手洗い励行映画『アンチ・ライフ』感想文

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《推定睡眠時間:0分》

一言で言えばブルース・ウィリスの出ている『デッドリースポーン』と『デッドリースポーン2』のミックス・リメイクという感じなので、これで何が言いたいか伝わる人は100%観に行けばいいし、逆になんのことだかよくわからんという人はわりと避けた方が賢明。いや面白いと思いますよ。面白いと思いますけど『デッドリースポーン』と『デッドリースポーン2』を合わせたような感じっていう面白さがどこまで通用するかなみたいなのあるじゃん。

そりゃ通用してほしいですよ俺だって! だけどさぁ、世間は厳しいからさぁ、こういう安いエイリアンSFを観たら期待してたのと違うっつって怒り出す人とかいるわけじゃないですか。俺はこの映画をそういう人から可能な限り守りたいんですよ。でも映画を守って動員がズッコケだったら本末転倒だよね。前言撤回するわやぱみんな観に行ってくれ。その前にYouTubeに転がってる(この映画ではなく)『デッドリースポーン』と『デッドリースポーン2』の予告編を観てあーはいはいなるほどねと心の準備をしていただいて…そうすればきっと楽しめますから! 映画にはその映画に合った楽しみ方ってのがあるんですよ!

でもね安いっちゃ安いですけどセットとかは『エイリアン』と『エイリアン2』(あと『リバイアサン』もなんとなく入ってるような)丸パクリのグレーチングから蒸気漏れ漏れ系でそんな金がかかってない感じでもないんだよな。怪物の造形も色々誤魔化してはいるがかなりちゃんとしてるし。冒頭の地球脱出艇に殺到する人々のシーンとかだって本当に金のない映画だったらあんな風に撮れないですからね。それにブルース・ウィリスも出てる。

金かかってるところには金かかってるんですよこの映画。でも安いところは相当安いんですよこの映画。ストーリーも序盤はなんか硬派でダークなヒューマンドラマ系SFっぽく進んでチープ感ないのに途中から急にエイリアンをぶっ殺せ系SFになって銃とかバンバン撃ち始めてえらいチープになってきて、なんか、変なんですよこの映画。作りが歪。統一感がだいぶ無い。

クレジットを観ると2020年の映画で、カナダ映画だそうですが米国映画界が新コロに揺れまくった2020年に米国俳優使ってよく完成までこぎ着けたな…とか思うのだがこれもしかしてある程度撮った段階で新コロの影響食らって未撮影分が当初の予定通り撮影できなかったんじゃないかな。そう思えばこの歪さにも納得だし、チープさもむしろ健闘の証として面白く見えて…見えてこないか、それは。

あとここから先はネタバレ入ってきますんでこんな映画のネタバレを誰が気にするんだよとは思いますが一応赤字で警告しておきますからね。警告を無視して読み進めたネタバレ厳禁勢のあなたはいわば密航者です。密航者に文句を言う権利はないので理解しろ。

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しかし、冒頭の簡易検査機で乗船希望者を陰性か陽性か判断して陽性だと地球脱出艇に乗れないっていうのも新型コロナの蔓延を受けて急遽リップシンクで付け足された台詞なんじゃないかなーなのだが、そうやって新コロ直撃映画として観るとちょっと面白いよな。

だってこのエイリアンめちゃくちゃ強い。物体Xとかチェストバスターとか(あるいは『クリープス』とか?)みたいな寄生型で、最初に寄生された奴は内臓溶けて内部から爆発四散してるのに他に寄生された奴は誰も爆発してないから挙動がよくわからないのだが、乗っ取られた奴は撃っても焼いても死なない超身体能力で怪力の言葉は喋れないが明確な意志を持ったダッシュゾンビみたいになる。でその意志でもって人類の絶滅をこのエイリアンは企む。なんか説明がいい加減なのだが一応この世出身ではないということでクトゥルー神話的な怪物らしい。

こんな化け物どう倒すんだろうって思うよね。乗組員の一人であるブルース・ウィリスはなにやらコソコソと怪しい動きを見せている。主人公の密航者コディ・カースリー(役名はノアでその恋人の役名はアダムスというこのB級的安直ネーム)はその後を追って実はブルース・ウィリスが超強力洗剤を原材料に密造酒を造っていたことを突き止めるのだが、これは何の伏線なんだろうと思ったら怪物をドロドロに溶かして倒す武器でした。撃っても焼いても死ななかった最凶怪物は洗剤とアルコールかけると死にます。

