思ったより弾けない映画『白頭山大噴火』感想文

《推定睡眠時間:10分》

いやもう全然土日のチケットが取れなくて公開3週目にしてようやく観れましたよ。新コロ禍を受けての公開延期かーらーのー怒濤の公開ラッシュで今シネコンのタイムスケジュールとかギチギチに詰まってるからなー。公開2週目にはもう都心のシネコンとかではこの映画1日2回ぐらいの上映に減っててあれ人気ないのかなと思ったらいや人気はあるんだよ、人気はあって回数だけ他の大作系に押されて減らされてるから土日とかすぐ満席になっちゃって俺が観た回も前日に席予約したらその時点で残2席とかでしたからね。緊急事態宣言で座席数半減ってのが痛いよな。あ、そうか今って緊急事態宣言中なんだ! こういうキッカケがないと忘れちゃうよな今年なんかずっと緊急事態宣言やってるもん。そんなことはいいのだが。

このタイトルでしょ。鳴りますよね。俺の頭の中では電気グルーヴの「富士山」が歌詞を「ペク・トゥ・サーン! ペク・トゥ・サーン! やばいぞやばいぞペク・トゥ・サーン!」とか差し替えられて鳴っておりましたよ。序盤は確かにそんな感じでした。白頭山の噴火で朝鮮半島を大地震が襲い韓国の大都会も超壊滅状態! 都会で大地震が起きるとビルの窓が割れて危ないから近づくなと我々は東日本大震災から学びましたがこの映画の地震被害っぷりはそんな甘いものではなく立ち並ぶ高層ビルが軒並みお豆腐のように倒壊してかつドミノ倒しの要領で倒壊連鎖を決めてくるといういやそんなに!? 北朝鮮ならまだわからなくもないが技術先進国韓国の耐震技術なら耐えられるだろそれ!?

ローランド・エメリッヒの『2012』を思わせる観客サービスの上限を突破した倒壊フィーバーにさすが韓国娯楽映画の雄CJエンターテインメント映画だと思わずうなる。この上にポスターを見る限りではあのマ・ドンソクが載るわけだから映画カロリーがとんでもないことになっていてなんか最終的にマ・ドンソクが一人で核弾頭を運んで白頭山地下に撃ち込んでしかも帰還するみたいなパワープレイも全然あり得るなとよからぬ期待に胸を膨らませたところがしかし!

マ・ドンソク、火山学とかの先生役で参謀ポジション…! 現場出ないで会議室の中で計画を立案するポジション…! あと次なる壊滅的噴火とそれに伴う特大地震で壊滅目前の韓国(と北朝鮮)を白状にもあっさり見限ってさっさとアメリカに逃げようとしてる実はアメリカ国籍持ちというキャラ設定…! これはあれかな韓国では2019年に公開された映画らしいからマーベルの『エターナルズ』にマ・ドンソク出るよーっていう映画ニュースをネタにした楽屋オチなのかな。そうだとしたらちょっと面白いよね。

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このマ・ドンソクの言ってみれば『エグゼクティブ・デシジョン』のセガール的サプライズ起用(※この人なら絶対に超人能力で事態解決してくれるじゃんという安心感を序盤であっさり裏切ることで観客をびっくりさせる起用法)が功を奏して俺や俺と同じような精神年齢の観客全員が期待していたに違いない最終的に一人で核弾頭を運んで白頭山に撃ち込んでしかも帰還するマ・ドンソクとかいう最高な絵面は拝むことができない代わりにどうなるのだろーのドキドキ感がある。

次なる噴火を抑えるために韓国の軍人さんたちが白頭山に北朝鮮の核をぶっこもうとしたところ核情報などを握る北朝鮮の工作員イ・ビョンホンが怪しい動きを開始、悲願の北朝鮮非核化を維持するために(噴火前に合意に達した設定)韓国側の北の核を奪って白頭山にぶっ放せ作戦を阻止したい米軍は崩壊状態の北朝鮮に部隊を展開し、北朝鮮の崩壊と韓国の混乱に乗じて権勢を拡大したい中国も所属不明の武装集団を差し向ける…概ねこんな感じのストーリーの映画でマ・ドンソクが後方支援要員なのでそれはもう不安です。しかも作戦に駆り出された韓国の軍人さんは軍人といっても技術班みたいな人たちなので戦闘経験もない。カロリーも多いがそれに増して不安材料が多すぎる映画である(こんなタイミングで産気づいてしまう妊婦さんとかも出てくる)

面白いのだがしかし意外に突き抜けないところもあり、こんな超設定ならニール・マーシャルの『ドゥームズデイ』ぐらい好き勝手にやっちゃえばいいんじゃねぇか展開っていうかストーリー構成とかわりと似てるし、とか思うのだが真面目なところは妙に真面目で敵味方入り乱れての大乱戦(キム・ジウンの『グッド・バッド・ウィアード』みたいにさ。あれもイ・ビョンホン出てるし)という感じには案外ならず、メイン舞台が今にも崩壊しそうな韓国じゃなくて既に崩壊した北朝鮮なのであんまり噴火のパニック感とかもなく、爆破作戦を任されたハ・ジョンウと北朝鮮工作員イ・ビョンホンの駆け引きであるとか反目と友情がわりとドラマの中心になってきたりする。

なんかヒューマニスティックな映画なんだよな。危機的状況でもちょいちょいユーモア挟んでくるし。だから最初は脳内に鳴り響いていた「ペク・トゥ・サーン! ペク・トゥ・サーン!」も上映開始30分後ぐらいからは消えましたよ。うんそういうことじゃなかったね。そういうことじゃなかったし単純に編集が間延びしているとも言える。逆に地震が起きて街がどう変わり庶民はどうその状況をサバイブするのかっていう部分はもうちょっとパニック映画的に入れて欲しかった。なんか場面場面は派手だったり感動的だったりして面白いんですけど色んな要素を詰め込みまくった結果として白頭山が噴火したらどうなるかっていう映画の核の部分が吹き飛んでしまってるんじゃないだろうか。

北朝鮮政府も噴火と一緒に(?)瓦解した感じになってて出てこないからそれ絡みのスリルもなくいやそれなら白頭山噴火させないでも単に大地震でよくない? とか思わないでもなく…とはいえ娯楽映画はインパクト勝負みたいなところもありますからね! インパクトの点ではやっぱ強い映画でしたよ、自分をロバートと呼んで欲しい学者のマ・ドンソクが「韓国がどうなろうと私にはもはや関係ありませんからね。アメリカに帰ります」とかしかめっ面で言いながら首に飛行機用のネックピローを巻きつける映画だから…マブリー!

【ママー!これ買ってー!】


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でもまぁ『グッド・バッド・ウィアード』と違ってこっちは現代の話だし政治が絡んでくる話だしみたいな理由でそんなはっちゃけた表現もできなかったのかもしんないすね。そこらへんはやっぱ気を使ったんじゃないだろうか。

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