すやすやファンタジー映画『ノベンバー』感想文

《推定睡眠時間:50分》

予告編を見ればなにやら異様な映像目白押しで白黒だし『異端の鳥』のようにアートな映画なのだろうと感じるかもしれないが確かに映像はアーティでもアート映画ではなく魔女とか吸血鬼とか出てくるゴス系の深夜アニメの実写版の趣もあるポップさを纏った映画というこの意外性。冒頭、テオ・ヤンセンの風力器械のようなモノが転がってきて牛を突き刺すと、この奇怪と器械を合わせて奇械とでも呼びたいモノがなんと足の部分を回転翼にトランスフォームさせてヘリコプ化!

ヘリコプ奇械にぶっ刺されて空を飛ぶ牛もなかなかシュールで面白いが奇械がどうやら住処らしい一軒の家に辿り着くとこの奇械しゃべれることが判明、ねぇもっと良い仕事くださいよなんて主人と見られるおじいさんに文句を言ってなにを生意気なとおじいさんに木に投げつけられる…なんて、シリアスなトーンではあるのだがやはりコミカルな印象が勝るのである。最後の方では奇械とおじいさんチェスしてたしね。

きっと面白い映画だったに違いない。それはわかる。だが問題は以降はほとんど寝てしまっていることにある。目を覚ました終盤、なんかいろいろ起こるのだがなにせそれまで寝ているから誰が誰やらわからないしどういう経緯でそうなったのかもわからない。牛が飛んだり人が飛んだり夢のような映像世界の広がる映画だが睡眠鑑賞を実施した俺にとってはまさしく夢に等しい映画であり、怒濤の勢いでよくわからないがいろんな人が破滅しているっぽい映像が押し寄せてくる終盤の展開は脈絡無く様々なイメージが繋がる、にも関わらず体験している本人には一貫性と明確な意味が感じられる夢の論理を感じさせたのであった。

重そうな感じなのに案外重さがないというのも夢っぽさかもしれない。空が白飛びした屋外シーンは雪に覆われた地面と空が一体となることで画面からリアルな重さが失われ、代わりにアニメ的な印象を帯びる。登場人物のオーバーアクトもどこか演劇的でそれが生の身体から発せられたものであるよりかは意識的に作られたものと感じさせる。耽美的な水没シーンは陳腐であり、しかし陳腐だからこそ、いつか見た夢を思わせるところもある。

それなりに頑張ったがこれ以上は感想を書けないので素直にキーボードから手を離すことにする。俺は寝てしまったが面白い映画に決まってますからまだ観てない人で観に行けるところに住んでる人はできるだけ早めに観に行った方がいいですよ。奇械のガチャガチャした動きだけでも見てて楽しかったですから。

【ママー!これ買ってー!】


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『ノベンバー』とは方向性が全然違う生々しい映画なのだがまぁ逆にっていうことで。

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