『ファイナル・スコア』糞普通に面白かったです感想

《推定睡眠時間:0分》

普通のB級テロリストアクションじゃんと言われたら返す言葉は1つしかない。確かに普通のB級テロリストアクションかもしれないが、100点満点かつ実績を10個ぐらい達成した最高の普通の英国産B級テロリストアクションである。1つしかないと見得を切ったわりには結構言っている。

なにせ映画が始まって即フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの“Two Tribes”が流れるんですよあなた。そんないきなりステーキみたいなインスタントなテンションの上げ方あります?
なんで“Two Tribes”かって今回のテロリスト(※続編とかではない)は東欧の分離過激派グループみたいな人たちで、物語の背景には欧米VSロシアの構図があるから。“Two Tribes”といえば米ソ冷戦を茶化したPVでも知られる戦争ソングですが、そんな身も蓋もない選曲ってあります? もうタイトルバックの時点でこれでもかのB級感ですよ。

このBへの意志に泣いた。実は“Two Tribes”、オープニングだけではなくテロに巻き込まれた主人公のデイブ・バウティスタとテロリストの激しいバイクチェイスの場面でも流れるのだが、チェイスと“Two Tribes”…そして書いていなかったがテロリストの戦闘部隊のリーダーが凶暴なパンク女…これは完全に80年代SFアクションへの愛だけを詰め込んでそれ以外の映画に必要なものを全て捨ててしまったB級オナニー大作『ドゥームズデイ』のオマージュじゃないですか!!! 英国ジャンル映画界の雄ニール・マーシャル渾身の!!!

『ファイナル・スコア』は『ダイ・ハード』を初めとした90年代B級テロリストアクションのオマージュがそこかしこに見られる映画だったわけですが、その中に『ドゥームズデイ』オマージュも混ざっているという事実。
なんだかとても説明がしにくいのだが感動的である。その愛あるパチモノへのリスペクトが俺にはB級ジャンル映画すべての賛歌に思えたのだ…いや説明がしにくいのだが! まぁ、わかる人だけわかってくれ。

ストーリー。元軍人のバウティスタは戦死した戦友の家族の面倒を見るため定期的に家族の住むロンドンを訪れている。今度もまた顔を出すと娘がボーイフレンドとサッカー、失礼フットボールを観に行く行かないで母子喧嘩の真っ最中。ここはとりあえず俺に任せてくれってことでバウティスタは戦友の娘と一緒にスタジアムに向かう。だがそのスタジアムにテロを画策するグループの影が。Bですね。とてもB。

あとはまぁお馴染みの展開で、スタジアムのコントロールセンターをジャックしたテロリストが出入り口を封鎖してプラスチック爆弾を設置、外部との連絡を遮断するため携帯の基地局を別働隊が破壊して、何万人だかのサポーターを気付かれることなく人質に取りつつ悪事を進める。

軍人の勘で偶然そのことを知ってしまったバウティスタは客のババァから「テロリストは帰れ!」みたいな理不尽クレームを受けていたインド系のスタジアム係員を強引に巻き込んでテロリストと対峙、果たしてバウティスタはテロリストを倒すことができるのであろうか、そして戦友の娘は無事パニック・イン・スタジアムから脱出して母親と仲直りできるのだろうか、とこうなる。

少しも面白くなさそうなあらすじだが俺は今年観た映画の中で一番おもしろかった。だって厨房でのバトルとかあるんですよ。厨房でのバトルってあれでしょうセガールの『沈黙の戦艦』じゃないですか。はい面白い1。
舞台がサッ…フットボールスタジアムのテロリストアクションでしょ。でテロリストとバウティスタの水面下のバトルなんかつゆ知らず表では普通に試合やってるし観客は普通に試合観て熱狂してるわけでしょ。ヴァン・ダムの『サドン・デス』じゃん! はいおもしろい2。

まだまだあるぞ面白ポイント。前述の“Two Tribes”バイクチェイス、なんとなく屋外でやると思ってたでしょう。違います屋内です。スタジアムの外周通路でやるんですよバイクチェイス! おもしろい3。
爆弾があったら(映画的には)使わなければいけない。使ったら観客はパニックになるに決まっているので無謀な屋内チェイスに加えてパニック映画要素まである。『パニック・イン・スタジアム』みたいでおもしろい4。そのパニック要素が試合進行と連動しているので追加でおもしろい5。

バウティスタのせいで事件に巻き込まれたインド系の残念な係員がすっかりテロリストに怯えてなにかお祈りしている。「バイスシティ…サンアンドレアス…」「なんだそれは」「グラセフを想像して心を落ち着かせてる」。お前最高かよ。おもしろい6。ついでに最後の最後に待ち受けていた係員の爆笑伏線回収でおもしろい7。ちょっとホロリ感もあったのでボーナスでおもしろい8。

一方スタジアムの外では情報機関の男が事件の対処を巡って現場で陣頭指揮を取る警官とつばぜり合いを繰り広げている。事件は現場でも起っているし現場の外でも起っている。試合・テロリストバトル・場外暗闘を同時進行で見せる多重構造シナリオ、おもしろい9。
どいつもこいつもいかにも労働者階級な貧相な顔つきでよかったなぁ。おもしろい10。歯に矯正具を付けた戦友の娘の素行不良感とか最高じゃないすか? おもしろい11。テロリストの戦闘部隊のトップが主に足技で攻めてくる凶暴なパンク女とか夢でしかないじゃん。おもしろい12~100。「サッカーじゃない! フットボールだ!」のイングランド魂でおもしろい101。

…とこのように、おもしろいの宝庫でしたよ『ファイナル・スコア』。本当にもう1つもツボを外さなかったと思いますねテロリストアクションとして。笑いあり残酷ありサスペンスありアクションあり筋肉あり爆発あり銃撃戦ありバイクチェイスありヘリコプターありナイフ格闘ありカッコイイ女あり風刺ありヒューマニズムあり筋肉あり筋肉ありインド人ありですよ。完璧でしょ! 完璧じゃない? これは問いじゃないですから疑問形の意見の押しつけだから。

テロリストも型通りのテロリストって感じじゃなくてちゃんとキャラに血が通っていて…そのへんピアース・ブロスナンの存在感が大きいのですが、えー、なんというか、ちょっとした楽屋落ちというか、元ボンド俳優が…という妙味もあり。
いやほんと面白かったなぁ。臭みのない慎ましいドラマも良くて…や、面白い映画はいくら言葉を並べても結局は面白かったの一言に勝る感想はないので、面白かったとそれだけ言っておく。もうそれだけ以外にも2000字ぐらい書いてますが。

【ママー!これ買ってー!】


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職人ピーター・ハイアムズの手腕により普通におもしろくなってしまったので逆にヴァン・ダムの混沌フィルモグラフィーの中では目立たない不幸。

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