【アマプラ】『底知れぬ愛の闇』感想文

《推定ながら見時間:45分》

スタイリッシュ映画監督エイドリアン・ライン実に20年ぶりの新作映画とのことだがエイドリアン・ラインのイメージは世代でかなりズレるんじゃないかと思っていて『フラッシュダンス』とか『ナインハーフ』をリアルタイムで観ていたライン第一世代にとってのこの人はフレッシュなスターを起用してスキャンダラスな映画を撮るトレンディ監督じゃないかと思うんですけど、それに対して俺の属するライン第二世代は数多のフォロワーを生んだ名作ホラーゲーム『サイレントヒル2』にライン監督作『ジェイコブス・ラダー』がビジュアル面で多大な影響を与えていたことからラインといえばもっぱら『サイレントヒル2』の悪夢世界の原型を作ってくれた人のイメージで、フィルモグラフィーを俯瞰すればむしろ異色作の『ジェイコブス・ラダー』こそがライン最大の仕事という感じになる。っていうか他の監督作は興味ない。

でこの『底知れぬ愛の闇』ですよ。これはですねうーんたぶんライン第一世代は若干呆れつつもあーこれこれこれがエイドリアン・ラインだよねぇかなり枯れてるけど、ぐらいな感じで楽しめるんじゃないかと思うわけですが『サイレントヒル2』だいすきライン第二世代の俺はこれかー! 20年待たせてこれかー! そうかー! ってなりました。

倦怠期の夫婦の危険な火遊びがやがて殺人事件にまで発展して云々という午後ロー的ストーリーはエイドリアン・ラインの映画そのもので(※原作はパトリシア・ハイスミス)都会的な映像感覚もまたエイドリアン・ラインの映画そのものだが…だが! いや今更そんなことやられても縮小再生産以上のものにならないでしょそれ! 別につまんなくはないよつまんなくは! むしろちょっと面白いけれどもでもさー! エイドリアン・ラインだもんなー! 『ジェイコブス・ラダー』であの独創的な悪夢世界を創造したエイドリアン・ラインが20年溜めに溜めて出してきたのがこれかー! そうかー! なるでしょ。なるよそりゃ。

ベン・アフレックとアナ・デ・アルマスの夫婦役も演技は悪くないでしょうけどかつてのライン作品みたいな「おっ」ってなるような意外性とかフレッシュさとかはない。誰にも感情移入させないドライな演出と何が真実かわからない虚実皮膜のあわいで戯れるインテリ作劇もまた魅力的ではありますが…でももっとやれる人だろーエイドリアン・ラインはー。なんでこんな老人の懐古ムービーみたいのえ満足しちゃってるのさー。

暇つぶしには悪くないけれども暇つぶしレベルの映画ならいっそ観たくなかったというのがライン第二世代のヤングパーソンとしての率直な感想である。これが遺作になったらシャレんならんのでラインは明日から『ジェイコブス・ラダー』路線のガチな悪夢映画の撮影に入ること。できるから! ラインお前にはできる! 信じてるぞ!

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