…新型コロナウイルスと同じじゃないか! マジかよそんな強かったのかよ洗剤とアルコール…超ありがたいな洗剤とアルコール…これは啓発が捗りますよ。みんな色々考えるじゃないですか。次亜塩素酸水を加湿器で噴霧したら室内のコロナみんな殺せるんじゃないかとか、緑茶とかイソジン飲んだらコロナ治せるんじゃないかとか、紫外線放射装置でコロナ対策ばっちりだとか…そんな飛び道具だいたい嘘か錯誤だからね。そりゃそんな夢のような新コロ対策がありゃいいけれどもあったらパンデミックになってないから新コロ。怪物だってそんなんじゃ死にませんよ。

やっぱ王道です。王道がいちばん強い。すなわち洗剤とアルコール。頻繁に洗剤(もちろん石けんかハンドソープだぞ)で手を洗ったりアルコールで手指消毒すればその部分は新コロ不活性化しますから。その繰り返しが大事。なんて偉い映画なんだ。さっきまで終末移住系のSFサスペンスを観ていたと思ったらいつの間にかBC級のグチャドロ系エイリアンSFになっていて変な映画だなぁと観ているうちに手洗いとアルコール消毒の大切さが身についてしまうなんて! ってかあれだね、最初の寄生者が爆発四散したのってたぶん洗剤原料の酒飲んでたからなんだよね。酒飲んだら寄生エイリアン暴れて爆発四散すんのかよ! アルコール消毒の威力やばすぎるだろ。

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あとはなんか、全体的にへっぽこ。へっぽこで面白かったです。棺桶みたいなデザインは悪くないけど(それも『エイリアン』のノストロモ号のパクリと言われればそれまでだが)CGのクオリティが安くて出てくる度に緊張感が削がれる地球脱出艇とか、設定上は30万人ぐらい乗ってコールドスリープに入ってるらしいがそんなシーンは出てこないし船内セットが狭いので10人ぐらいしか乗ってる気がしない船内描写とか、リモート撮影疑惑のあるホログラフのブルース・ウィリスがやたら出てくるとか、アダムスのネーミングからも序盤は相当な重要人物と思われた主人公の恋人がその後はずっとコールドスリープに入ってるだけでとくに物語には絡まず終盤ようやく目覚めたと思ったら状況の飲み込みが光速で一切怯むことなくエイリアンを撃ち殺し(いや殺せるんかい)何の迷いもなく脱出ポッドに乗り込みそしてやたら主人公とキスをする…ってなんだその雑キャラクター捌きは! ブルース・ウィリスのキャラもなんか適当だし!

しかしね、レイティングの都合か単に撮れなかったのか知らないが、直接的なシーンは少ないものの残酷描写とかエイリアン特撮はなかなか頑張っていて、とくに爆発で飛び散った寄生人間のボディパーツがグネグネ自律して動き出して合体、巨大異形エイリアンになるところなんか『リバイアサン』か『遊星からの物体X』を彷彿とさせて嬉しくなっちゃったな。

ノアとアダムスが辿り着いた人類の新天地であったはずのニュー・アース(※オリジナルのアースはもう先がないらしいが、なんで先がないのかは疫病が流行ってるっぽいという以上は説明されないのでよくわからない)でクトゥルー的な大怪物がぐわーんと姿を現すところとかも…あれも霧でかなりごまかしてるのでもっとちゃんと怪物見せろよ! とか思わないでもないのだが、でもいいじゃないですか、なんか夢があって。どうせ終末ならこんなスケールのでかい終末がいいよ。最近の終末SFは人間スケールに合わせすぎだ。

だから、分かって観れば悪くない映画なんだよこれは。もう一度言いますけどブルース・ウィリスの出ている『デッドリースポーン』と『デッドリースポーン2』ですから。ブルース・ウィリスの出ている『デッドリースポーン』と『デッドリースポーン2』と『エイリアン』と『エイリアン2』と『遊星からの物体X』と『リバイアサン』と『ミスト』の廉価版ですから。面白そうでしょ? これで面白そうと思えないならそれはもうあなたが悪いです。それ以上に監督と脚本家が悪いけどね!

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↓2021年1月19日現在、国内盤DVDの『デッドリースポーン』がなぜか異常な価格高騰っぷりを見せているので、ここはみんな落ち着いて安い輸入盤の『デッドリースポーン2』こと『METAMORPHOSIS-ALIEN FACTOR』を観たらどうだろうか。っていうかこっちも国内盤出してくれよ。


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