと寂しい気もした。
俺はやっぱり、詩が見たかった。それが北野映画の他に代え難い映画的瞬間だと思うんで。

そんなワケなんで、その路線の娯楽作『龍三と七人の子分たち』は面白いんだけど、俺は昔の北野映画みたいに何度も何度も繰り返し観たいとは思わない。
ってかお客さんを意識した娯楽作をやるんなら、脚本にプロ入れた方が良くね?とすら思ってしまう。
ストーリーの希薄さも老人力の為せる自然体オフビートも、単純な娯楽作にはむしろマイナスに作用するトコが多々あったんじゃないだろか。ヤマもオチもないギャグ映画って、狙いとは逆に興行的に厳しいんじゃないの、知らんけど。

まぁ、過去ばっか見てもしょうがないか。しょうがないが、北野監督ももうお歳なんだから、変にお客さんなんか意識した映画撮らないでいいのに、とも思う。
この映画の中の老ヤクザみたいに、やりたいコトやればいいのに。やっぱ出来ない事情とかあんだろか。主に興行的な理由で。

今回北野監督はほんの脇役での出演だが、なにをするかって言えばやりたい放題の老ヤクザを無表情に眺めるばかり。
その眼差しになんとなく『監督・ばんざい!』の苦悩と諦観を見た気がする。だからどこか、バカバカしい映画なのにラストには一抹の切なさと無常観が漂う。
そこにだけは隠しようのない詩があったと思う。

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北野監督のコメディ映画じゃ一番好きだったりするが、なんだか評判よろしくない。あっけらかんとした作りで面白いけどなぁ。
それに、何を撮ったらいいか分からない映画監督(北野武)の姿がとても切ない映画でもあるのだ。

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中村

「龍三と七人の子分たち」は全然おもしろくなかった。 キャスティングの良さが発揮されていなく非常に残念な気持ちになった。 ここまでおもしろくない邦画は久しぶりで北野武監督への興味も薄れている。